商標が登録査定を受けるための条件とは
さて、出願された商標が登録査定を受けるための条件とは何でしょうか。
逆説的にはなりますが、答えは「審査官に拒絶理由を発見されないこと」です。今回はこの「拒絶理由」について詳しくみていきましょう。
判断基準にあいまいさがあってはいけない
まず前提の考え方として、商標権は国家が権利を与えるものですので、登録や拒絶の基準があいまいで審査官の裁量に任されては困ります。
審査官の間で発生する判断基準のあいまいさを排除するために、「拒絶理由に該当する場合」が法律によって明確に規程されています。
それに該当すれば「拒絶」に、該当しなければ、言い換えれば拒絶理由が見つけられなければ「登録」になるということです。
拒絶理由は限定列挙
前述したように、商標法では拒絶理由に該当する場合を明確にしています。これを限定列挙といい、列挙されていない他の理由で拒絶することはできないことになっています。
各条項についての詳細は省きますが、拒絶理由が明確に規程されている以上、同じ内容で何度出願しても基本的には結果は同じになります。
もし「拒絶」という判断がなされた場合には修正の機会が与えられるのでしっかり対応すれば大丈夫です。そのあたりも含めて、審査の流れについてご説明します。
商標登録の審査の流れについて
ここからは審査官による実際の審査の進め方について説明していきます。
① 商標の認定
出願された商標がどのようなものか、まず把握する必要があります。
文字商標なのか、ロゴマークなのか、立体的な商標なのか、いわゆる新商標(音、動き、色など)なのかを見てどのような商標が出願されたか認定していきます。
② 指定商品・指定役務の調査検討
願書には登録したい商標をどの商品やサービスで使用するかを記載する必要があります。これは権利の範囲を明確にするためです。審査官はその記載された商品やサービス(役務)が明確に把握できるものなのかを見ていきます。
また、出願に伴う印紙代は区分の数で変わりますので、特許庁が定めた正しい区分で出願されているかの判断もここでなされます。
③ 登録要件の調査検討
自己の業務に係る商品・役務について使用する商標を登録する主旨からその商標は実際に使用されているのか使用される予定の商標なのかを審査官は見ていきます。
また、他との商標と区別できるからこそ、その出願人の商標として登録を認めるものであることから、他から識別できる商標であるか審査官は調べていきます。
④ 不登録事由の調査検討
一般的な登録要件を満たす内容の出願であっても、すでに登録された商標と同一類似の範囲で登録を認めるわけにはいきません。
また、たとえ登録されていない商標であっても他の団体や海外の組織を示すような商標の登録を認めると市場の混乱をもたらすおそれもあることから、そのような出願された商標に登録を認めることはできません。
このようにあらかじめ決められた不登録事由に該当するかどうか、審査官は見ていきます。
⑤ 査定
拒絶理由として挙げられている条文の内容に該当しない出願は登録査定となります。
一方、審査官が拒絶理由にとして挙げられている条文の内容のどれか1つでも該当すると判断した場合には、審査官は出願人に対し意見を述べる機会や指定商品・役務の削除や修正という補正の機会が与えます。
これらのやり取りをしてもなおまだ審査官が拒絶理由に該当していると判断した場合は拒絶査定となります。
まとめ
今回は審査の進め方の概要を説明いたしましたが、いかがでしたでしょうか。
商標出願書類の作成は自分でなんとかできても、登録の要件をそれぞれ検討していくのは困難で、時間がかかってしまいます。
商標登録をご検討の際は、まずは弁理士にご相談されることをおすすめいたします。 ご不明な点がございましたら、お気軽にご相談ください。
最適な出願のためのアドバイスをさせていただきます。
参照 : SHARES 弁理士 前田健一のページ