「保育園落ちた!」ママのために、会社は何ができる? 〜連載①:育児休業制度を正しく理解しよう〜

毎年2月下旬から3月中旬にかけては、ママ達にとってはまさに波乱の時期。各自治体で保育園入園の可否が一斉に発表され、SNSやブログ等では悲喜こもごもの“報告会”が繰り広げられています。

この春は、「保育園落ちた日本死ね!!!」のブログ記事が話題になりましたね。個人的な話で恐縮ですが、私自身も4人の子を持つ母親として、保育園入園についてはずいぶん苦労してまいりました。ですから、ずいぶん大胆なこの匿名エントリーも、決して他人事とは思えません。

ところで事業主の皆さんは、もしも自社の従業員が育休復帰できない場合、どう対処されるでしょうか?法律上どのような取扱いが適正なのか、退職勧奨が出来るのか等、意外と分からない部分も多いのではないかと思います。

育休ママの職場復帰問題に揺れる春先。
今号から4週に渡り『育児休業制度』に注目し、この制度について、事業主や人事担当者が知っておくべき基礎知識や実務上の取扱についてご紹介することにいたします。

パートやアルバイトでも育児休業は取得する権利がある!

まずは育児休業を取得できる対象者を、正しく把握しておきましょう。
育児・介護休業法によれば、

1.原則として、1歳に満たない子を養育する男女労働者(日々雇用される者を除く)が対象
2.期間雇用者については、申出時点において次の要件を満たすことが必要
① 同一の事業者に引き続き雇用された期間が1年以上あること
② 子が1歳に達する日を超えて引き続き雇用されることが見込まれること(子が1歳に達する日から1年を経過する日までに労働契約期間が満了し、更新されないことが明らかな者を除く)

と定められています。育児休業は、正社員・パート・アルバイトの雇用形態の別を問わず、幅広く取得対象となる制度です。また、上記「2」の通り、平成22年改正を経て、これまで適用対象外とされていた期間雇用者も育児休業を取得できるようになりました。

ただし、労使協定(労働者の過半数を代表する者もしくは労働者の過半数で構成する労働組合と使用者との協定)によって、下記の者を適用対象外として定めることができます。
労使協定を結んでいなければこうした対象者を除外することはできませんので、くれぐれもご注意ください。

・入社1年未満の労働者
・申出の日から1年(1歳から1歳6か月に達する日までの育児休業の場合は、6か月)以内に雇用関係が終了することが明らかな労働者
・1週間の所定労働日数が2日以下の労働者

この他、以前は「配偶者(内縁関係も含む)が常態として子を養育できる者」についても一定の場合には適用対象から除外することができましたが、平成22年改正によって廃止されました。これにより、妻が専業主婦であっても、夫は会社に対し育児休業の取得を申し出ることができるようになりました。
当然、育児休業の取得を申し出たこと、もしくは実際に取得したことを理由とする配置転換や不利益な取り扱いは認められません。

「育児休業の取得=育児休業給付金の支給」となるワケではありません

一般的に、「育休を取得できれば自動的にお金が入ってくる」と思われがちですが、必ずしもそうではありません。育児休業自体は育児・介護休業法上、幅広く労働者に認められる権利ですが、一方で育児休業給付金の支給を受けるためには、雇用保険法上、この給付金の受給対象に該当する必要があるのです。

<育児休業給付金の受給条件>
休業開始前の2年間に賃金支払基礎日数11日以上ある月が12ヵ月以上ある者のうち、下記の要件を満たす場合
・育児休業期間中の1ヵ月ごとに、休業開始前の1ヵ月あたりの賃金の8割以上の賃金が支払われていないこと
・就業している日数が各支給単位期間(1ヵ月ごとの期間)ごとに10日(10日を超える場合にあっては、就業している時間が80時間)以下であること(最後の支給単位期間は、就業している日数が10日(10日超は80時間)以下であるとともに、休業日が1日以上あること。)

このように、育休取得対象と育児休業給付金の受給対象は必ずしもイコールではありません。現状このあたりを理解していない事業主様が多く、例えばパートやアルバイトに対し、「育児休業給付金の対象ではないから育休の取得はダメ!」としてしまうケースを散見します。正しい取扱いとして、両者は切り離して検討する必要がある、というわけなんですね。

小さな子を持つ労働者にとっては、たとえお金が出なくても育児休業を取得し、出産後に今の会社に確実に戻れる保証があることだけで、大変心強いものです。また、第2子以降の出産の場合、上の子の保育園通園継続のために、無給であっても育休取得が必要である場合もあります。
育休取得はれっきとした労働者の権利、事業主様の認識間違いで奪ってはいけません。

もちろん、“ノーワーク・ノーペイの原則”により、労働者の育休中、会社は給与を支払う必要はありません。ただし、労働者が育児休業給付金の受給対象に該当する場合には、会社は適切な手続きをしてあげなければなりません。
育児休業給付金の申請について、会社が行うべき具体的な手続きを次号でご紹介することにいたしましょう!

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