ショーンKは解雇できない!?社労士が経歴詐称への対応方法を解説!

ここ最近、連日芸能ニュースを賑わせている人物といえば、“ショーンK”こと、ショーン・マクアードル川上氏。メディア露出度の高い人物だったゆえ、世間に与えた驚きや衝撃は非常に大きなものでしたね。

「世の中、こんなに大胆な詐称をする人物もいるんだなぁ~」と、どこか遠い世界の話のように感じられる一方、事業主であれば「ウチの社員は大丈夫だろうな・・・」と不安が頭をよぎるかもしれません。

もしも御社に第2の“ショーンK”がいたとしたら、どう対処するでしょうか?
万が一の事態に備え、会社としての対応策を知っておきましょう!

経歴詐称に伴い、必ずしも懲戒解雇が出来るわけではない!!

「会社にウソついて入ってくるなんて。そんな奴はクビだ、クビ!」
仮に社員の経歴詐称が発覚したとして、事業主であればこんな考えになるのも無理はありません。雇用とはいわば、労使双方の信頼関係の上に成り立つもの。使用者側からしてみれば、従業員が“騙していた”という事実だけで十分に懲戒解雇になり得ると考える方が大半でしょう。

実際、就業規則上、懲戒規程に「学歴や職歴、資格、犯罪歴等を偽り、その他不正な方法を用いて雇い入れられたことが判明した場合は懲戒解雇」等と定めている会社も多いのではないでしょうか。

ですが、結論から申しますと、経歴詐称があったとはいえ、実際にはどの事例にも懲戒解雇が認められるとは限りません。たとえ懲戒規程に「経歴詐称による懲戒解雇」を盛り込んでいたとしても、個別のケースについては判例を元に検討していくことになります。
判例によると、懲戒解雇の妥当性を検証するポイントは、概ね下記の通りです。

・会社が真実を把握していたら、その者を採用しなかったと思われる重大な詐称であるか
・採用決定の判断において、詐称の内容が労働力の評価や適正な配置を誤らせたかどうか
・当該労働者の詐称が、企業秩序維持を困難にさせる可能性があるかどうか
・就業規則に懲戒解雇規定があるか

つまり、従業員の経歴詐称が発覚したとしても、その程度が重大なものでない限り、さらに就業規則上の定めがない限りは、懲戒解雇の対象とはならない可能性が高いということになります。

懲戒解雇と普通解雇は似て非なるもの

審議の結果、「懲戒解雇には当てはまらず」となった場合にも、普通解雇として扱うことは可能です。
「懲戒解雇と普通解雇、解雇である以上はどちらでも良いのでは?」と思われている方がいらっしゃるようですが、両者は決して同じではありません。

“解雇”の定義について、東京労働局によれば、

懲戒解雇
従業員が極めて悪質な規律違反や非行を行ったときに懲戒処分として行うための解雇

整理解雇
会社の経営悪化により、人員整理を行うための解雇

普通解雇
整理解雇、懲戒解雇以外の解雇であり、労働契約の継続が困難な事情がある場合の解雇

とされています。つまり、懲戒解雇は「制裁」であり、一方で普通解雇は「労働者側に帰すべき事由からやむを得ず労働契約を終了させること」という様に、その意味合いが大きく異なるのです。

実務上、懲戒解雇か普通解雇かの違いは、解雇予告手当や退職金の有無等の取扱いに影響を与えることになります。制裁としての懲戒解雇の場合、もちろん詐称の程度にもよりますが、解雇予告除外認定の対象となり解雇予告手当の支払が不要になることがあったり、退職金の一部又は全部を支給しなかったりという処分が可能になるケースもあります。
また、懲戒解雇の経歴が、転職活動に悪影響をもたらすことも往々にしてあり得る話です。

このように、懲戒解雇に該当するか否かは該当労働者の生活、人生を大いに左右する重要な問題です。「辞めさせることに変わりはないんだから」と安易に判断せず、都度、その妥当性をしっかり審議する必要があります。

ちなみに、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合には、解雇権や懲戒権の濫用として無効となります。
「ウチにはまだ解雇の前例がないし」という場合にも、就業規則の規定が厳しすぎるものでないかどうか、折をみて見直されてみると良いかもしれませんね。

※ 参考URL
■ 独立行政法人 労働政策研究・研修機構ホームページ
(51)【服務規律・懲戒制度等】経歴詐称

■ 東京労働局
しっかりマスター 労働基準法 ~解雇編~

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