【今さら聞けない知的財産】ビジネスで気をつけたいのは著作権だけじゃない!?商標権と意匠権について一挙解説
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新年度になり、就職・転職・異動など、環境に変化があったという方も少なくないかと思います。新しい環境に慣れるのに精一杯という方もいらっしゃるでしょうけれど、そんな時こそ落とし穴に注意です。
事業に関わる以上は、知的財産とは無関係ではいられません。知的財産というと「特許」を思い浮かべる方も多いかもしれませんが、本記事ではあえて特許ではなく、誰しもに関係する「著作権」と「商標権」、そして「意匠権」について一挙に解説します。

この記事の目次

知的財産とは

「知的財産」というと、「発明」のことばかりが取り沙汰される節がありますが、法律上、「発明」のほかに「考案」、「植物の新品種」、「意匠」、「著作物」といった人間の創造的活動により生み出されるものや、「商標」、「商号」といった事業活動上の商品・サービスを表示するもの、さらには「営業秘密」等の事業活動に有用な技術上・営業上の情報が「知的財産」であると定められています。

そして、こうした「知的財産」についての権利である「知的財産権」として、「特許権」、「実用新案権」、「育成者権」、「意匠権」、「著作権」、「商標権」というように個別の権利が付与され、あるいは法律上保護される利益が定められています。

著作権とは

著作権というのは、著作物について発生する権利です。思想や感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもののことを「著作物」と言います。絵画やイラスト、写真、音楽、文章、舞、踊り、映画など、著作物となるものは多岐にわたります。

著作物を創作した人を「著作者」と言い、著作者には、著作物を創作した時点で「著作者人格権」と「著作権」が自然に発生します。
自然に発生するというのは、権利を得るために行政庁への手続きが要らないということです。この点が後述の「商標権」や「意匠権」とは大きく異なります。保護期間は、著作物の創作の時から、原則として著作者の死後70年を経過するまでとなっていて、非常に長期にわたって保護がされることも特徴的です。

著作物を創作すると発生する権利のうち、「著作者人格権」というのは、「公表権」、「氏名表示権」、「同一性保持権」、そして「名誉・声望」の4つからなります。

また、「著作権」というのは、「支分権」とか「著作財産権」とか呼ばれることもあり、複数の権利の束であると説明されます。具体的には、「複製権」、「上演権」、「演奏権」、「上映権」、「公衆送信権」、「送信可能化権」、「公の伝達権」、「口述権」、「展示権」、「頒布権」、「譲渡権」、「貸与権」、「翻訳権」、「編曲権」、「変形権」、「脚色権」、「映画化権」、「翻案権」、そして「二次的著作物の利用に関する原著作者の権利」が定められています(翻訳権、編曲権、変形権、脚色権、映画化権は、翻案権にひとまとめにされることがあります。)。

このように、ひとくちに「著作権」といっても、「著作物」を創作した時に発生する権利は多岐にわたり、それぞれが別個独立に機能する権利なので、他人の著作物を利用する場合、それぞれの権利に注意しなければ権利侵害となってしまいます。

ただし一方で、著作権法には、著作権者の許諾を得ないで利用できる場合というものも規定されています。一枚の写真・イラストで足元を掬われないように、ご自身がされようとしている行為が著作権法に照らして合法かどうかについては、著作権に詳しい弁理士に相談されることが確実です。
弊所では著作権に関する相談等を積極的に受け付けておりますので、お気軽にご相談ください。

商標権とは

商標権というのは、取引の目印である「商標」について発生する権利です。商標というのは、「文字」、「図形」、「記号」、「立体的形状」、「色彩」、これらの結合、さらには「音」、「位置」、「ホログラム」、「動き」であって、反復継続して商品・サービスについて使用をするものを言います。典型的には、商品名やサービス名が該当します。ロゴとかネーミングというのは、商標です。店舗名、会社名、屋号、社章といったものも商品・サービスとの関係で使えば商標になります。保護期間は、商標登録の日から10年間となっていますが、10年ごとに更新を行うことができるので、非常に長期間の保護を得ることができます。

取引の目印として使用するロゴやネーミングなどは、それが法律上の商標である限り、他人の商標権を侵害してしまえば権利侵害・違法行為であるとして責任追求を免れません。自らが先に使用していたとしても、商標権を持っている人が優先するのが原則なので、一早い商標権の取得が欠かせません(「先使用権」という救済制度はありますが、商標の先使用権は特許と異なり極めてハードルが高く現実的ではありません。)。

商標権を取得するためには、特許庁に願書を提出することが必要です。商標登録を受けることで商標権が発生します。登録を受けられるかは、特許庁に願書を提出した日付が極めて重要ですので、未登録の状態で使用している商標があれば直ちに出願すべきですし、これから使おうとする商標についても早急に出願をすることが大切です。

他人が無断で登録商標と同一・類似の商標を使用している場合には、使用の差止(販売等の停止)を要求したり、損害の賠償を求めたりすることができます。裏を返せば、無権利の状態で商標を使用していると、いつ差止請求・損害賠償請求を受けるかもしれません。このため、安心してビジネスを継続するためには、確実な商標権の取得が欠かせません。

大事なことなので繰り返しますが、日本の商標法では、たとえ先に商標を使用していたとしても、先に商標登録を取得した人が優先する制度になっているので、無権利(未登録)の状態で商標を使用し続けることは、リスク以外の何物でもありません。

商標登録を受けて商標権を取得するにあたっては、登録を受けたい商標に加え、使用する商品・サービスを特定する必要がありますが、この特定が間違っていたり不十分であったりすると、不完全な保護しか得られないので、ビジネス上のリスクが残ります。

商標権侵害は見た目でわかりやすい権利侵害ですが、一方で専門的な分野でもあるので、ある日突然事業停止に追い込まれることがないよう、商標を専門とする弁理士に相談すべきです。弊所では、多くの商標登録の経験を有する弁理士が対応致しますので、ご安心してお任せ頂けます。

意匠権とは

意匠権というのは、「意匠」について発生する権利です。「意匠」という言葉は少し聞き慣れないかもしれませんが、端的には「デザイン」を指します。「デザイン」と言っても多義的ですが、意匠法で保護される「デザイン」というのは、物品の「形状」、「模様」、「色彩」、そしてこれらの結合、さらには建築物の「形状」等や、このほかに「画像」が対象とされていて、これらのうち、視覚を通じて美感を起こさせるものを指します。保護期間は、意匠出願の日から最長で25年間となっており、こちらも長期間にわたっての保護を得ることが可能です。

意匠権を取得するためには、商標権と同様、特許庁に願書を提出することが必要です。意匠登録を受けると意匠権が発生します。こちらも特許庁に願書を提出した日付が極めて重要になります。

他人が無断で登録意匠と同一・類似の意匠の実施(製造・販売など)をしている場合には、実施の差止(販売等の停止)を要求したり、損害の賠償を求めたりすることができます。典型的には斬新な商品の形状を他人に真似されたくない場合に意匠権の取得をすることになります。

意匠登録を受けて意匠権を取得するにあたっては、その意匠が施される物品を特定した上で、意匠図面とともに出願をします。意匠権を取得するためには、原則として誰にも知られていない状態で出願を行う必要があり、かつ過去の他の意匠と似ていないことが必要です。このため、斬新なデザインを創作した際には、外部の人に公開する前に、意匠に明るい弁理士に相談の上、確実な権利化を目指して対応を行うことが必要です。

弊所では、商標権のみならず意匠権についての活用も行いながら、総合的な知財ブランディングを支援しています。製品を製造・販売されている方は、意匠権の活用もご検討頂くと、競合他社に対して優位に立ち回ることが可能になります。

まとめ

以上、知的財産権のうち3つの権利について解説をしてまいりました。
特許なんて関係ないという企業であっても、著作権、商標権、意匠権まで無関係という企業は皆無と言えます。一方で、著作権、商標権、意匠権のいずれも強い権利であり、かつ長期間にわたる保護が得られることから、上手に活用すれば競合他社との競争において有利になる上、ブランド価値の向上にも繋がってきます。

事業に関係する知的財産の特定からその活用、さらには海外進出まで、総合的なコンサルティングは、弊所代表弁理士の得意とするところですので、“実は技術ばかりではない”知的財産の活用にご興味・ご関心をお持ちの方は、お気軽にお問い合わせください。

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