税理士が教える ! 税務調査の基礎知識
税務・財務

税務調査とは


「税務調査」とはよく聞く言葉ですが、税務調査をきちんと理解している経営者は、ほとんどいないのが実態です。なにせ、多くの会社や社長にとって税務調査は、オリンピックよりも頻度が低いイベントなのですから、当然といえば当然でしょう。

ずばり税務調査とは何かというと、税務署の国税調査官という公務員が会社に来て、帳簿類などを確認して、税金の計算に誤りがないかどうかを確認することです。

もう少し詳細に説明すると、調査官が帳簿などを見てよくわからないことがあると質問してきますので、それに回答しなければなりません。

「この接待交際費って、誰と行ったんですか?」
「これは4月の売上になっていますが、3月の売上じゃないんですか?」
「奥さんが役員になってますが、奥さんは具体的にどんな仕事をしているのですか?」
「この取引に関する契約書を見せてください」

あくまでも例示ですが、このような質問が典型的なものです。

帳簿の内容を確認するだけなら税理士が回答できるのですが、社長や会社の人でないとわからないことも多いため、実際には調査官の質問には、社長に回答してもらうことになるのです。


税務調査で大変なのは時間拘束


税務調査で大変なのは、時間的拘束かもしれません。短いときは1日で終わる税務調査もあるのですが、2日間程度行われるのが普通です。午前10時から始まり、正午あたりから昼休憩をはさんで、夕方3~4時まで行われるのが一般的です。2日間というのも、あくまでも税務調査であまり問題が出なかったときであって、問題が出れば出るほど、その日数はどんどん伸びていく可能性があります。

社長としては、税務調査の予定が入ってしまうと、税務調査に対応する時間が必要になるため、ちょっと大変です。ただし税務調査といっても、ずっとそばに付いている必要はないので、打ち合わせ等で外出することも問題ありません。この間の質問に対しては翌日回答するようなことも可能です。

なお税務調査は、10日~2週間前に税務署から連絡があって予定を調整して決めることが通常です。しかし、事前の連絡なく税務調査が行われる、つまりある日突然いきなり、調査官が会社にやってくることもあります。これは「無予告調査」と呼ばれるものです。

税務調査を断ることはできません


経営者にとって税務調査は嬉しいイベントではないですよね。だからちょっと考えてみると、「そもそも税務調査を断ることができるのではないか?」と思ってしまいます。

さて結論から書くと、税務調査は断ることができません。残念かもしれませんがこれが事実です。断ることができるのであれば、誰でも断っているかもしれませんが・・・。

断ることができないのは、法律の解釈からになります。法律など面倒かもしれませんが、少しだけお付き合いください。

国税通則法第74条の2(当該職員の所得税等に関する調査に係る質問検査権)
国税庁、国税局若しくは税務署(以下「国税庁等」という。)又は税関の当該職員(税関の当該職員にあつては、消費税に関する調査を行う場合に限る。)は、所得税、法人税又は消費税に関する調査について必要があるときは、次の各号に掲げる調査の区分に応じ、当該各号に定める者に質問し、その者の事業に関する帳簿書類その他の物件(税関の当該職員が行う調査にあつては、課税貨物(消費税法第二条第一項第十一号(定義)に規定する課税貨物をいう。第四号イにおいて同じ。)又はその帳簿書類その他の物件とする。)を検査し、又は当該物件(その写しを含む。次条から第七十四条の六まで(当該職員の質問検査権)において同じ。)の提示若しくは提出を求めることができる。


同法の74条の3では相続税について同様の条文があります。

実は法律上、「税務調査」という言葉はありません。この法律によって、税務署の調査官には「質問検査権」という職権があると認められています。これが一般的にいう(税務)調査なのです。

さらに法律は続きます。

国税通則法第百二十六条
次の各号のいずれかに該当する者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰
金に処する。
一(省略)
二(省略~)(当該職員の質問検査権)の規定による当該職員の質問に対して答
弁せず、若しくは偽りの答弁をし、又はこれらの規定による検査、採取、移動の禁
止若しくは封かんの実施を拒み、妨げ、若しくは忌避した者
三(省略~)物件の提示又は提出の要求に対し、正当な理由がなくこれに応じず、
又は偽りの記載若しくは記録をした帳簿書類その他の物件(その写しを含む。)を
提示し、若しくは提出した者


つまり、調査官が質問したことに対して、何も答えなかったり、嘘を答えたような場合、また税務調査で偽物の帳簿なんかを提示した場合は、「1年以下の懲役又は50万円以下の罰金」という罰則が定められているのです。

ですから法律上、税務調査は断れないとなっていて、黙秘権もありません。

ただし、税務調査は「今すぐ」受けなければならない、というものではありません。仕事で多忙な時期や、個人的な事情がある場合、時期はずらしてもらえますので、その際は率直に調査官に伝えましょう。


まとめ


税務調査の基本についてご紹介しましたがいかがでしたでしょうか。
ご不明な点がございましたら、お気軽にご相談ください。

参照 : SHARES 田中雅明税理士事務所 田中雅明のページ

※ この記事は平成25年12月時点の法令等に基づいて記述しております。


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