「特許権」の取得・維持する際に、中小企業などが有用な事業や制度を解説します
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発明完成から特許権の取得・維持に至るまでの流れ

発明を完成させると、先行技術調査を行った後に、特許出願を行い、審査等を経て特許許可を受けた後に、特許料の支払いを経て特許権を取得・維持に至ります。

この一連の流れにおいては、まず、「出願段階」での先行技術調査が大切です。
完成した発明の特許性の有無の判断や出願の可否判断は、この先行技術調査の結果で決まるからです。

次に大切なのは、「審査請求段階」での先行技術調査です。
出願を特許庁に審査させるかどうかは、この先行技術調査の結果で決まるからです。また、特許庁に支払う料金面では、主として、出願のために支払う特許出願料、審査請求のために支払う審査請求料や特許権の取得・維持のために支払う特許料が必要になります。

中小企業等特許情報分析活用支援事業について

上記の先行技術調査は、技術的専門性が高く、しかも、費用負担が重い仕事であるため、大企業であれば、社内でマンパワーをかけて実施することが可能ですが、中小企業ではなかなか難しいのが現状だと思います。

これに対して、独立行政法人工業所有権情報研修館(INPIT)が、「中小企業等特許情報分析活用支援事業」という形で、中小企業等を対象として、出願段階や審査請求段階における先行技術調査を行っています。
この事業は、応募制になっています。そして、出願段階は、応募者の自己負担なしとなっており、審査請求段階は、応募者の一部自己負担ありとなっています。

この事業を活用すれば、応募の手間は必要になりますが、費用負担なし、または、一部負担のみで、出願段階や審査請求段階の先行技術調査が可能になります。
そして、出願段階では、先行技術を考慮した出願の実施や無駄な出願の抑制が可能になります。また、審査請求段階では、先行技術を踏まえた審査請求の可否判断や請求項の補正対応が可能になります。

なお、この事業の詳細については、特許庁やINPITのホームページをご覧ください。

中小企業等を対象とした料金軽減制度について

上記の審査請求料や特許料は、審査がスムーズになされて特許権を取得できる場合であっても、必ず支払いが必要となり、しかも、比較的高額であるため、中小企業では負担に感じるものと思います。例えば、請求項数が10個の場合、審査請求料は約15万円かかり、特許料(第1年分から第10年分の合計)は約25万円かかります。

これに対して、特許庁が、中小企業等を対象として、審査請求料及び特許料の軽減を行っています。審査請求料の軽減申請は、出願審査請求書の提出と同時に行い、特許料の軽減申請は、特許料納付書の提出と同時に行います。

ただし、特許料の軽減は、第1年分から第10年分が対象となっています。軽減の程度は、企業の規模や種類によって異なっており、中小企業については、料金が1/2に軽減され、小規模企業・中小ベンチャーについては、1/3に軽減され、福島浜通りの中小企業については、1/4に軽減されます。

この料金軽減制度を活用すれば、軽減申請の手間は必要になりますが、審査請求料及び特許料を数万~10数万円削減可能になります。
なお、この制度の詳細については、特許庁のホームページをご覧ください。

まとめ

発明完成から特許権の取得・維持に至るまでには、先行文献調査や特許出願、審査などの数多くの段階を経る必要があり、各段階で手間や費用が発生します。このため、経営者の立場から見ますと、これらの段階を効率的かつ低コストにしたいと思うことでしょう。

上記のように、中小企業等特許情報分析活用支援事業や中小企業等を対象とした料金軽減制度は、その実現のために有用です。
これらの事業や制度をうまく活用して、経営支援に役立てていただければと思います。また、これらの事業や制度に関してご不明な点などがありましたら、特許のプロである弁理士にご相談いただければと思います。

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