コア・バリューを守れ! ビジネスモデル特許のとり方
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ビジネスモデル特許とは


ビジネスモデル特許とは、ビジネスモデルに係る特許のことです。しかし、ビジネスモデル本来の語義である利益を生む仕組みそのものを保護するものではありません。そもそも特許とは、技術的思想の創作である「発明」を保護する制度です。
したがって、ビジネスモデルのうちなんらかの技術的要素(特に多いのがソフトウェアを用いるもの)を含むものであることが特許として成立する条件となります。これには、「コンピュータソフトウェア関連発明」についての理解が必要です。

以下、「コンピュータソフトウェア関連発明」に分類されるビジネスモデル特許につき、どのような観点で権利化を目指すのかについて説明します。

《ポイント》
●そもそもビジネスモデル自体が特許となるわけではない
●技術的思想たるハードウェアを規定する必要がある
●ソフトウェアとハードウェアが協働して動作する

《amazon 1-Click(ワンクリック)特許の例》
これは、世界で最も有名で、ライバルに対する影響力をいかんなく発揮したビジネスモデル特許です。

今回は、Amazon 1-Click(ワンクリック)特許を例にとって、ビジネスモデル特許の権利化に向けた検討事項について説明していきたいと思います。

「コンピュータソフトウェア関連発明」の権利化に向けて

Level 1.ビジネスモデル自体の権利化→NG

1-Click(ワンクリック):従来のショッピングカートモデルに変えて、1-Click(ワンクリック)で商品のオンライン購入を可能にするビジネスモデル。

■要件1.「自然法則を利用した技術的思想の創作」であること
新規なビジネスモデルを考案し、いかに売上に貢献しようとも、ビジネスモデル自体は「人為的な取決め」です。すなわち、「自然法則を利用した技術的思想の創作」には当たらないので、ビジネスモデル特許を取得することはできません。「自然法則を利用した技術的思想の創作」とされるためには、何らかの技術的要素であるハードウェアを規定する必要があります。

■NG例
ユーザーが購入したい商品を1-Click(ワンクリック)すると、その商品の購入注文(決済)を完了させるショッピング方法。

Level 2.汎用的なハードウェアを単に追加 → NG

■要件2:「ソフトウェアによる情報処理がハードウェア資源を用いて具体的に実現されている」こと

要件2を満たすものが「自然法則を利用した技術的思想の創作」である発明と判断されます。ここで、「ソフトウェアによる情報処理がハードウェア資源を用いて具体的に実現されている」とは、「ソフトウェアとハードウェア資源とが協働することによって、使用目的に応じた特有の情報処理装置又はその動作方法が構築される」ことをいいます。

したがって、単なる汎用コンピュータ等を追加するだけでは、ソフトウェアとハードウェアが協働しているとはなりません。

■NG例
ユーザー端末により、ユーザーが購入したい商品を1-Click(ワンクリック)し、サーバにより、1-Click(ワンクリック)に応じてデータベースを検索し、商品の購入注文(決済)を完了させるショッピング方法。

Level 3. ソフトウェアとハードウェアが協働して機能を実現→OK

■要件3:「ソフトウェアとハードウェア資源とが協働することによって、使用目的に応じた特有の情報処理装置又はその動作方法が構築される」こと

要件3を満たすためには、あるビジネスモデルにおいて実行される特定の処理・機能・作用等を実現するために、ソフトウェアとハードウェアが「いつ・どこで・誰が・何を・なぜ・どのように処理するか(※)」を具体的に規定する必要があります。少なくとも、機能ブロック図とフローチャートは描ける程度が求められます。
(※)5W1Hを全て満たす必要はありません。

上記を踏まえ、ビジネスモデル特許として保護されるためには、以下のように具体的なデータと処理を検討する必要があります。

①ユーザー端末 → サーバへの処理
●データ:送信データは、商品ID, ユーザーID等以外に存在するか?
●処 理:ユーザー端末からサーバに購入要求を送信するときに、特別な処理は存在するか?

②サーバ → データベース
●データ:ユーザーIDに紐付いたユーザーデータ(住所,カード番号等)以外に格納すべきデータはないか?
●処 理:サーバからデータベースにユーザーIDを送信し、データベースからサーバにユーザーデータを送信するときに、例外処理はないか?

③サーバ → 配達司令
●データ:購入商品、ユーザー住所、配達時間等の紐づけ方に特徴はないか?
●処 理:サーバから配達管理システムに各種データを送信するタイミング等は?



まとめ

ビジネスモデル特許のとり方にはコツがいります。他の分野の特許と比べ、特に専門家へ相談されることを強くおすすめいたします。また、ビジネスモデル特許に慣れていない弁理士が明細書を作成した場合、特許法上の保護対象とすらならない、と判断される場合が多いです。

最近はあらゆる業務にコンピュータが利用されているので、あらゆる業務に関するビジネスモデル特許を狙うことが可能です。 貴社のコア・バリューを守るためにも、まずは専門家に相談されるとよいでしょう。

不明な点や疑問点は、お気軽にご相談ください。
参照 :SHARES 弁理士 押谷 昌宗のページ

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