チャレンジしてみませんか?中小企業でも特許はとれます。
知財


この記事の目次

1.特許取得のハードルはそれほど高くない


(1)大発明でなくても特許は取れる


「特許発明」と聞くと「画期的な大発明」を想像される方もいらっしゃるかもしれません。しかし、実際に特許になっている発明を見ますと「ちょっとした工夫」といった程度で十分特許を取得できることが分かります。

最近の特許公報から分かりやすい例を探してみますと、下図の発明が見つかりました(特許6335850号)。図は作業着などの袖に取り付けるアームカバーですが、袖本体部1の内側に帯状の異物捕捉部21が設けられていることが特徴です。

図の上の方から落下してくる異物を袖本体部1と異物捕捉部21の間のポケット状空隙33で捉え、袖口17aから落下して食品などに混入することを防ぎます。異物捕捉部を設けることは先行文献に開示されていましたが、反転防止手段31を設ける(たとえば本体の合わせ目1cのところで縦方向に縫い止める)工夫をして、腕を通したときに異物捕捉部が袖口側に折り返されないようにした点に進歩性が認められ特許となっています。

図

(2)大企業でなくても特許は取れる


特許庁「特許行政年次報告書2017年版<本編>p,65」には、「我が国の中小企業数は、およそ381万社と全企業数の99.7%以上を占め、イノベーションを促進させる上で中小企業の果たす役割は大きい。しかし、近年の内国人の特許出願件数に占める中小企業の割合は15%にすぎない。」とあります。

たしかに企業数の割合からすれば少ないですが、 同<統計・資料編>p,15によりますと、2016年の内国人(住所が日本国内にある会社・人)の出願が約26万件であることから、中小企業による出願が約3万9千件もあったということになります。

この数字から、特許は大企業だけのものではないことが分かると思います。上記の本編の記述も「中小企業には特許を取れる発明が実際にはもっとたくさんあるはずだ」という特許庁の期待の表れではないでしょうか。

(3)商用レベルで完成していなくても良い


弁理士は「発明の完成」という言葉を使うことがありますが、これは「出願が可能な(明細書が書ける)程度に完成している」という意味で、まだ商用化にはほど遠いレベルであってもかまいません。言い方を変えると、専門家の視点で「一応作ることができそう」といった程度に発明が具体化していれば、どんなに高コストでも歩留まりが悪くても出願することはできるのです。

2.弁理士に依頼を


最近では、一般向けの解説などもありますから、初めての方が自力で出願するのも不可能とまでは言えないかもしれません。しかし、次の理由から特許出願は弁理士に依頼されることをお薦めします。

(1)出願書類の作成は慣れないと無理


特許出願するためには、願書に、明細書、特許請求の範囲、図面(発明の内容によっては不要)、要約書を添付して特許庁に提出する必要があります。これらの書類を適切に作成するには、技術だけでなく特許法や審査基準などの特許庁の実務に精通している必要があります。
必要な書類がそろっていて様式上の条件を満足していれば、受理してもらえますが、後で述べる中間処理に耐えられるものを慣れない方が誰からも指導を受けずに書くのは非常に困難です。審査官が指摘した引用例などで、出願人の方が自ら書いたとおぼしきものを目にすることがありますが、「いい発明なのにもったいない」と思うことがしばしばあります。

(2)出願すべきかの判断


この記事は、出願をお薦めするものですが、やはり出願をすべきでない場合もあります。たとえば、「ノウハウとして保持した方が得策」、「特許の対象となる発明ではないことが明らか」といった場合です。
このような判断を的確にするのは、特許法と出願手続に精通した弁理士でないと困難です。

(3)中間処理


特許の場合、いきなり特許査定をもらえるということは少なく、拒絶理由通知を受けることが普通です。この拒絶理由通知に対しては、手続補正書(出願書類、主に特許請求の範囲を修正する書類)、意見書(補正の結果拒絶理由が解消したことを説明したり、審査官の判断に対する反論を述べたりする書類)を提出することができます。また、審査官の最終判断として拒絶査定となった場合でも、拒絶査定不服審判を請求することができ、権利化のチャンスはあります。

このような手続を「中間処理」と称していますが、拒絶理由通知の内容を理解し、権利化の見込みがあるのか、あるとしたらどのような書類を提出すればよいのか、を的確に判断することは慣れない方には困難です。 中間処理から弁理士に依頼するという手もありますが、費用が余計にかかったり、出願書類の記載が不十分で手の打ちようがないといったこともありますので、出願から弁理士に依頼することをお勧めします。

3.弁理士に依頼するには


弁理士が一番知りたいのは出願しようとする発明の「従来の物や方法との違い」と、「その違いの結果どんな効果(利点)があるのか」です。極端に言えば、これさえ分かれば出願書類を作ることができます。

大手企業様で使っている「発明提案書」のような立派なものは必ずしも必要でなく、上記の2点を簡単に書いたものがあれば十分です。また、現物や設計図ができているという場合は、それらを元に説明いただいても結構です。
そのほか、お客様にお願いしたいのは、書類の作成中に生じた疑問点について教えていだだくことと、作成した書類の技術面のチェックを行っていただくことくらいです。したがいまして、出願のためにお客様が多くの時間を割く必要はありません。

費用がいくらかかるかが、最も関心が高いことかもしれませんが、弁理士の報酬については、事務所や内容(ページ数、図数、請求項数など)によりかなり幅がありますので、各事務所のウェブサイトなどでご確認いただけたらと思います。また、多くの事務所では、ご依頼があれば見積書を提出しています。

特許庁の料金については、特許庁サイト「産業財産権関係料金一覧」をご確認ください。なお、この記事の執筆時点では施行日が確定していませんが、中小企業が特許料・出願審査請求料の減免を受けやすくなる法改正が国会で成立しました。従来から減免制度はありましたが、適用条件が緩和され、一層中小企業が特許制度を利用しやすくなります。

弁理士の職業倫理として、ご相談内容を第三者に漏らすことはいたしませんし、無理に出願を勧めることもいたしませんので、思い立ったときに、お気軽に相談いただけたらと思います。

まとめ


特許取得のハードルは高くなく中小企業でも取得できます。しかし、出願は弁理士に依頼することが無難でかつ簡単です。基本的には、発明のポイントを弁理士に説明するだけで可能です。

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