要確認 ! 無期転換ルール導入に伴う「4つの誤解」と「特例措置」
労務


無期転換ルールにまつわる4つの誤解


平成25年4月1日施行の改正労働契約法により、有期雇用労働者に対する無期転換ルールが導入されたことは、すでに皆さんご存知の通りです。

ルールの概要を簡単に復習すると、
■ 「同一の使用者(企業)」との間で
■ 「契約更新が1回以上行われている」有期雇用労働者の
■ 「有期雇用契約期間が通算5年を超える」ときに、
■ 労働者からの申込により、期間の定めのない契約に転換される

となりますが、企業においてはいくつか誤解されている点もあるようです。

ここでは、無期転換ルールに関するご質問として多い4点をピックアップして解説しておきます。

Q.有期雇用労働者を皆、無期転換させなければならない?


A.無期転換ルールの趣旨は、「労働者が無期労働契約の申込みをすれば、使用者はこれを承諾したものとみなす」というものです。
よって、労働者自身が有期雇用契約を望むのであれば転換する必要はなく、現状の働き方を維持することができます。
ただし、対象者から無期転換の申込があった場合、会社は労働者の希望通り転換させなければなりません。


Q.申込があったら、正社員にしてあげなければならない?


A.無期転換ルールは、必ずしも「正社員に転換しなければならない」というものではありません。通常の正社員の他にも、配置転換や転勤、仕事内容や勤務時間などの範囲が限定された「多様な正社員」、正社員としてではなく契約期限に定めを設けない「無期雇用労働者」などへの転換が認められています。


Q.賃金水準を上げなければならない?


A.無期転換ルールでは、具体的な労働条件の向上までは規定されていません。賃金に関して言えば、現状の契約内容と同等であれば良いとされています。


Q.どんな有期雇用労働者にも、例外なく無期転換ルールを適用しなければならない?


A.この点について、平成27年4月1日に施行された「有期雇用特別措置法」(「専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法」)により、無期転換ルールの特例が明文化されました。次章で解説していくことにいたしましょう。


特例扱いとなるのは「高度専門職」と「継続雇用の高齢者」


無期転換ルールの特例の対象となるのは、下記に該当する有期雇用労働者です。

1.「5年を超える一定の期間内に完了することが予定されている業務」に就く高度専門的知識等を有する有期雇用労働者(年収1,075万円以上)

※具体的には、次の(1)~(7)のいずれかに当てはまる方を指します
(1) 博士の学位を有する者
(2) 公認会計士、医師、歯科医師、獣医師、弁護士、一級建築士、税理士、薬剤師、社会保険労務士、不動産鑑定士、技術士または弁理士
(3) ITストラテジスト、システムアナリスト、アクチュアリーの資格試験に合格している者
(4) 特許発明の発明者、登録意匠の創作者、登録品種の育成者
(5) 大学卒で5年、短大・高専卒で6年、高卒で7年以上の実務経験を有する農林水産業・鉱工業・機械・電気・建築・土木の技術者、システムエンジニアまたはデザイナー
(6) システムエンジニアとしての実務経験5年以上を有するシステムコンサルタント
(7) 国等によって知識等が優れたものであると認定され、上記(1)から(6)までに掲げる者に準ずるものとして厚生労働省労働基準局長が認める者

2.定年後に有期労働契約で継続雇用される高齢者
「1」についてはプロジェクト単位で契約する専門職の場合、5年を超える契約期間であっても「10年を上限」として無期転換申込権が発生しません。 「2」については「適切な雇用管理に関する計画を作成し、都道府県労働局長の認定を受けた事業主」に、定年後も引き続き雇用されている場合の特例となっています。

具体的な要件や事例については、下記リーフレットをご参照ください。

参照 : 厚生労働省「「高度専門職・継続雇用の高齢者に関する無期転換ルールの特例について」


特例措置の適用を受ける事業主は、所定の手続きを


無期雇用転換ルールの特例措置を受けるためには、高度専門職の場合には「第一種計画認定・変更申請書」、継続雇用高齢者の場合には「第二種計画認定・変更申請書」をそれぞれ提出し、都道府県労働局長の認定を受ける必要があります。

参照 : 厚生労働省「労働契約法の改正について~有期労働契約の新しいルールができました~」 ページ中段「参考:高度な専門的知識等を有する有期雇用労働者及び定年後引き続き雇用される有期雇用労働者に対する労働契約法の特例について」

申請書の様式をご覧いただくと分かるのですが、「雇用管理に関する措置」についての計画を立てる必要があります。具体的な措置の内容については、パンフレット16、17ページにてご確認ください。

参照 : 厚生労働省「「高度専門職・継続雇用の高齢者に関する無期転換ルールの特例について」


まとめ


早ければ来年4月にも対応を迫られる有期雇用労働者の無期転換。適切な導入、運用を進める上では、大前提として「制度を正しく理解すること」が不可欠です。

厚生労働省からはポータルサイト等を通じた周知が図られていますので、ぜひ一度ご確認いただければと思います。

参照 : 厚生労働省「有期契約労働者の無期転換ポータルサイト」

ご不明な点や対応に関わるご相談は、社会保険労務士にお問い合わせください!
参照 : SHARES 社会保険労務士 丸山博美のページ

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