弁理士が解説するブランド戦略からみた社名変更のポイント

以前の記事『本物のブランドはこう作る!弁理士が解説するブランディング技術』では弁理士の視点から見たブランドの作り方についてお伝えしましたが、今回の記事では「ブランド戦略からみた社名変更」について解説いたします。

社名変更は戦略的に行う必要があります


社名を変更する理由はいろいろとあるかと思いますが、ブランド力が備わった社名をわざわざ変更するのはいくつかの理由があるかと思います。
例えばですが、

・ブランド力こそあったが、不祥事等で信用が低下し、新たな社名として出発しようとする場合

・ブランド力はあるが、新しい事業や多角化経営をする上で、全く新しい社名に変更する必要がある場合

などが考えられます。

前者の場合は、信用がゼロ近く又はマイナスになっているので新社名にする戦略は理解できますので、社名変更によるマイナスはないと考えてもよいかと思います。

ただし、後者の場合は長い時間や多額の宣伝広告費などを掛けて築いてきた信用・ブランドをリセットすることになりますので、できればこれまでに構築してきたブランド資産をしっかり活かした戦略的な社名変更をする必要があります。

上場企業に見る社名変更にみられるパターン


それでは実際に最近の社名変更について上場企業を例に見ていきましょう。

まずよく見かけられるパターンとして、○○ホールディングスを加えて新社名にするケースです。(日付は変更日。以下同じ。)

2016/10/01 第一生命保険 ⇒ 第一生命ホールディングス
2016/10/01 トリドール ⇒ トリドールホールディングス

このパターンは従来の名称を、持ち株会社に変更すべくホールディングスを加えたものとなります。ブランド力は維持されると考えられます。

次に、東京芝浦電気を「東芝」にするような、企業名を省略することによる変更のケースです。

2016/10/01 損保ジャパン日本興亜ホールディングス ⇒ SOMPOホールディングス
2016/07/01 ホシザキ電機 ⇒ ホシザキ

識別力の強い部分は残っておりますので、この場合もブランド力という点では下がらないと思われます。むしろ短くなった分だけ、読みやすく覚えやすくなる点から今後プラスに働くことが予想されます。

また、合併による社名変更のケースがあります。

2017/04/01 JXホールディングス ⇒ JXTGホールディングス
2016/09/01 ファミリーマート ⇒ ユニー・ファミリーマートホールディングス

このパターンは既存のブランド同士が結合する形の場合が多く、新ブランドに対してもさほど影響があるとは思えません。むしろ1+1が2ではなく3以上になる場合も考えられます。

次は企業が育てた商品ブランドやサービスブランドを新社名にしてしまうケースです。

2017/04/01 富士重工業 ⇒ SUBARU
2016/08/01 アジアグロースキャピタル ⇒ 大黒屋ホールディングス
2016/07/01 健康コーポレーション ⇒ RIZAPグループ

世界的に有名な自動車事業のブランドである「SUBARU」に変更することで自動車事業分野以外でも世界で戦えるようにするためと、富士重工業の社名変更がニュースでも大きく取り上げられています。これは現在の商品等のブランド力を最大限発揮するという点でブランド戦略としては有効な変更であります。東京通信工業から「ソニー」へ、松下電器産業から「パナソニック」への変更もこのケースに該当します。

そして、積極的な理由から社名を全く新しいものに変更してしまうケースがあります。

2016/12/01 ジェイコムホールディングス ⇒ ライク
2016/07/15 ガリバーインターナショナル ⇒ IDOM

いきなり「ライフ」だの「IDOM」だの言われても、前身の企業とは結びつかない点で、ブランド構築は最初から始めると言っても過言ではありません。しかしながら、世界進出のためや取り組む分野を拡げ多角経営化のために、敢えてノーブランドの社名に変える戦略を取る場合もあるのです。

各社からその説明として下記のようなニュースリリースが出ています。

■ ジェイコムホールディングス
『次の成長ステージへ向かうにあたり、求職者様、スタッフ様、保育・介護施設の利用者様、株主様等全てのステークホルダーに愛される企業グループでありたいという気持ちを込めた「LIKE(ライク)」を根幹に各事業会社のブランドを統一することでグループシナジーの最大化を図り、人生のどの段階においても「必要とされる」企業グループから「なくてはならない」企業グループを目指してまいります。』

■ ガリバーインターナショナル
『「自動車の流通革命」を大きな目標として掲げ、事業拡大を図ってきました。当社経営陣・従業員は、こうした目標に向かって「常に挑戦する」姿勢の大切さを体感し、将来の成長においても普遍的に大切にすべき共通の行動指針であると考えております。未来へ挑戦、「挑む(いどむ)」ことに強い想いを込め、株式会社IDOM(いどむ)と商号変更することにいたしました。』

まとめ


社名変更をする際には戦略的にプラスの価値を生むように意識をして実施することが重要です。

さて、今回は上場企業の社名変更を例に挙げましたが、中小企業・個人事業主でも社名・屋号変更を検討する場合があります。実際の社名変更手続は司法書士の業務ですが、商号検討の段階でも弁理士がお役に立ちます。

いくら良いと思える社名であっても、他社がそれと同じ商標を登録していた場合は、商号である自社の社名を使用しても、差止請求、損害賠償請求、製品回収の請求などの対象となり、甚大な被害を被る可能性があります。商号と商標は別物です。社名変更の検討段階から弁理士に調査を依頼するものブランド戦略の1つと考えますので、まずは商標系弁理士に相談することをおすすめいたします。


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