ロゴと標準文字、どちらで商標登録しますか?
知財


弁理士は商標登録出願を依頼されたときに依頼者の商標を確認します。当たり前のことですがどんな商標であるかを確認する必要があります。文字だけなのか、図形のみなのか、図形と文字の組み合わせなのか、特殊なフォントを使用しているのか、色彩がどのようになっているのかなどを確認します。
商標が文字のみであってフォントや色彩などが特に決まっていないのであれば標準文字で出願することをお勧めする場合があります。
「標準文字って何ですか?」と疑問を持たれる方もいらっしゃると思います。

この記事の目次

1,標準文字とは

商標が文字のみから構成される場合に、特許庁長官があらかじめ定めた文字書体によって商標登録できます。その際の文字書体が標準文字です。商標登録出願するときに願書に【標準文字】と記載します。なんでもかんでも標準文字で商標登録できるわけではありません。特許庁では標準文字として認められない商標を以下のように示しています。

①図形のみの商標、図形と文字の結合商標
②特許庁長官の指定文字以外の文字を含む商標
③文字数の制限30文字を超える文字数(スペースも文字数に加える。)からなる商標
④縦書きの商標、2段以上の構成からなる商標
⑤ポイントの異なる文字を含む商標
⑥色彩を付した商標
⑦文字の一部が図形的に、又は異なる書体で記載されている商標
⑧花文字など特殊文字、草書体など特殊書体で記載された商標
⑨スペースの連続を含む商標


ここで、特許庁長官の指定文字は全角のスペース、ひらがな、カタカナ、英数字、JIS-X0208-1997の第1水準、第2水準で規定された漢字、一部の記号などです。

以上から、日本語や英数字のみで普通に横書きした文字商標は標準文字で商標登録できます。

2,標準文字の権利範囲

では、標準文字の権利範囲はロゴと異なるのでしょうか?標準文字はロゴのようにフォントや色彩などを指定していないので広い権利範囲になると考えられていることが多いようです。
本当でしょうか?

実は権利範囲の考え方はロゴも標準文字も同じです。いずれも商標登録出願するときに願書に記載した商標によって定められます。願書に【標準文字】と記載すると、願書に記載した商標は指定された文字書体に変換されるので、その文字書体の商標に基づいて権利範囲が決まります。願書に【標準文字】と記載しなければ、変換されないだけです。
したがって、標準文字がロゴよりも広い権利範囲になるとは一概に言えません。

3,ロゴ?それとも標準文字?

「ロゴと標準文字のどっちがいいのですか?」と質問されることがあります。選択肢があれば迷う場合もあり、確認が必要です。そこでロゴと標準文字のどちらで出願するべきか検討してみましょう。

図形であったり特定のフォントを使用したりする場合はロゴで出願します。ロゴに特徴があるのに無理矢理に標準文字で出願すると権利範囲がずれるおそれがあるので、注意しなければなりません。

一方、文字のみが決まっている場合などは標準文字で出願することが多いです。「標準文字で登録されれば、その標準文字と同じように商標を使用しなければならないのですか?」と疑問を持たれるかもしれません。ご安心ください。社会通念上同一と認められるのであれば商標のフォントを変更しても登録商標と認められます(商標法第50条)。
また、色違いの類似商標も登録商標に含まれます(商標法第70条)。そのため、文字のみの商標であって、フォントや色彩が特に決まっていなかったりロゴになっていなかったりすると標準文字を選択される場合が多いです。

では、図形と文字の組み合わせの商標はどのように出願しますか?商標全体を見ればロゴで商標登録出願しなくてはなりません。でも、それで十分ですか?

出願する前に商標をよく見て検討してみましょう。
商標として使用するのは図形と文字の組み合わせだけですか?
図形のみを商標として使用することはありませんか?
文字のみを商標として使用することはありませんか?
すなわち図形のみの商標や文字のみの商標も検討する必要があります。

文字のみの商標は標準文字も検討しなくてはなりません。全ての商標を登録するのがベストですが、費用が掛かりますので予算との兼ね合いになります。費用対効果の高い商標登録にする必要があり、個別具体的に検討が必要です。

まとめ

ロゴと標準文字の単純な2択ではなく、商標を複数検討しなければならない場合が多々あります。商標の選択を間違えると商標権の効果が薄れるおそれもあります。商標は営業していくうえで大事です。一度、専門家である弁理士に相談してみてはいかがでしょうか?

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