商標登録の「区分」って何? 弁理士に相談する前に知っておきたい基礎知識
知財


この記事の目次

1.商品役務の区分とは


SHARESで商標登録の見積を依頼する画面で「登録する区分数」というのがありますが、何の数なのかおわかりにならない方も多いと思います。そこで、この記事では、この「区分」について解説します。

商標登録出願をする際に願書に記載する項目の一つに「指定商品又は指定役務並びに商品及び役務の区分」があります。
「指定商標又は指定役務」(以下、「指定商品・役務」と書きます)は、商標を使用する商品・役務(サービス)の種類ことで、たとえば、「洋服」、「野菜」、「広告業」、「宿泊施設の提供」などです。

商品・役務には非常に多くの種類があるわけですが、商標法ではこれらを大きな括りとして商品34類、役務11類の合計45類に分類しています。
商標法施行令第2条別表、2018年1月1日現在

そして、「区分」というのは、指定商品・役務がどの類に属するかを表すもので、願書には【第1類】のように記載します。指定商品・役務の内容によっては区分が複数となる場合もありますが、1件の出願とすることができます。
そして、「区分数」というのは指定商品・役務が属する類の数ということになります。たとえば、指定商品・役務が第29類と第30類の2つの類に属するならば区分数は「2」となります。
なお、願書には【第1類】等の後に商品・役務名を書きますが、これは上記の別表内の名称とは異なりますのでご注意ください。商品・役務名については、特許庁の「類似商品・役務審査基準」に各類に属する商品・役務のリストがありますので、これにしたがって書くのが基本となります。
特許庁の「類似商品・役務審査基準」

2.区分数を知るには


区分数をはっきり書いていただければスムーズに見積に進むことができて助かりますが、良くおわかりにならない場合でも、取り扱われる商品・役務を教えていただければ弁理士から提案することができますので、ご遠慮なくご相談ください。

ご自分で区分数を調べるには次のような方法があります。注意点としては、たとえば「食品」のように、普通は一つの言葉で表すものでも複数の区分にまたがっていることがあることです。

(1)別表


事業内容によっては別表だけで分かることもあります。たとえば、日本酒とソフトドリンクを製造しているとしたら、第31類(ビールを除くアルコール飲料)、第30類(アルコールを含有しない飲料及びビール)の2区分であることが容易に分かると思います。

また、商品は上の例と同じでも仕入れた商品を小売りしているのなら、第35類(小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供)の1区分であることがわかります。

(2)類似商品・役務審査基準またはJ-PlatPat


商品・役務名がはっきりしていても別表だけではどの類になるのか分からないことがあります。たとえば、洋服と財布を製造しているとします。

洋服は第25類の「被服」でよさそうですが、「財布」がどの類になるのか分かりません。財布も身につけていることが多いので「被服」に含まれるようにも思えますが確信は持てません。

このような場合に商品・役務がどの類に含まれるか調べる方法の一つとして前出の「類似商品・役務審査基準」を検索する方法があります。上記のURLまたはダウンロードしたPDFファイルで「財布」を検索しますと、他にもありますが第18類に「財布」そのものがありますので、この例の場合25類と18類の2区分となることが分かります。

この方法の利点は、検索した商品・役務名の1つ上の階層の名前があれば、それが分かることです。「財布」の例ですと「財布」は1つ上の階層の分類「かばん類 袋物」に含まれることが分かり、「財布」とするよりも広い商品名を指定できます。

もう一つの方法として独立行政法人工業所有権情報・研修館が提供するJ-PlatPat(特許情報プラットフォーム)があります。トップページから「商標」→「6.商品・役務名検索」と進んでいただきますと、 検索条件の入力画面となります。

この画面で、「区分」と「類似群コード」は空欄で結構ですから「役務・商品名」の欄に検索する商品・役務名を入力して検索ボタンを押します。そうすると、これまでの出願で指定商品・役務に指定した文字が含まれているものの一覧が表示されます。下の図は検索結果の一例です。上記の「財布」の例ですと40件くらいがヒットし(検索結果は検索した日時により変わってきます)、「財布」は18類であることが分かります。

区分


この方法の利点は、検索結果が一覧され見やすいことと、新種の商品などで類似商品役務審査基準にも記載されていない商品・役務でも近いものが見つけやすいことです。

3.区分数がなぜ重要か


お見積もりにあたって区分数が必要となるのは、特許庁に支払う料金、具体的には出願時に支払う出願料、登録査定が出たときに支払う設定登録料、登録の更新時(登録から10年ごと)に支払う更新料が区分数によって決まってくるからです。

区分数をNとしますと、各料金は次のようになります(2018年1月1日現在)。ほぼ、区分数に比例して高くなる料金体系となっています。なお、設定登録料と更新料については5年分ずつの分割払いとすることもできますが、同様の料金体系となります。
出願料:¥3,400+N×¥8,600
設定登録料:N×¥28,200
更新料:N×¥38,8200

また、特許事務所の料金体系も区分数によって決まっていることがあります。区分数による場合は、同じ1件の出願でも区分数が多くなれば料金が高くなります。

ただ、特許事務所の料金体系には、区分数によらず一定、区分数ではなく類似群コード(類似商品・役務審査基準の商品名が書かれている枠(通称「短冊」)内に書かれている「38A01」等の記号、 区分より細かい商品・役務の分類で審査の際はこの記号によって商品・役務の類似を判断する)の数により決まる、など様々ありますのでご依頼前に料金体系を確認することが必要です。

このように、商標権の取得・維持にかかる費用は区分数により大きく変動します。指定商品・役務を決めるにあたっては取り扱う商品・役務を全てカバーするのに越したことはありませんが、区分数が増えないように主な商品だけにするという選択肢もあります。

たとえば、上記の「洋服」と「財布」の例で、これらの主力商品の他に「絨毯」も少量製造しているとします。「絨毯」もカバーしようとすれば「絨毯」は第27類であるため、3区分になってしまいます。指定商品以外の商品を扱うことは差し支えありませんので、このような場合には費用を抑えるために「絨毯」については登録を見合わせるということもあります。

なお、一つの区分内でしたら、指定商品・役務の数がいくつでも特許庁の料金は変わりませんので、将来の事業拡大を見越して実際に扱っている商品よりはやや広めに指定しておくこともできます。

まとめ


・商標法では商品・役務が45類に分類されていて、「区分」とは商標を使用する商品・役務が属する類のことである。商品・役務が属する類の数が区分数である。

・区分数は、商標法施行令第2条別表、類似商品・役務審査基準、J-PlatPatなどによって調べることができる。

・特許庁の料金は区分数により決まり、特許事務所の料金も区分数により決まる場合がある。

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