近年の意匠登録の傾向と制度改正のポイント
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意匠法上、意匠とは、「物品(物品の部分を含む。第8条を除き、以下同じ。)の形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合であって、視覚を通じて美観を起こさせるものをいう。」と規定されています。

要するに、意匠の保護対象は物品の外観のデザインです。このため、通常では、意匠登録出願ではデザインに着目した権利を取得ことになりますが、機能も重要視されてます。

また、意匠は特許よりも権利期間が長く、比較的無効になり難いです。
そこで、意匠について近年の傾向と改正のポイントを掻い摘んで説明します。


近年の傾向


特許と同様に出願件数は減少傾向にあります。出願全体の中では、スマホ関連の出願件数が多いそうです。スマホが登場していなかったら、更に出願件数が減少していたということでしょうか。

意匠を活用する理由は、他社の模倣品・類似品対策、他社権利への侵害回避、自社の製品ブランド力強化、特許権の補完、ライセンシングなど、です。

これらは、権利化による他社の抑制・牽制、顧客の安心・利用時の保証、企業が提供するサービスのアピール、海外展開も見据えた出願、を目的とするためかと思います。


意匠登録の例


機能的ポイント部分を部分意匠で抑える例がいくつかありました。

同一物品の部分意匠に関して、部分の範囲を少しずつ広くした部分意匠が登録されていました。部分意匠だけ抑えればよいとも思われますが、そうでもないようです。類似範囲が変わりますので、そのような出願も必要になることがあるかもしれませんね。

機能的ポイント部分を抑えた出願に関しては5条3号が気になるところですが、なんとかなるそうです。私としては、チョークコイルのボビンの部分意匠が気になってしまいました。実用新案ではなく、意匠での権利化が重要になるかと思います。

機能が模様になるような場合には、特許だけでは模様だけ付した物品に対して権利が及びませんので、意匠の保護も必要になります。そのようなことがあることは知っていましたが、具体例を見ると納得できますね ! ここでは割愛いたします。

画像意匠では事後記録画像の登録が可能になりました。ただ、物品の機能を果たすために必要な表示画像(2条1項)、または物品の機能を発揮できる状態にするための操作画像(2条2項)であることが要件として課されます。このため、壁紙やゲームのコンテンツ画像が登録されるわけではありません。


ハーグ出願


ハーグ出願ではロカルノ分類に応じて複数の意匠を一出願できます。

国際出願から6月後に国際公表されます。この国際公表の時期は、優先権証明書の提出期限(国際公表から3月以内)や新規性喪失の例外の適用(適用を受ける旨の書面 : 国際公表から30日以内、証明書 : 3月以内)の起算日になります。

ただ、国際公表の時期は通知されませんので、手続き期間の徒過に注意が必要です。実際に、上記2つの手続の期間を徒過した例があるようです。

国際公表は繰り延べができますが、繰り延べを認めていない締約国(シンガポール、米国など)が指定国に含まれると、国際公表の繰り延べはされません。また、公表されると拒絶の情報も公開され、手数料の納付により国際登録簿の記録を取得することができます。

審査は、1回の拒絶の通報ですべての理由を通報するそうです。日本では小出しにする場合があるようです。 関連意匠は本意匠の国際公表時まで出願できますので、繰り延べにより最大30月の猶予が認められます。ただ、国際公表後に審査を始めるので、登録も遅れます。

願書には、原則視覚的な特徴についてのみ記載することができ、機能的特徴などの技術的な説明を記載することは原則できません。ただ、機能が書いてある出願もあるようです。


まとめ


近年の意匠登録の傾向と制度改正のポイントについて解説いたしましたが、これがすべてではありません。

詳細については、弁理士に相談することをお勧めいたします。
ご不明な点がございましたら、お気軽にご相談ください。
参照 : SHARES 弁理士 剱物英貴のページ

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