2021年12月に特許庁は、商標登録に関する各種料金の値上げを発表しました。これから商標登録を受けようという方は誰しも関係することですので、改定内容とお急ぎの場合の方策について解説します。
商標登録料の値上げ内容
商標登録を受けるためには、特許庁に願書を提出して、審査を通過する必要があります。特許庁に納付する手数料としては、出願時の費用と登録時の費用がありますが、今回料金改定が行われるのは、登録時の費用となります。出願時の費用は変わりません。登録時の費用は、指定する区分の数に応じて料金が計算されますが、今回の料金改定により1区分あたり4,700円の増額となります(10年分一括納付の場合)。5年ごとの分割納付の場合は800円の増額ですので、前期後期と合わせると1,600円の増額ということになります。
この金額だけ見ると、10年分一括納付の方が高くつきそうな印象を受けるかもしれませんが、総額で見ると10年一括納付の場合32,900円に対して5年ごとの分割納付の場合の合計金額が34,400円ですので、まとめて支払った方が全体的な費用は抑えられます。改定前後の登録料と10年分の合計金額は以下のとおりです。
改定前後の登録料と10年分の合計金額
(1区分あたり)
現行の登録料 (〜2022年3月31日) |
改定後の登録料 (2022年4月1日〜) |
差額 | 改定後の10年分の合計金額 | |
---|---|---|---|---|
10年一括納付 | 28,200円 | 32,900円 | 4,700円 | 32,900円 |
5年分割納付 | 16,400円 | 17,200円 | 800円 | 34,400円 |
※弁理士に依頼するとこのほかに弁理士手数料が発生します。
もちろん、イニシャルコストを抑えるということも判断としてはあり得るでしょうから、登録を受けられることが分かった段階で、どのように納付するかを検討されると宜しいかと思います。
納付する日付で料金が変わる
さてこの新料金ですが、制度が切り替わるのは2022年4月1日です。この日付以降に特許庁に納付を行うと、新料金が適用されます(但し、旧料金で前期分の登録料を納付している場合はこの日付以降でも後期分の登録料は旧料金で計算されます。)。したがって、料金が安い旧料金での納付をしたいという場合には、遅くとも2022年3月31日までに納付手続を行う必要があります。
商標登録料の納付は、審査を通過した際に発行される「登録査定」が送達された日から30日以内に行うことになっていますので、2022年3月31日までに登録査定が届けばなんとか間に合います.
現在出願中の案件がある方は、いつ頃審査結果が出るのかを確認してみると良いでしょう。
急いで登録を受けたい場合の早期審査とは
最近の審査スピードをみますと、2021年10月時点の情報によれば出願をしてから審査結果が出るまでに約10ヶ月を要しています。ところが、一定の条件を満たす場合には、「ファーストトラック審査」という流れに乗ることができ、約6ヶ月程度まで短縮することが可能です。ファーストトラック審査は、条件を満たせば自動的にこの流れに乗ることができ、特別な申請手続は必要ありませんので、使い勝手が良いものと言えます。
しかし状況によっては、もっと早く審査結果が得たいという場合もあるのではないでしょうか。こうした場合に活用したいのが「早期審査」です。但し早期審査の場合には、別途申請を行う必要があり、さらには早期審査を受けられるかの審査を受ける必要があります。
とはいえ、早期審査の流れに乗ることができると、早期審査請求をしてから平均して約1.9ヶ月で審査結果が得られており、大幅な審査期間の短縮が可能になりますにで、非常に魅力的な制度であると言えます。
これから新たに出願をしようという場合、通常の審査やファーストトラック審査では2022年3月末までに間に合いませんが、もし早期審査が認められれば、旧料金での登録料の納付ができる可能性があると言えます。
早期審査を受けられる場合とは
このように、早期審査という制度は早期に審査結果が得られるという点で非常に魅力的なものですが、早期審査の流れに乗るためにはいくつか条件があります。まず大前提として、出願人が、その出願した商標を実際に使っているか、又は、使用に向けて相当の準備が進んでいるということが必要です。
その上で、①権利化のために緊急性を要する場合や、②現実に使用をし又は準備を進めている商品・サービス"のみ"を指定する場合、③予め定められたリストから商品・サービスの表示を選択して指定している場合のいずれかに該当してようやく、早期審査の対象として認められます。
ちなみに、①の「緊急性を要する場合」というのは、以下のような場合を言います。
(1) 第三者が、出願した商標を無断で使用(使用準備)している
(2) 出願した商標の使用(使用準備)について、第三者から警告を受けている
(3) 出願した商標について、第三者から使用許諾(ライセンス)を求められている
(4) 出願した商標について、日本以外の外国でも出願中である
(5) 早期審査を受けようとする出願をマドプロ出願(国際出願)の基礎とする予定がある
当事務所では、2022年1月15日までの間、早期審査請求の手数料を無料としております。お急ぎの方は、以下のリンクをご参照の上、お気軽にお問い合わせください。
【新春・15日間限定】早期審査請求の無料対応のご案内|2022年4月1日に商標登録料が増額改定されます