協会ビジネスのノウハウは特許や著作権で守れる ! ? みんなが気になる協会ビジネスのQ&A


協会とは ? 協会ビジネスとは ?


前回、『弁理士が解説する、協会ビジネスにおける商標登録の重要性とポイント』では、協会ビジネスと商標登録のQ&Aについてお答えしましたが、今回も協会ビジネスに関するQ&Aにお答えいたします。


(Q1)そもそも協会ビジネスって何ですか ?


協会ビジネスという言葉に明確な定義はありませんが、特定の知識やノウハウなどを世の中に広めることをミッションとしており、協会員に対して、教育、資格認定、ライセンスの発行をするビジネスモデルが多いようです。

昔からある、いわゆる「のれん分けビジネス」と似ています。最終的には、協会は、プロのインストラクターとしてビジネスを行う協会員から会費としてライセンス料を得ることで、利益を得ます。


(Q2)協会ビジネスってどんな良いことがあるのですか ?


協会ビジネスは、ある知識を世の中に「正しく」広め、収益化するのに最適な手法です。この「正しく」というのが大きなポイントとなります。

例えば、あなたが「〇〇ダイエット」という素晴らしいダイエット方法を考えたとします。これを広く普及しようと思ったとき、本やテレビなどを使う方法があります。

しかし、本やテレビなどで「〇〇ダイエット」を広めたとしたら、必ず、それを正しくない形で実践する人が出てきます。さらに、正しい知識もない人が、勝手にインストラクターを名乗って「間違った〇〇ダイエット」の指導を始めることも予想されます。

その結果として、事故が起こったり、「〇〇ダイエットの罠」なんていう記事がアップされたりします。結果として、素晴らしいメソッドは埋もれしまい、さらに、それを考案したあなたもとばっちりを受けたりするのです。

それに比べて、協会ビジネスを「広める」力は少し弱いですが、知識を「正しく」伝えることには非常に適しています。「〇〇ダイエット協会」は、協会員に〇〇ダイエットについての正しい知識を伝え、プロのインストラクターとして育て、そのインストラクターがまた、自分たちのお客さんに正しい〇〇ダイエットを伝えていくのです。

また、協会ビジネスは、運営団体自体の事業規模は小さいまま、広くビジネスを展開できる点でも優れています。協会の運営は、数名の理事と事務員ですが、協会に所属する協会員が、全員プロのインストラクター(事業者)だからです。例えば、年商1000万円を売り上げる会員が100人いたら、それで年商10億円規模の事業となります。


協会ビジネスの運営の仕方(内部規約、ライセンスetc.)


近年、非常に注目を浴びている「協会ビジネス」について、特に、協会を作った後の「運営の仕方(内部規約、ライセンスetc.)」について、よくある質問をまとめました。


(Q1)元協会員が、退会してすぐに、協会のメソッドを使って競合他社でビジネスを始めました。このメソッドの名前は商標登録していたので、同じメソッド名は使われなかったのですが、メソッドの内容は全くそのまま使われていました。この件に関しては、話し合いにより何とか解決したのですが、今後このようなことがないようにするにはどうしたら良いでしょうか ?


解決方法は、ズバリ、内部規約です。協会員が遵守しなくてはならない会員規則の中に、協会の知的財産に関する規約をきっちり盛り込みましょう。

・協会の商標(例えば、協会名、メソッド名など)を、「どういう時に」「どういう条件で」使用して良いのか。
・協会で学んだノウハウを、「どういう時に」「どういう条件」で使って良いのか。


例えば、次のような具合です。
「〇〇マッサージ協会」という協会の規則を想定します。
この協会の会員は、協会の「商標」(〇〇マッサージという名前)と、協会で学んだ〇〇マッサージの「ノウハウ」を、会員でいる限りにおいて使ってよい。ただし、勝手にアレンジを加えることは禁止する。

協会をやめた後に関しては、当然、協会の商標を使うことはできない。〇〇マッサージのノウハウについては、1年間はそのノウハウを使うことを禁止する。その後はそのノウハウを使用しても良いが、ビジネスとして、他人に指導することは禁止する。

(※これは、ざっくばらんに書いた、一例です。実際の規約の文章はもっと正確に記載する必要があります。)


(Q2)協会を設立してライセンス料でお金を稼ぐにはどうしたら良いでしょうか ?


これは、実はそれほど簡単なことではありません。協会ビジネスもビジネスですので、成功するにはそれなりの努力が必要です。

例えば、「〇〇マッサージ協会」で〇〇マッサージのノウハウを学び、資格を認定されたインストラクターがいるとします。 このインストラクターが、〇〇マッサージ協会にライセンス料(多くの場合年会費)を支払って、会員であり続けるためには、何が必要でしょうか ?
これは、残念ながら、この「〇〇マッサージ」というノウハウが、優れたノウハウであることだけでは足りません。

例えば、このインストラクターが広告において「〇〇マッサージ」というサービス名を使ったり、「〇〇マッサージ協会認定インストラクター」と名乗ることで、お客さんから選ばれて、利益が上がる状態である必要があります。言い換えると、この「〇〇マッサージ」という施術の名前や、「〇〇マッサージ協会」という団体の名前に、ブランド力がなくてはならないのです。そうでなければ、ライセンス料を支払ってまで協会に所属しようと思いません。

ですから、あなたが協会ビジネスを成功させるには、まず、あなた自身がある程度、その知識やノウハウを使って成功していることが重要です。そして、協会を作った後にも、協会や協会のメソッドのブランドの強化に力を入れていきましょう。マーケティングに力を入れ、あなたの協会でノウハウを学んで起業したインストラクターが、集客に困らない状態になるのが理想です。

そして、最も重要なことは、協会の「理念」を明確にすることだと思います。単に「利益が上がる」というだけでは、協会員はすぐに協会を離れてしまうかもしれません。協会員の方に、「一生この協会に所属してビジネスをする」と思ってもらうには、しっかりした協会の理念が必要です。


協会ビジネスのノウハウは特許や著作権で守れるのか


「協会ビジネスのノウハウ」について、よくある質問をまとめました。


(Q1)【特許関連のご質問】スポーツインストラクターです。「〇〇健康法」という独自の健康法を開発しました。このメソッドを同業者に真似されないように特許を取得することはできますか ?


残念ながら、日本の特許法上、「健康法」について特許を取るのは難しいです。 確かに、〇〇健康法も、広くは「発明」と言えるかもしれません。

しかし、特許法において特許が認められている発明は、「技術的」なもの、すなわち、機械などを使って物理的に再現性のあるものでなくてはならないためです。人体の健康法の場合、同じことをすれば同じ結果が得られる、というものであはりませんから、特許を取得することは難しいのです。

ところで、有名な話として、「加圧トレーニング」は、かつて特許を取得されていたということを聞いたことがあるかもしれません。しかし、実はこれは、「特殊な機器」を使ったトレーニング方法でして、その機器を含めて特許になっているという事情があります。

また、それ以外でも、人体の健康法とか、トレーニングメソッドとか、そういうった特許をとった人がいるということを聞いたことがあるかもしれません。しかし、そのようなケースでは、しっかり特許の権利内容を読んでみましょう。実は、健康法ではなくて何らかの「健康器具」についての特許だったりします。あるいは、出願はしているけれど登録にはなっていない、ということも想定されます。

こういった、健康法などの場合、その「方法」を独占することは、日本の法律上できません。だからこそ、商標登録や、協会の設立が重要になります。商標登録をすることで「名前」を守り、「協会」を作ることでブランド力を高め、「正しい〇〇健康法を伝えているのは、〇〇協会だけ」と世間から認知されるようになるのがベストです。


(Q2)【著作権関連のご質問】私が設立した〇〇マッサージ協会では、「頭部のマッサージ」について解説した本を出版しています。先日、この書籍に書いたマッサージ方法をそのまま使用して施術をしている同業者を発見しました。この本の著作権は〇〇マッサージ協会にありますので、著作権に基づき、この同業者にこの行為をやめさせられるでしょうか ?


残念ながら、書籍に書いてあることをそのまま実践する行為は、著作権侵害とはなりません。

少し難しい話となりますが、著作権法を読むと、著作物とは、「思想又は感情を創作的に表現したもの」とあります。つまり、難しいご説明で恐縮ですが、著作権というのは、「思想そのもの」を保護する法律ではなくて、その「表現」を保護する権利なのです。

ですから、この書籍に関して、著作権で守られるのは、頭部のマッサージ方法という「思想」を、どのように「表現」したか、その「文章表現」のみなのです。

そこで、(Q1)の特許に関する回答でも書きましたが、重要となるのが、商標登録や、協会の設立です。方法自体を真似されることは防げませんので、その方法の名前を商標登録し、その方法を正しく広げて管理する団体として、「協会」を作るのです。


(Q3)【著作権関連のご質問】私が経営する〇〇協会のホームページに記載した内容を、そのまま自分のブログに書いている人がいます。〇〇協会の記事を「引用」しているとの記載もなく、あたかも自分のオリジナルであるかのように見えます。著作権侵害として訴えることはできますか ?


これは、どれくらい「そのまま」なのかによります。著作権の場合、特許権や商標権とは異なり、「似ている」というだけでは著作権侵害になりません。もう一つの要件として「真似をした」ことが必要なのです。

ここで、「真似をした」というのは「主観」ですので、これを証明するのは容易ではありません。例えば、相手方が自ら「真似をしました」と認めたり、あるいは、相手方がそのホームページの文章を知っていることが明らかである場合は、この「真似をした」ということを証明できます。 しかし、それ以外の場合は、「明らかにコピーしましたね」というくらい、「そのまま」コピーされていなければ、なかなか「真似をした」ことを証明しづらいです。

なお、ここで「そのまま」というのは、表現に関して「そのまま」という意味になります。文章で語られている「内容」が全く同じであっても、言葉が違えば、著作権侵害とはなりませんので、注意しましょう。


まとめ


いかがでしたでしょうか。協会を実際に運営するにあたって、役に立つQAがあったのではないかと思います。
一見複雑に見える協会ビジネスの仕組みが、少しでもわかりやすくなれば幸いです。

商標登録と内部規約については、協会ビジネスを成立させる非常に重要な道具となります。
ご不安な点がございましたら、お気軽にご相談ください。
参照 : SHARES 弁理士 井上暁彦のページ


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