ビットコインのE-Commerceへの活用、注意点
法務


仮想通貨ブームの到来のきざし


10月上旬時点で、ビットコインの相場価格は約50万円(1単位あたり)と、今年の年初との比較でおよそ4倍以上にも価格が高騰しています。また、市中銀行や中央銀行が仮想通貨発行や実証実験の開始を検討するなど、仮想通貨への注目を高めています。

さらに、今年8月時点でのデータによると、一般に仮想通貨といわれるものの種類は全世界で1,000を超え、その総額は11兆円に及んでいます。
また、国内の大手仮想通貨取引所では、既にユーザー数が60万人を超え、月間取引量は8,000億円を上回るとのことです。

このように今まさに仮想通貨ブームの兆候が見て取れます。


仮想通貨支払の拡大の可能性(E-Commerceなど)


仮想通貨は投資商品としての性格を持ち、現段階では、そのボラティリティ(価格変動)に着目した投資目的での取引が大きな部分を占めていると思われますが、これは仮想通貨の一面に過ぎません。仮想通貨は、その言葉どおり、円やドルなどの一般の通貨と同様、支払手段としても機能します。現に市中の店舗やウェブサイトでも仮想通貨による支払いを認めるところが徐々に増えてきています。

従来の決済手段として、銀行送金やクレジットカードがありますが、たとえば、海外とも取引をするネットショップを想定してコストや時間を比較した場合、仮想通貨の支払手段としての優位性が明らかになります。

まず、銀行送金の場合、通常、海外送金手数料に数千円かかり、着金までに数日かかります。続いて、クレジットカードでは、数%の為替手数料や決済手数料がかかるうえ、ユーザーの手続は画面上で1~2分で完了したとしても、最終的に口座からの引落しがなされるまでは精算は完了しません(口座残高が足りなければ、支払を遅延したこととなってしまいます)。
これに対して、仮想通貨の場合、手数料は基本的に無料で、また数十分程度と短時間で送金が済むといわれています。

このように安くて早い決済が可能となるのは、仮想通貨の場合、ユーザー間での直接の授受が可能であるため、従来型の決済手段のように銀行やカード会社などを通す必要がないからです。しかも、このことは国内のみならず海外との間でもあてはまります。
このように見てくると、特に海外との間で決済が必要となるE-Commerceの分野などで、仮想通貨の支払手段としての利用がこれから益々拡大する可能性があるといえるでしょう。


仮想通貨の活用を考えるにあたっての注意


もっとも、2014年のマウントゴックス(仮想通貨取引所)の経営破綻に加え、ごく最近では、最近では中国などの一部の国での規制強化の動きなどが報じられており、漠然と仮想通貨は危ないものと感じている人は少なくないと思います。
日本では今年4月に仮想通貨に関する法律が施行され、まず、規制の第一歩として仮想通貨取引所に対して登録制を導入しました。

そこで、現時点での法律を踏まえた仮想通貨の活用を考えるにあたっての注意点として、仮想通貨の利用を始める準備段階で気をつけるべきことを簡単にコメントします。


仮想通貨の取引を開始するには、ウォレットを保有することが必要


仮想通貨の取引を開始するには、一般にウォレットと呼ばれる、仮想通貨の残高や取引状況を確認できる口座のようなものを保有することが必要です。ウォレットは、市中の仮想通貨取引所で開設することができます(具体的には、各取引所のウェブサイトでアカウントを作成する)。
今年4月に施行された仮想通貨法(俗称)が、仮想通貨取引所に対する登録制を導入したことで、仮想通貨交換業者として登録を受けないで仮想通貨の売買や交換、そのための金銭や仮想通貨の管理等をすることは出来なくなりました。

今年の3月末までに仮想通貨の販売等の取引をしていた業者には登録申請の猶予期間として6ヶ月間が与えられ、それまでに登録申請をした業者は登録または登録拒否の処分があるまでの間、仮想通貨の売買等を実施することが出来ます。
このように登録制が導入されたことで、従前から仮想通貨の売買等を行っていた業者でも、内部体制の不十分などが理由で登録を認められないところも出てくるでしょうし、中には仮想通貨のヤミ業者化するところも出てくるかもしれません。

仮想通貨交換業者として登録された業者は、情報の安全管理義務や財産の分別管理義務などの業法上の義務を課され、また、金融庁の監督に服することとなり、それらの義務の遵守の状況を厳しくチェックされることとなります。
他方で、従前に仮想通貨の売買等の取扱いをしていたとしても登録を受けられなかった、ヤミ業者化した仮想通貨業者には、そのような金融庁の監督を通じたセキュリティを期待することはできません。仮想通貨は、電子的なデータを通じてのみ確認できるものですから、情報の安全性が確保されないのは致命的です。

そこで、まず入口の段階として、ウォレットの開設となる取引所を選定するにあたって、ヤミ業者ではない正規の仮想通貨交換業者かどうかを見極めるよう、注意しなければなりません。難しいことではなく、仮想通貨交換業としての登録を受けているかどうか確認すればよいわけです。
仮想通貨交換業として登録を受けているかどうかは、金融庁のホームページで確認することが出来ます。10月1日現在で11の業者が登録され、17の業者が登録を受けられるかどうか判断待ちとなっています。
金融庁のホームページでは、そのほかにも仮想通貨の利用者に向けた情報を発信していますので、あわせて確認するとよいでしょう。


まとめ


仮想通貨は、振込送金やクレジットカードなどの従来型の決済手段に比べて、時間・コストの点で優れています。
特に海外との支払をする場面になると、その違いはより鮮明になります。

仮想通貨取引を始める前提として、取引所でのウォレットの開設が必要になります。大前提として、どこの取引所で開始するかを選択する際には、登録された仮想通貨交換業者であることを確認してください。ヤミ業者との取引は大変危険です。

日本では今年4月に仮想通貨に関する法律が施行され、規制の第一歩として仮想通貨取引所に対して登録制を導入しました。
現時点での法律を踏まえた「仮想通貨の活用の注意点」、「仮想通貨の利用を始める準備段階で気をつけるべきこと」をご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。
この記事を読んで、少しでも仮想通貨についてご理解いただければ幸いです。

仮想通貨の法律について、ご不明な点がございましたら
お気軽にご相談ください。
参照 : SHARES 弁護士 鈴木 康之のページ

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