この記事の目次
はじめに
商標登録によって商標権を取得するためには、「区分」、「商品又はサービス」を指定する必要があります。この「商標」は登録できますか?というような問い合わせを頂くことがありますが、商標登録によって商標権を取得するには、その「商標」をどのような「商品/サービス」に使用するのかを指定する必要があります。
特許庁の統計によると、1つの出願における区分数の平均は2~3とされています。
これは、ある事業を行なう場合に、その事業の範囲をカバーしようとすると、平均的に、2~3区分となることを意味していると考えることができます。
例えば、飲食業の場合、自らの事業の範囲をカバーするのに、「第43類 飲食物の提供」のように1区分で足りる場合もありますし、「第43類 飲食物の提供」及び「第30類 ピザ」のように2区分必要になる場合(テイクアウトもやっている場合)もあります。
また、例えば、アパレル業の場合、自らの事業の範囲をカバーするのに、「第25類 服、靴」及び「第18類 財布、かばん」のように2区分で足りる場合もありますし、「第25類 服、靴」、「第18類 財布、かばん」及び「第14類 イヤリング、指輪」のように3区分必要になる場合もあります。
このため、料金を低く抑えるために区分数をできるだけ減らしたいという気持ちはわかりますが、自らの事業に必要な範囲がカバーされるように、区分を決めて、商品又はサービスを指定していく必要があります。
商標登録の「区分」、「商品又はサービス」とは?
「商品/サービス」を分類したものが「区分」であり、特許庁では商品/サービスを第1類から第45類までの45個の「区分」に分類していますので、商標を使用する「商品/サービス」が、これらの45個の「区分」のうち、どの「区分」に含まれるかを調べ、その「区分」と、商標を使用する「商品/サービス」を指定して、商標登録することになります。45個の「区分」及びこれらに含まれる「商品/サービス」の概要については、当方が運営している「商標・特許・意匠・知財 IP tips」の記事で説明しておりますので、そちらをご参照ください。その記事は、こちら。
また、各区分に含まれる「商品/サービス」は、具体的かつ明確に表示することが必要とされています。
具体的には、類似商品・役務審査基準に記載されている商品・役務の表示(「類別表」を除く。)を参考に記載することとされています。
この類似商品・役務審査基準に記載されている商品・役務の表示を参考に記載するとは、どのように記載すれば良いかについては、各類ごとに、以下の各類にリンクされている、当方が運営している「商標・特許・意匠・知財 IP tips」の記事で詳しく説明しておりますので、そちらをご参照ください。
第1類、 第2類、 第3類、 第4類、 第5類、 第6類、 第7類、 第8類、 第9類、 第10類、 第11類、 第12類、 第13類、 第14類、 第15類、 第16類、 第17類、 第18類、 第19類、 第20類、 第21類、 第22類、 第23類、 第24類、 第25類、 第26類、 第27類、 第28類、 第29類、 第30類、 第31類、 第32類、 第33類、 第34類、 第35類、 第36類、 第37類、 第38類、 第39類、 第40類、 第41類、 第42類、 第43類、 第44類、 第45類。
なお、類似商品・役務審査基準の見方がわからない場合には、類似商品・役務審査基準の「凡例」をご覧ください。
また、「商品/サービス」の記載方法は、特許庁が提供している「指定商品・指定役務の記載方法」をご覧ください。
業種毎の商標登録
アパレル業
被服などが含まれる「第25類」が基本。セレクトショップの場合は「第35類」。詳しくは、こちら。
エステ業界(エステティックサロン)
「エステティック」などが含まれる「第44類」が基本。セミナーの開催等を行なう場合は「第41類」も必要。詳しくは、こちら。
ドラッグストア業界(薬局)
小売又は卸売の区分である「第35類」が基本。調剤の業務を行っている場合は「第44類」も必要。詳しくは、こちら。
飲食業
飲食物の提供などが含まれる「第43類」が基本。持ち帰りやテイクアウトがある場合は「第30類」なども必要。詳しくは、こちら。
化粧品(小物)業界
口紅などが含まれる「第3類」が基本。化粧小物を扱う場合は「第21類」も必要。但し、ビューラーなどは「第8類」。サプリメントも扱う場合は「第5類」も必要。他社製品の小売又は卸売を行っている場合は「第35類」。詳しくは、こちら。
IT業界(ソフトウェアの開発等)
「第9類」、「第42類」が基本。印刷物を扱ったり、他社製品の小売等を行なう場合は「第16類」や「第35類」。詳しくは、こちら。
IT業界(Webサービス)
Webで提供する情報に対応する区分で商標登録。広告収入を得るような場合は「第35類」を指定。詳しくは、こちら。
食品業界
第29類から第33類から区分を選ぶことが基本。食品の卸売や小売の場合は「第35類」を指定。詳しくは、こちら。
雑貨店
取り扱う商品に応じて区分(例えば第14類、第16類、第19類、第21類、第24類など)を選ぶ。雑貨店を経営する場合は「第35類」もありうる。詳しくは、こちら。
介護業界
取り扱う商品やサービスに応じて区分(例えば第44類、第43類、第10類、第20類など)を選ぶ。詳しくは、こちら。
教育業界
取り扱う商品やサービスに応じて区分(例えば第41類、第16類、第9類など)を選ぶ。詳しくは、こちら。
旅行業
取り扱う商品やサービスに応じて区分(例えば第39類、第43類、第16類など)を選ぶ。詳しくは、こちら。
なお、上述の業種毎の商標登録における区分は、一般的な場合の例であって、取り扱う商品やサービスによって「区分」が異なることがあり、それぞれの商品やサービスに応じた「区分」を特定し、その「区分」に含まれる商品やサービスを指定する必要があります。
まとめ
・商標登録によって商標権を取得するためには、「区分」、「商品又はサービス」を指定することが必要。・特許庁の統計によると1つの出願における区分数の平均は2~3。
・料金を低く抑えるために区分数を減らすのではなく、自らの事業に必要な範囲がカバーされるように、区分、商品又はサービスを決めていくことが必要。
・「商品/サービス」を分類したものが「区分」、特許庁では商品/サービスを第1類から第45類までの45個の「区分」に分類。
・商標を使用する「商品/サービス」がどの「区分」(第◯◯類)に含まれるかを指定。
・各区分に含まれる「商品/サービス」は、類似商品・役務審査基準に記載されている商品・役務の表示を参考に記載。
・業種毎に、商標登録の際に、一般的にどのような区分を指定しているかというものがある。但し、自らが扱う個別具体的な商品やサービスに応じて、必要な区分、商品又はサービスを指定することが必要。
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『商標登録の費用と、商標登録に必要な商標の検索・調査』
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