韓国における最近の特許法改正について

分野にもよると思いますが、韓国の審査は大変厳しいです。
近年、韓国では特許法がいくつか改正されました。

日本の制度と比較しながら説明します。


外国語特許出願制度(韓国特許法42の3)(2015年1月1日の出願から)


出願人の便宜のため、英語による出願が認められています。
翻訳文の提出期間は優先日から14月以内です(日本特許36の2②に対応)。
提出されない場合にはみなし取り下げになります(日本特許36の2③に対応)。

この制度を利用した出願件数は全体の10%程度とのことです。多いですね。


c(韓国特許法52①3)(2015年7月29日の特許決定から)


変化した市場環境に合わせた権利化を可能にするため、特許決定書の送達日から3月以内に分割出願をすることができます。
ただし、設定登録をする場合には、設定登録日まで、分割出願が認められます。

よって、分割出願時期は、(1)補正可能期間(日本特許法44①1に対応)、②特許拒絶決定謄本送達日から30日以内(日本特許法44①3に近い)、③特許決定書の送達日から3月以内(日本特許法44①2に近い)になります。


c(韓国特許法59)(2017年3月1日の出願から)


権利未確定期間の短縮による監視負担の軽減の観点から、5年から3年に短縮されます(日本特許法48の3に対応)。

出願日から3年以内の審査請求率は80%以上とのことですので、大きな問題にはならないと思います。


職権再審査制度の導入(韓国特許法66の3)(2017年3月1日の特許決定から)


不実権利の量産防止、および早期の瑕疵治癒の観点から、特許決定後に明白な拒絶理由を発見した場合には、特許決定を取り消し職権再審査により最初の拒絶理由が通知されます。応答期間内に請求範囲の拡張・変更が可能です。

これは、日本でも導入して欲しい制度ですね。


職権補正の範囲の拡大(韓国特許法66の2)(2017年3月1日の職権補正から)


従来は、拒絶理由には該当しない明白な誤記がある場合だけ職権補正が認めらえていました。改正後は、拒絶理由に該当する記載不備事項が明白に誤って含まれている場合にも職権補正が認められます。

フローは、

職権補正通知→出願人の同意→(YES)→特許登録+職権補正効力維持
職権補正通知→出願人の同意→(NO)→特許決定取り消し+職権補正がなかったとみなす→審査再開

です。これはいいですね。概ね(YES)を選択することになると思います。


特許取り消し申請制度の導入(韓国特許法132の2~)(2017年3月1日の設定登録から)


何人も瑕疵ある特許について先行技術情報を特許審判院に提供すれば、審判官が不良特許の取り消しを迅速に行うことができ、無効審判認容率の低減につながります。このため、本制度が設けられました。

これは日本の異議申し立てと同様の制度です(日本特許法113~)。これにともない、無効審判の請求人適格が何人から利害関係人になりました。登録公告日から6月以内に請求することができます。

すべて書面審理で、訂正の機会が1回だけ与えられます。取り消し理由が通知されます。

日本と概ね同様の制度かと思います。

申請理由は、新規性欠如、進歩性欠如、(拡大)先願主義違反の3つだけです。新規性欠如および進歩性欠如は公知・公用を理由とするものを除きます。新規事項の追加、記載要件違反では申請することができません。


訂正審判請求時期の合理的な調整(2017年3月1日)


従来は、無効審決後の特許法院(日本の知財高裁に相当すると思います。)および大法院(日本の最高裁に相当すると思います。)でも訂正審判の請求ができるため、次から次へと訂正することによって紛争が長期化していました。

そこで、訂正審判の請求時期が特許法院での弁論終結日までになります。


その他


侵害訴訟時の資料提出義務の強化、特許訴訟管轄集中、コンピューター・プログラム請求項の認定、正当権利者救済の改善、などがあります。

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