2022年4月1日に商標登録の更新料が値上げされます|現行の料金で更新可能な商標登録についてお伝えします
知財


2021年12月に特許庁は、商標登録に関する各種料金の値上げを発表しました。商標登録の更新費用も増額となりますので、近々商標登録の更新が控えている方は、本記事をご確認ください(商標登録の際の登録料についての記事はこちらをご覧ください。)。

この記事の目次

商標登録の更新料の値上げ内容

商標権は、商標登録を受けることで発生します。そして、商標登録の存続期間は、登録を受けた日から10年間となります。つまり、商標権は登録を受けてから10年が経過すると、何もしないと消滅してしまいます。

しかし、特許庁に更新申請書を提出して更新料を納付すると、さらに10年間存続期間を延長させることができます。今回、この更新料についても料金改定が行われます。

更新時の費用は、指定する区分の数に応じて料金が計算されますが、今回の料金改定により1区分あたり4,800円の増額となります(10年分一括納付の場合)。5年ごとの分割納付の場合は200円の増額ですので、前期後期と合わせると400円の増額ということになります。

この金額だけ見ると、10年分一括納付の方が高くつきそうな印象を受けるかもしれませんが、総額で見ると10年一括納付の場合43,600円に対して5年ごとの分割納付の場合の合計金額が45,600円ですので、まとめて支払った方が全体的な費用は抑えられます。改定前後の更新料と10年分の合計金額は以下のとおりです。

改定前後の更新料と10年分の合計金額
(1区分あたり)
現行の更新料
(〜2022年3月31日)
改定後の更新料
(2022年4月1日〜)
差額 改定後の10年分の合計金額
10年一括納付 38,800円 43,600円 4,800円 43,600円
5年分割納付 22,600円 22,800円 200円 45,600円

※弁理士に依頼するとこのほかに弁理士手数料が発生します。

もちろん、当面のコストを抑えるということも判断としてはあり得るでしょうから、そのブランドをどの程度継続して使っていく見込みかを判断基準として、どのように納付するかを検討されると宜しいかと思います。

納付する日付で料金が変わる

さてこの新料金ですが、制度が切り替わるのは2022年4月1日です。この日付以降に特許庁に納付を行うと、新料金が適用されます(但し、旧料金で前期分の更新料を納付している場合はこの日付以降でも後期分の更新料は旧料金で計算されます。)。

したがって、料金が安い旧料金での納付をしたいという場合には、遅くとも2022年3月31日までに納付手続を行う必要があります。

とはいえ、更新申請というのはいつでも行うことができるものではなく、更新を行うことができる期間は、存続期間が満了する日の前6ヶ月間と定められています。

このため、2022年3月31日の時点で更新料を納付することができる最も先の存続期間満了日は、2022年9月30日ということになります。

お手元の商標登録証に記載の登録日が2012年9月30日までのものであれば、2022年3月31日までに手続をすることで旧料金で更新を行うことができますのでご確認いただくと良いでしょう。


商標登録の更新期限を過ぎてしまった場合の対処法

商標登録を更新することができるのは存続期間が満了する日の前6ヶ月間であるとお伝えしましたが、この期間を過ぎてしまった場合どうなるのでしょうか。もう一切更新を行うことができないかというと、そうではありません。

制度上、救済措置が設けられていて、存続期間が満了する日の後6ヶ月間は、何事もなかったかのように更新を行うことが可能です。

しかし、特許庁に納付する更新料が2倍になってしまうので注意が必要です。つまり。新料金で計算しますと、通常は1区分あたり43,600円(10年一括納付の場合)なのですが、期限を過ぎてしまうと87,200円になってしまいます。

料金が2倍になるというのはもったいないことですので、非常時のものとご理解いただき、できる限り存続期間満了の日までに更新申請を行うことが大切です。

商標登録の更新の救済期間も過ぎてしまった場合の取り扱い

この存続期間満了後6ヶ月の間に商標登録の更新がされなかった場合、その商標登録は、存続期間満了の日に遡って消滅したものとして取り扱われます。

商標権が消滅した後でも、更新をすることができなかったことについての正当な理由があれば、商標権を回復させることができますが、幾つもの条件をクリアする必要があり、ハードルは高いものとなります。

そして、商標権が消滅してしまい回復することも難しいという場合に、なおその商標を使い続けることを希望される場合、初めからやり直しとなってしまいます。

つまり、新しく特許庁に商標登録出願を行う必要があるということです。この場合、他人の商標が入り込んでいる可能性がありますので、確実に商標権を取り戻せるかは不透明であると言えます。

忘れてはならないのが、ご自身のブランドを守るために欠かせないのが商標権だということです。非常に大切な商標登録の更新ですから、信頼の置ける弁理士に依頼されることが重要になります。

当事務所でも、商標登録の更新の要否についての相談から、実際の更新手続、さらにはその後の管理や商標の運用のサポートまでを含めて、総合的にサービスを提供しておりますので、気になることがありましたらお気軽にお問い合わせください。

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