社会保険料の”壁”に対策!パートタイム労働者の待遇改善で補助金支給

12月7日、政府は経済財政諮問会議を開き、パートなどの短時間労働者(パートタイム労働者)の就労拡大を図る方針を表明しました。短時間労働者の労働意欲を妨げる要因の一つとして挙げられる、社会保険料の「130万円の壁」を解消することが議論の焦点となり、賃上げや合意のもとでの労働時間延長などの措置を実施した企業に対して、補助金を支給する方針が示されました。(参照記事:「パート賃上げ企業に補助金 「130万円の壁」対策で厚労相 」)

社会保険料負担の「壁」が106万円に


2016年10月から、パートなどの短時間労働者が厚生年金の適用を受けることができる基準が緩和され、社会保険料の壁が130万円から106万円まで下がります。改正当初は、被保険者数が501名以上の企業が対象であるため、対象となる企業は少ないものの、政府は今後、対象を拡大していくことを検討しています。

パートの主婦の場合、年収が130万円以下であると夫の扶養範囲になることができ、社会保険料を負担せずに、健康保険組合の加入や、国民年金の「第3号被保険者」となることができます。しかし、年収が130万円を超えてしまうと、夫の扶養範囲から除外されるため、社会保険料を支払う義務が発生します。このため、短時間労働者である主婦は、年収が130万円を超えないように調整して働く人が多くいます。

社会保険料の壁が106万円に下がることにより、社会保険料の負担を危惧する短時間労働者は、働く時間を短くすることで106万円の壁を越えてしまわないように調整を行う可能性があります。これにより、短時間労働者の働く時間が減少し、パートなどの労働力に頼っている企業では、労働力が不足してしまう可能性があります。

短時間労働者が労働者全体の3割に


近年、短時間労働者(パートタイム労働者)の数は増加しており、労働者全体に占める割合も平成26年には3割となり、労働者の約3人に1人は短時間労働者となっています。短時間労働者の雇用は、正社員雇用に比べ賃金が安いため、人件費をそこまで割くことなく労働力を確保することができます。また、スポットで忙しい時間帯に労働力を確保することもできます。このため短時間労働者を雇用し、労働力として活用している企業は増えています。
短時間雇用者(週就業時間35時間未満の物)数・割合の推移―非農林業ー)
短時間労働者対策基本方針(案)データ集より引用

短時間労働者は「パートタイマー」、「アルバイト」、「嘱託」、「契約社員」など、雇用形態により様々な呼称があるため分かりにくいですが、多くの企業が短時間労働者を雇用しており、重要な労働力を担っています。社会保険料の「壁」が低くなることにより、短時間労働者の労働時間が減少し、多くの企業にて労働力不足となる可能性があります。アルバイトの場合は、かけもちで働いている人が多いため、自社での年収が106万円以下であったとしても、影響を受ける可能性があります。

短時間労働者の労働時間が減少し、労働力不足となることを防ぐためにも、賃上げや労働時間延長などの措置を実施し、社会保険料の負担分以上の賃金を得ることができる環境を、企業側で用意する必要があります。

賃上げや労働時間延長に関する補助金


企業が短時間労働者に対して、賃上げや合意の下での労働時間延長等の措置を実施することにより、政府から補助金が支給されるという方針が示されました。しかし、実のところ、このような補助金制度はすでに存在します。この補助金はキャリアアップ助成金と呼ばれる助成金であり、短時間労働者や有期雇用労働者などの非正規雇用の労働者に対して、企業内でのキャリアアップの促進や待遇改善を実施した企業を対象に支給されます。

賃上げに関する補助金は、キャリアアップ助成金の「処遇改善コース」に該当するもので、短時間労働者等の基本給の賃金テーブルを2%以上増額改定し、昇給させた場合に受給することができます。この補助金は1事業所当たり最大で300万円を受給することができます。ただし、大企業の場合は受給額が異なります。

労働時間の延長に関する補助金は、キャリアアップ助成金の「短時間労働者の週所定労働時間延長コース」に該当するもので、週所定労働時間が25時間未満の労働者の週所定労働時間を、30時間以上に延長した場合に受給することができます。この補助金でも1事業所当たり最大で300万円を受給することができ、措置が適用された労働者1人につき10万円の助成金を受給することができます。ただし、大企業の場合は受給額が異なります。

短時間労働者の教育訓練に関する補助金


賃上げや労働時間延長以外にも、短時間労働者に対する教育訓練を行うことで、キャリアアップ助成金という補助金を国から受給することができます。

教育訓練の実施に関しては、短期時間労働者等の非正規雇用労働者に対して、一般職業訓練(Off-JT)、有期実習型訓練、中長期的キャリア形成訓練(Off-JT)、育児休業中訓練(Off-JT)のいずれかの教育を実施した場合に、助成金を受給することができる人材育成コースがあります。

中長期的に労働者を雇用するのであれば、労働者に対して十分な教育訓練を行った上で業務に取り組んでもらった方が、会社にとってプラスとなる可能性が高いです。

短時間労働者の待遇改善により自社PR!


そうだ!パートタイマーに魅力的な企業としてPRしよう!)
出典:http://part-tanjikan.mhlw.go.jp/sengen/より引用

パート労働者活躍企業宣言サイト」では、自社で実施している雇用管理の改善や取り組みについて発信することで、短時間雇用労働者に対して自社をPRすることができます。このサイトを活用することで、自社についてより多くの労働者に知ってもらうことができるため、質の高い人材を確保できる可能性が上がります。賃金テーブルの改善や教育訓練制度の充実など、短時間労働者に対する待遇の改善を起こった際には、是非活用してみましょう。助成金がもらえる上に、自社のPRを行うことができます。

まとめ


近年、短時間労働者の数は増加しつづけており、将来的に、多くの企業で彼らの労働力が業務をまわすために必要不可欠なものへとなることが考えられます。短時間労働者の労働意欲を妨げる”社会保険料の「壁」”を解消するためにも、待遇の改善を行って、働きやすい環境を作り上げることが重要となります。また、待遇の改善を行うことで、補助金を受給することができ、自社のPRを行うこともできるので、ぜひ待遇を改善することをおすすめします。

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