弁理士が解説する、協会ビジネスにおける商標登録の重要性とポイント
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この記事の目次

協会ビジネスと商標登録


近年、非常に注目を浴びている「協会ビジネス」、特に協会の「作り方」について、よくある質問をまとめました。


(Q1)協会ビジネスでは商標登録が必須と言われたのですが、なぜでしょうか ?


協会ビジネスにおいて、商標登録が非常に大事な理由は、協会員の利益を守るためです。協会は、自分らのためだけではなく、協会員のために、しっかり協会のブランドを守らなくてはなりません。

協会ビジネスにおいては、「協会員」が重要なお客様となります。ここでの協会員というのはつまり、協会から知識やノウハウを学んで、プロのインストラクターとして事業をしようとしている人たちです。

この協会員にとって、この協会の会員でいる最大のメリットは、知識やノウハウを学べることではありません。知識やノウハウを学ぶだけであれば、学んだ後は、協会をやめてしまって問題ないわけです。それでは、ずっと協会員でいるメリットは何かというと、その協会の商標(ブランド)を使えることです。

例えば、「〇〇協会認定インストラクター」という肩書きだったり、協会が認定する「〇〇インストラクター」という資格名を使うことができます。インストラクター達は、このように協会の名前や資格名を使ってお客様から信頼を得るために、継続的に協会員になります。
ここでもし、協会運営側が商標登録を怠ったことにより、誰かに先に同じ名前を商標登録されてしまい、この名前が途中から使えなくなったとしたら。それは、協会員にとっては、お金をかけてこの協会で資格を取った意味がなくなるといっても過言ではないのです。


(Q2)協会名と資格名のどちらで商標登録するか、迷っております。


協会名については、商標登録は非常に大事で、いつかは商標登録しなければなりまん。

では、最初に商標登録するとき、協会名と資格名のどちらを優先するかについては、「需要者に対して強く認識してもらうのはどちらか ? 」を考えてください。ここでいう「需要者」というのは、協会員や、サービスのエンドユーザー、取引先などです。個人的には、協会名を先に登録した方が、「〇〇協会認定××インストラクター」といったような形で、××の部分をいろいろ変えて使えるので、使いやすいかなと思います。

一方で、英検、漢検、相続診断士のように、運営団体は別に有名ではないけれど資格自体が有名、という資格を目指すのであれば、先に資格名を商標登録する手もあるかと思います。

協会の作り方の関係(商標登録、商号の登記、法人設立)


近年、非常に注目を浴びている「協会ビジネス」について、特に、協会を作った後の「運営の仕方」について、よくある質問をまとめました。


(Q1)〇〇協会は、一般社団法人やNPO法人でなくてはなりませんか ?


〇〇協会という団体名は、特に法律で定められたものではありません。一般社団法人やNPO法人の形態をとるものが目立ちますが、実は、法人でなくてはならないという決まりはなく、法人登記はしていないいわゆる「任意団体」もたくさん存在します。また、協会自体は任意団体だけれど、その運営は株式会社がやっているという場合も多く見かけます。

〇〇協会を一般社団法人などとして登記する理由は、法律的にはそれほど大きな意味はなく、世間的に「公益性が高い団体だ」という印象を与えることが大きいようです。

協会ビジネスを考える方は、協会の法人化よりも、先に協会の名前をおさえるために、商標登録を検討することをお勧めいたします。


(Q2)〇〇協会という団体を作りたいと思っています。商標登録する前に、一般社団法人の登記をした方が良いでしょうか ?


まず、大前提のお話ですが、〇〇協会という団体を作るときに、必ずしも「一般社団法人」とする必要はありません。新しく一般社団法人を作ることなく、今まで経営していた株式会社や個人事業の中で「〇〇協会」というものを運営するという方法もあります。

ですから、どちらかというと、一般社団法人の設立よりも、商標登録の方が優先となります。何故ならば、商標登録は早い者勝ちだからです。「〇〇協会」という名称を商標登録をせずに「一般社団法人〇〇協会」を登記した場合、もし誰かに先に「〇〇協会」という名称をを商標登録されてしまったら、登記した法人名も自由に使えなくなってしまいます。

次に、「一般社団法人〇〇協会」という団体を作る、と決めている場合は、どうでしょうか ?
この場合は、次の順番をとるのがベストだと考えます。

(1) 弁理士に「〇〇協会」という名前が商標登録できるかどうかを調査してもらう。
(2)調査結果、「〇〇協会」の商標登録が可能(他人に商標登録されていない)ことが確認されたら、商標登録を正式に依頼する。
(3) 急いで「一般社団法人〇〇協会」の法人登記をする。
(4)弁理士は、商標登録の名義人を「一般社団法人〇〇協会」として、商標登録の手続きをする。


この手順をとるのがベストな理由は、せっかく法人を作るのだから、最初から法人名義で商標登録する方が良いためです。ただし、個人名義で商標登録することも可能ですし、少しお金はかかりますが、後ほど商標登録の名義を個人名義から法人名義に変更することもできますので、とりあえずは個人名義で商標登録するということでも構いません。


(Q3)「一般社団法人〇〇協会」の商号を登記する時、司法書士の方に「その名前を使っても良いか」チェックしてもらいましたので、商標登録はしなくても大丈夫でしょうか ?


これは、司法書士の方がどのような調査をして「その名前を使っても大丈夫」と言っているかにもよります。もし、司法書士の方が、特許庁のデータベースで商標の調査をしたということであれば、それは”ある程度”信頼できる調査結果だと思います。

ただし、本来は、商標の調査は、類似範囲まで調べなくてはなりません。これは、なかなかに難しい調査で、商標専門の弁理士でなければ判断が難しいのが現状です(弁理士であっても判断が難しいグレーゾーンもあります)。

しかし、誰が調査したにせよ、調査の結果がわかるのは、「現在の状況」だけです。日本では、一日に数百件の商標登録がされています。本日、「〇〇協会」という商標が商標登録されていなかったとしても、明日、誰が商標登録するかわかりません。法人を作って本気で活動するような方は、なるべく早く商標登録をすることをお勧めします。


(Q4)「一般社団法人〇〇協会」で商号の登記ができましたが、商標登録もする必要があるでしょうか ?


これは、一般社団法人に限ることではありませんが、法人登記と商標登録は、全く異なる制度であり、相互に関連していない制度です。商号を登記する時に、その商号がすでに商標登録をされているかどうかは全く考慮されませんし、調べてもくれません。

法人登記は、「同じ住所」に同じ商号の法人が登記されていなければ、登記することができます(ですので、同じ名前の法人は日本にいくらでもあり得ます)。
一方で、商標登録により発生する「商標権」は、日本においてその商標を独占する権利です。もしある業種にて商標登録をしたら、日本において、同じ業種に同じ商標を使うことはできません。

つまり、結論として、「一般社団法人〇〇協会」という商号で法人登記したとしても、もし、将来「〇〇協会」という商標を誰かに商標登録されたら(あるいは最悪すでにされていたら)、「〇〇協会」という協会名は自由に使えなくなってしまうということです。


まとめ


いかがでしたでしょうか ? 協会ビジネスにおける、商標登録の重要性や、商標登録、法人設立などの手続きのタイミングがわかっていただけたのではないかと思います。協会の商標登録、内部規約の作成などについては、一度専門家と話してみると安心です。

無料相談も承っておりますので、お気軽にご相談ください。
参照 : SHARES 弁理士 井上暁彦のページ


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