知的財産が海外進出の課題に!外国出願とは?

近年、グローバル化が進み、大企業だけでなく多くの中小企業が海外への事業展開を行っています。日本貿易振興機構(JETRO)から公開された「2014年度日本企業の海外事業展開に関するアンケート調査」では、今後の海外進出に関して、中小企業の54.3%が「海外進出の拡大を図る」と答えており、”海外への事業展開”に意欲的であることが伺えます。今後、より多くの中小企業が海外進出を行っていくことが見込まれます。

海外進出を考える際に必ず課題として挙げられるのが、知的財産権に関する問題です。知的財産権を海外で主張するために必要となる、外国出願について解説します。

外国出願とは


外国出願とは、特許権や商標権、著作権といった知的財産権を外国で取得するために必要となる出願です。外国出願をせずに外国で知的財産を利用していると、訴訟を起こされ、損害賠償を請求される可能性があります。

よくある勘違いとして、日本で特許権を取得したので、他の国でも特許が認められ、権利を独占できるという勘違いがあります。しかし、日本の特許庁に出願した特許は、日本国内でしか認められません。これは特許権が各国ごとに定められており、特許権を取得するための条件が異なるからです。日本で特許権を取得できた発明であっても、アメリカでは認められないという可能性があります。このように、世界共通となる知的財産制度は存在しないため、海外で事業展開をする際は、その国で知的財産の出願を行わなくてはならないのです。この時に重要となるのは、外国に出願するタイミングです。

商標権であれば、余程外国でも用いられる言葉でない限り、日本での申請と同時期に外国出願を行う必要はありません。しかし、特許権や実用新案権の場合は異なります。特許権や実用新案権のような、海外でも同様のものが生み出される可能性が高いものは同時に出願を行い、権利を主張する必要があります。

知的財産権を主張するために、複数国に同時に出願を行うことは重要ですが、各国ごとに書類作成や翻訳などを行うのは非常に骨が折れます。このような手続き上の、煩雑さや非効率を改善した国際的な特許出願制度があります。

PCT国際出願制度とは


PCT国際出願制度は、単一言語、単一の形式で出願することができ、PCT加盟国内(148ヶ国)に対して国内出願と同様の効果を持つ出願制度です。PCTには多くの国が参画しており、日本、中国、韓国、アメリカ、EU等の国に出願することができます。

例えば、日本の特許庁に対して、日本語または英語で作成した出願書を提出することで、その時点で有効であるすべてのPCT加盟国に対して、国内出願を行ったことと同様の権利を所持することができます。これにより煩雑な翻訳作業や、非効率的な複数回の出願をせずに、各国に対して出願日を確保することができます。出願日を確保することで、後に出された類似の出願よりも優先的に権利の主張をすることができます。

ただし国際出願後、原則20ヶ月以内に出願をした各国に翻訳文の提出等の手続きを行う必要がありますので注意が必要です。

PCT国際出願制度のメリット


PCT国際出願制度を利用するメリットは5つあります。

1.煩雑な作業を行わずに、各国の出願日を確保することができる
出願日を確保するために、翻訳作業をせずに済みます。

2.翻訳料金や各国特許庁への支払いを後回しにできる
翻訳料金などを後回しにできるので、途中で出願を取りやめることができます。

3.意思決定を後回しにできる
外国への出願を悩んでいる場合、とりあえず出願日を確保することができます。

4.すべての国際出願に対して国際調査を行うことができる
類似する発明が過去に出願されたことがあるか確認することができます。また、その発明が特許取得に必要な要件を備えているか、という審査官の見解を確認することができます。

5.国際予備審査を受けることができる
特許取得のための要件を満たしているか、予備審査を受けることができます。

このようにPCT国際出願制度を利用することで、外国出願をする際の負担を大幅に減らすことができます。しかし、外国出願をする国数が少ない場合、PCT国際出願制度は費用が高くつくので注意する必要があります。

まとめ


TPP(環太平洋経済連携協定)が開始されるにあたって、多くの新興国内で知的財産制度の整備が進んでいきます。これにより、外国出願を行っていない企業は、訴訟されるリスクが高くなります。(参照記事:知的財産侵害の訴訟リスクが増大!TPPによる企業の海外進出への影響)

今後、海外への事業展開を考えているのであれば、外国出願をすることをおすすめします。

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