特許庁からの注意喚起!商標登録をする予定の方は必ずチェック
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ここ数年、一部の出願人により、他人の商標が大量に出願されるという事態が問題視されており、今年だけでもその数は8,000件を超えています。これにより、商標権侵害に該当することをおそれ、自社商標の使用中止や変更を行った企業や自治体もあります。

実際に群馬県の太田市では秋に開館予定の市美術館・図書館の愛称「おおたBITO」を使用しない事を決めました。
参考:群馬)愛称BITO「使わない」 太田市美術館・図書館 - 朝日新聞デジタル

しかし、一部の出願人が大量に商標を出願しており、その出願は却下される可能性が高い、という現状があります。もしサービス名、愛称の使用中止・変更を検討している場合は詳細に調査をするべきです。

特許庁からの注意喚起


今回の事態を踏まえ、先週特許庁から発表がありました。
自らの商標を他人に商標登録出願されている皆様へ(ご注意) - 特許庁

この発表によると、最近なされている一部の出願人による他人の商標の先取りとなる大量出願の多くには出願手数料の支払いがありません。
また、出願手数料の支払いがあった場合でも出願された商標が出願人の業務に無関係な場合や、他人の著名な商標の先取りとなるような出願の場合などの拒絶理由に該当するため、商標登録される可能性は低い、と説明があります。

しかし、群馬県の事例にあるように商標権侵害を恐れ、サービス名の変更をしてしまう、などのケースが発生しています。
その背景には、商標検索サービスの仕組みが十分理解されていない、という現状があります。

特許情報プラットフォーム「J-PlatPat」利用時の注意点


J-Platpatとは無料で使用出来る商標のデータベースです。
(参考記事:商標を決める前にまずは検索!商標検索(商標調査)のコツを伝授)

このJ-PlatPatを利用して検索をした結果、自社で登録を検討していた商標が登録済みであったと思い、サービス名の変更や商標登録の申請を断念してしまうケースが発生しています。

J-PlatPatを利用する際には以下の点に注意が必要です。

■ J-PlatPat利用時の注意点まとめ
・商標登録出願されると出願された商標が登録されたか否か無関係に出願公開公報及びJ-PlatPatにおいて公表される

・特許庁が出願の却下処分を行うのには出願の日から一定の期間を要する

・一部出願人から大量に出願された内の一つであるのか、そうでないのかの判断がつきにくい

また、下記が特許庁の発表内容の引用です。

■ 自らの商標を他人に商標登録出願されている皆様へ(ご注意)
最近、一部の出願人の方から他人の商標の先取りとなるような出願などの商標登録出願が大量に行われています。しかも、これらのほとんどが出願手数料の支払いのない手続上の瑕疵のある出願となっています。

特許庁では、このような出願については、出願の日から一定の期間は要するものの、出願の却下処分※1を行っています。

また、仮に出願手数料の支払いがあった場合でも、出願された商標が、出願人の業務に係る商品・役務について使用するものでない場合(商標法第3条第1項柱書)※2や、他人の著名な商標の先取りとなるような出願や第三者の公益的なマークの出願である等の場合(同法第4条第1項各号)※3には、商標登録されることはありません。

したがいまして、仮にご自身の商標について、このような出願が他人からなされていたとしても、ご自身の商標登録を断念する等の対応をされることのないようご注意ください。

なお、これらの出願についても、出願公開公報やJ-PlatPat※4にて公表されますが、当該情報はあくまでも商標登録出願がなされたという情報の提供であり、これらの出願に係る商標が商標登録されたことを示すものではありません。

出典:自らの商標を他人に商標登録出願されている皆様へ(ご注意) - 特許庁

つまり、J-PlatPatに公表されていたとしても、商標登録が可能な場合がある、ということになります。

商標について悩んだ際には弁理士にご相談ください


実は、商標弁理士の間では一部の出願人がある特定の人物と企業である事が知られています。他人から自社商標を商標登録出願されたときは、すぐに商標権侵害に該当するからと自社商標の使用中止や変更を行うのではなく一度商標に関するプロフェッショナルである弁理士に相談することをおすすめします。

まとめ


J-PlatPatを用いた商標調査をする場合は、商標登録出願をした時点で検索結果として反映される事を念頭に置きご利用ください。
サービス名の使用中止や変更を行うのは大変です。まずはお気軽に弁理士にご相談ください。

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