スタートアップの必読書~知的財産権で戦略を
知財


この記事の目次

基本編

1. デザインを模倣されないために~意匠編~

近年、デザインの重要性がますます高まっております。特に、優れた画面デザイン(UI)は、ユーザーの使い勝手を高めるとともに、そのプロダクト(サービス)に対するロイヤリティーの醸成にも役立ちます。しかし、せっかく開発したデザインが模倣されてしまっては、貴社の競争優位性は著しく損なわれてしまいます。

以下、自社のデザインの保護に貢献していると考えられる、最新の意匠を紹介いたします。
従来では、画面デザインの保護は意匠法では不十分でした。しかし、2016年から、事後的にインストールしたソフトウェアにより表示される画面も意匠法の保護対象となりました。これにより、魅力的かつ機能的なデザインを、従来と比べて柔軟に意匠法で保護することが可能になりました。

2. アイデアを模倣されないために~特許編~

UIをデザインとして意匠権で保護することに加え、アイデアとして特許権で保護することも可能です。意匠と特許の違いは、以下の通りです。

理想的には、1つのデザインに対して意匠+特許で保護できれば良いのですが、コストの面からは、まずは意匠で出願し、機能が定まってから特許を出願するとよいでしょう。

3. その名前は誰のもの?~商標編~

新サービス/新プロダクトを提供する際に、サービス名/プロダクト名は極めて重要な要素です。直感的でわかりやすく、親しみやすい名前をつけることにより、新サービス/新プロダクトのアイデンティティをシンプルに表現することができます。これに加え、オシャレなロゴを組み合わせてもよいでしょう。

しかし、新サービス/新プロダクトの名前と同一又は類似の他社の登録商標がないか、一度でもよいので調べましょう。仮に問題となりうる他社の登録商標が存在した場合でも、多くの場合、新サービス/新プロダクトのローンチ直後に商標権者からアクションを起こされることはありません。

一方、新サービス/新プロダクトがうまく軌道に乗り始めたころになると、ライセンス料や損害賠償名目で商標権者から訴訟を起こされるリスクが増大します。最悪の場合、サービス名/プロダクト名の変更を余儀なくされるばかりか、多額の賠償金を支払うことになりかねません。
新サービス/新プロダクトを1秒でも早く世の中に公開したい気持ちは痛いほどわかりますが、まずは商標について専門家にご相談ください。

投資家対応編

1. コア技術&ビジネスモデルの保護

晴れて新サービス/新プロダクトを公開できたとしても、それが優れたアイデアであるほど、他社から模倣されることが多くなります。そのような状況を放置した場合、価格競争の泥仕合に引き込まれてしまいます。特に、市場規模が小さく今まで誰も注目していなかったニッチな市場を攻める場合には、先行者の成功を見てから追随者の模倣が雨後の筍のように発生します。

このような事態を防ぐため、投資家の中には、新サービス/新プロダクトのコア技術・新規なビジネスモデルについての特許を取得している、または最低でも出願していることを望まれる方がいらっしゃいます。

自分たちでは「アイデアは優れているが、別に特許になりそうなところはないのでは?」と思っていたとしても、特許になる観点は意外と多く存在するものです。

・特徴的なデータの収集
・データの持ち方
・複数のソフトウェアの順番
・フローチャート上の分岐点
・使い勝手のよい画面デザイン(UI)



これらについて、何も工夫しなかったことはないでしょう。逆に何も工夫がなければ、そもそも新サービス/新プロダクトの成功は見込めません。自社のビジネスの根幹を法的に保護し、他社の模倣を防ぐことで価格競争に巻き込まれないようにすることに加え、融資の担保、営業ツール、無形資産としての企業価値の向上、さらには投資家の要求に応えるためにも、まずはコア技術&ビジネスモデルの特許を出願できそうかどうかにつき、一度検討してみるとよいでしょう。

2. 知財リスクの管理

他社の登録商標と同様に、他社の特許、意匠、著作権などにも注意を払うことが必要です。特に、著作権やオープンソースソフトウェア(OSS)について十分な注意を払っておられるベンチャー企業、スタートアップ企業は、ほとんど無いのが現実です。

「無料利用OK」などの謳い文句が付されている画像を自社の商材に使っていませんか?あくまで「私的利用」に限り無料で利用することが許可されているだけであり、商用利用は無料の範囲外であることが多いです。
また、現在ではほとんどの企業がオープンソースソフトウェア(OSS)を利用して、新サービス/新プロダクトを開発しているかと思います。極めて便利で開発を加速させるオープンソースソフトウェア(OSS)ですが、このリスクを理解できている企業はどのくらいあるでしょうか?

昔から「タダほど怖いものはない」と言われている通り、一般的に無料で利用できると思われているものでも、著作権侵害やライセンス違反となるリスクが潜んでいます。
知財リスクの把握には、高い専門性を要します。専門家への相談をおすすめします。

顧問契約の活用

1. 知財部のアウトソーシングとして

自社に知財部がない場合、または知財部があっても人数が少なくて手が回らない場合、特許事務所と顧問契約を締結することも一つの選択肢です。 顧問契約といえば、何か問題が生じたときに相談できる相談相手を確保する、みたいなイメージを持たれるかもしれませんが、それだけのために貴重なお金を払うのはもったいないです。

自社出願の管理、出願計画の策定、他者特許・意匠・商標等のリスク調査、ライセンス交渉、訴訟対応等、経験のある特許事務所を自社の知財部として活用されることも有効かと思います。

2. 顧問弁理士とのコミュニケーションツール

知財部のアウトソーシングとして特許事務所を活用する場合、気軽にコミュニケーションをとれることが極めて重要です。従来のように、電話、メール、FAX(←もはや死語)だけでは、円滑なコミュニケーションを図ることは困難です。

変化が早くスピードが求められる時代ですので、以下のようなコミュニケーションツールを積極的に活用することにより、顧問契約を有意義なものとして活用することが可能になると考えます。

まとめ

知財部を設けない限り、これらを自社で全て対応することは不可能に近いです。知財には、独占実施、ライセンス、投資家対応等、多くの活用手法が存在します。

ビジネスを始める場合には、プロダクト/サービスの開発と並行し、顧問契約を含め、なるべく早くから専門家に相談されるとよいでしょう。

不明な点や疑問点は、お気軽にご相談ください。
参照 : SHARES 弁理士 押谷 昌宗のページ

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