商標が類似するかはどのような基準によって判断されるのか?似ているかどうかの3つの判断方法を説明します!
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商標を出願する場合には、商標が取れる可能性を把握するために一般的には商標調査を行います。 この商標調査を行うことで、出願費用が無駄になるリスクを抑えることができるためです。
しかし、商標調査について、あなたは以下のような疑問をお持ちになるのではないでしょうか?
・商標が似ているか似ていないのかの判断ってどうやってするの?
・商標が類似しているか否かを決めるための基準ってあるの?
今回の記事では、そんな疑問にお答えしようと思います。

結論から申しますと、特許庁の審査基準では、商標の類否(似ているか)については「商標の外観・称呼・観念という3つの要素を考慮して総合的に判断する」とされています。おそらくこれだけでは、何を言っているのか全然わからないですよね・・・
大丈夫です!今から噛み砕いて3つの判断基準について説明していきます。

この記事の目次

商標の外観類似とは?

外観とは「商標の見た目」のことです。すなわち、商標の見た目が似ているか否かが一つ目の基準となります。 商標はロゴマークや図形でも出願することができますので、このような場合には商標の見た目が似ているかが大きな判断基準となります。

例えば、以下の2つの図形は類似と判断されています。このように、2つの商標を時と場所を別にして目にしたときに間違える可能性のある商標は、類似と判断される可能性が高いです。
また、文字だけの商標の場合の例ですと、以下の2つの文字商標は類似と判断されています。

「KRONOS」 「CRONOS」

この2つの文字商標は6文字中5文字が同一であるため、特許庁の実際の審査で外観(見た目)が似ていると判断されました。 6文字中5文字が同じということは、商標の80%以上が同一ということになりますので、これだけ共通している部分が多いと普段買い物する場合に間違えてしまう可能性が高いですからね!

逆に、3文字のアルファベットのうち1文字のみ異なる場合には、見た目が似ていないと判断される可能性が高いですので、商標を決める際に参考にしてください。

称呼類似とは?

称呼とは、簡単に言うと「発音」のことです。 実際に商標を発した場合の音が似ている場合には、商標が似ていると判断されます。これは、電話での取引を想定しているものです。 発音が似ていると電話で間違えられる可能性がありますからね。
例えば、以下のものは称呼が似ている(または称呼が同一)と判断されています。

・「EVERLIGHT」と「エバーライト」
・「eTrike」と「イートライク」
・「HELEOS」と「Helios」
・「TRINA」と「Trinias」
・「銭屋」と「Zeniya」
・「ARAZINE」と「Aladdin」
・「Feliz」と「フエリス」


基本的には、「発音が同じ商標」や「一音のみ異なる商標」は類似すると判断されると思っておいた方がいいでしょう!

ただし、自力で商標調査を行ってみた結果、発音が類似する商標が発見されたとしても、どうしてもその商標がほしいという場合には、弁理士に相談することをおススメいたします。
弁理士に詳細な調査をしてもらったり、相手から商標を譲り受けたり、相手の商標を潰すといった対応が可能な場合もあります。

例えば、以下の2つの商標は発音が同じですがどちらも登録されています。

「清龍」 「清流」

この2つの商標はどちらも「せいりゅう」と発音されますが、「商標の見た目」と「商標から想起されるイメージ」が異なるため両者は似ていないと判断されました。

観念類似とは?

観念とは、簡単に言いますと「商標から連想される意味や想起されるイメージ」のことです。 この観念が同一の場合には、商標が類似すると判断されます。

①例えば、「午後の紅茶」と「Afternoon Tea」という2つの商標は、観念が類似すると判断されています。どちらも、「午後の紅茶」を意味するためです。
②逆に、「空飛ぶ犬」と「飛行犬」は、観念が類似しないと判断されています。2つの商標は、やや近似した意味合いを想起させるが、観念が同一とまでは言えないというのが、商標が類似しないと判断された理由となります。

ちなみに、この観念類似で面白い事例が一つあります。 以下の二つの商標の観念が類似するという拒絶理由通知が特許庁から出されたことがありました。

「UNI」 と 「Seaurchin」

なぜだかわかりますか??ちょっと考えてみて下さい。
この答えがすぐわかる方は、英語力が高く、且つ、頭が柔らかい方でしょう!

答えを書きましょう。
「UNI」からは、すしネタの「うに」が連想され、「Seaurchin」を日本語に訳すと「うに」になります。 よってどちらの商標からも「うに」というイメージが想起されるため、観念が類似するというのが特許庁の見解でした。

しかし、この観念類似については、出願人が反論し登録が認められたため、最終的には両者の観念は類似しないという結論になりました。 一般的に「UNI」から「うに」を想起する人はそこまで多くないと思われますので(「ユニ」と読む「単一の」を意味する英単語をイメージする人の方が多いでしょう)、この結論は妥当だと思われます。

なお、この件について特許庁に反論する場合には、もう少し理論的な反論をする必要がありますので、詳しい反論手法をお知りになりたい方はお気軽にご連絡下さい。

まとめ

商標の類似を判断する3つの要素について説明しました。 観念が類似することを理由に登録を認められない商標はそこまで多くありませんので、まずは外観と称呼を中心に調査を進めることが重要となります。 特に文字で構成されている商標の場合は、「称呼が一番重要」と言ってもいいぐらいです!

商標の類否判断については、特許事務所ごとに見解が分かれる場合も少なくありません。また、返金保証を行っているような事務所の場合、「登録可能性が低い商標」の場合には商標を変更することを勧められる場合もあります。
しかし、「どうしてもこの商標が欲しい」・「今さら商標を変更するなんて無理だ」・「このネーミングには強い思い入れがあるんだ」というような場合もあると思います。その場合には、一つの特許事務所の見解だけに縛られず、別の事務所にセカンドオピニオンを求めることをお奨め致します。

セカンドオピニオンを求めたことで、「最初の事務所で断られた商標を取得することができた」という例も少なくありませんので、一つ目の事務所に無理だと言われても諦めないでください!
もちろん弊所にセカンドオピニオンを求めていただけた場合には、商標を登録するための方法を徹底的に検討させていただきますので、お気軽にご相談ください。

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