前回、建設業許可申請をお考えの方へ ! 2分でわかる建設業許可の要点まとめでは建設業許可に関する基礎知識をご紹介しましたが、いかがでしたか ?
「建設業許可についてもう少し詳しく知りたい」と思った方もいるのではないでしょうか ? そこで今回は「建設業許可の基準」について解説いたします。
建設業許可を取得するために必要な要件とは
建設業の許可を取得するには、次の要件をすべて充たす必要があります。
●技術者の設置 ➡ 営業所ごとに常勤の専任技術者を配置すること
●誠実性 ➡ 請負契約に関して誠実性を有していること
●財産的基礎 ➡ 請負契約を履行するに足りる財産的基礎又は金銭的信用を有していること
●その他 ➡ 欠格要件等に該当しないこと
経営業務の管理責任者の設置
許可を受けようとする者は法人である場合、その役員のうち常勤である者1人が、個人である場合においてはその者又はその支配人のうち1人が建設業に関し、以下のとおり経営業務の管理責任者としての経験等を有することが求められます。
具体的には下記5つの点です。
〇同一業種の建設業を営んでいる会社の管理責任者に準ずる地位で経営業務の補佐を6年以上の経験
〇許可以外の業種の建設業の会社で経営管理責任者として6年以上の経験
〇同一業種の建設業を営んでいる個人事業主の5年以上の経験
〇許可以外の建設業を営んでいる個人事業主の6年以上の経験
役員とは
持分会社の業務を執行する社員、株式会社若しくは有限会社の取締役、指名委員会等設置会社の執行役、又はこれらに準ずる者と定められています。
経営業務の管理責任者としての経験を有する者とは
営業取引上、対外的に責任を有する地位にあって、 建設業の経営業務について総合的に管理した経験のある者をいいます。
営業取引上、対外的に責任を有する地位とは
法人の役員または委員会設置会社における執行役、個人事業主または建設業法施行令第3条に規定する使用人などを指します。
常勤とは
原則として本社、本店等において、休日その他勤務を要しない日を除き、一定の計画の下に毎日所定の時間中、その職務に従事していることをいいます。
(注)役員以外であっても執行役員、支店長、営業所長などの経験も認められる場合があります。役員等に次ぐ職制上の地位で、取締役会の決議により特定の事業部門に関して業務執行権限の委譲を受ける者として選任され、かつ、取締役会の決議により決められた業務執行の方針に従って、特定の事業部門に関して代表取締役の指揮及び命令のもとに具体的な業務執行に専念した経験を証明する必要があります。
「経営業務の管理責任者」は、建設業の他社の技術者及び他の法令により専任性を要するとされる管理建築士、宅地建物取引士等と兼ねることはできません。ただし、同一法人で同一の営業所である場合は兼ねることができます。
専任技術者の設置
建設工事に関する請負契約の適正な締結、履行を確保するためには、当該建設工事についての専門的知識が必要となります。
見積、入札、請負契約締結等の建設業に関する営業は、各営業所で行われることから営業所ごとに許可を受けようとする建設業に関して、常勤で一定の資格又は経験を有した者(専任技術者)を置く必要があります。
専任技術者は、一般建設業許可と特定建設業許可で、その要件が異なります。
a 許可を受けようとする建設業の工事について高校の関連学科卒業後5年以上、大学の関連学科卒業後3年以上の実務経験者
b 許可を受けようとする建設業の工事について10年以上の実務経験者
c それと同等以上の知識、技術、技能があるもの(一定の資格取得者)
イ 建設業の種類に応じた高度な技術検定合格者、免許取得者
(一級技術検定合格者、技術士、一級建築士)
ロ 一般建設業の要件に該当し、かつ許可を受けようとする建設業の工事について、元請として4,500万円以上の工事を2年間以上指導監督した実務経験者
ハ 国土交通大臣が、イ、ロと同等以上の能力を有すると認定した者
ただし、政令で定める次の7業種については、指導監督した実務経験(上記ロ)は認められません。
② 建築工事業
③ 電気工事業
④ 管工事業
⑤ 鋼構造物工事業
⑥ 舗装工事業
⑦ 造園工事業
「経営業務に管理責任者」と「専任技術者」との双方の基準を満たしている者は、同一の営業所内において、両者を1人で兼ねることができます。
「専任技術者」は、建設業の他社の技術者及び他の法令により専任性を要するとされる管理建築士、宅地建物取引士等と兼ねることはできません。
ただし、同一法人で同一の営業所である場合は兼ねることができます。
専攻科、別科 |
+ 実務経験5年 |
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創設された中高一貫の教育学校 |
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短期大学 |
+ 実務経験3年 |
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+ 実務経験5年 (専門士、高度専門士であれば3年) |
建設業の誠実性
建設業は、その性質から取引の開始から終了まで長期間になることがあることから、信用があることが前提となります。
企業の役員や支店長、個人の場合は、本人又は一定の使用人が請負契約に関して不正、不誠実な行為をするおそれが明らかな者でないことが必要です。
「不誠実な行為」⇒ 工事内容、工期、天災等不可抗力による損害の負担などについて請負契約に違反する行為
財産的基礎
建設工事の着手には、資材の購入や労働者の確保、機械器具等の購入など、一定の準備資金が必要となります。
このため工事を請け負うことができるだけの財産的基礎を有している必要があります。
●自己資本金が500万円以上又は500万円以上の資金調達能力があること
自己資本とは、法人では貸借対照表「純資産の部」の「純資産合計」の額をいいます。個人では期首資本金、事業主仮勘定及び事業主利益の合計額から事業主貸勘定の額を控除した額に負債の部に計上されている利益留保性の引当金及び準備金の額を加えた額をいいます。
資金調達能力については、取引金融機関発行の500万円以上の預金残高証明書に判断します。
●許可申請直前5年間許可を受けて継続して営業していること
建設業許可の更新を行う際は、自己資本金や資金調達能力を問われることはありません。
申請時直近の確定した貸借対照表において以下の全ての事項に該当していることが必要となります。
ア.欠損の額が資本金の20%を超えていない
イ.流動比率が75%以上
ウ.資本金の額が2000万円以上
エ.自己資本の額が4000万円以上
ア.は繰越利益余剰金がある場合や資本余剰金や利益準備その他利益余剰金の合計が繰越利益余剰金の負の額を上回る場合は要件を満たしています。
イ.流動比率は(流動資産÷流動負債×100%)で計算されます。企業の1年以内の収支倍率を表す数値で、企業のキャッシュフローを表す指標となります。
上記のとおり特定建設業の財産的要件は、一般建設業のそれと異なり許可の更新申請における直近の貸借対照表においても同様に求められます。
その他
欠格要件に該当するものは、許可の基準を満たしていても、建設業の許可を受けられません。
b 許可の取消処分を受けた日から5年を経過していない者
c 営業停止期間中の者
d 役員等、支店長、営業所長などが、禁固以上の刑に処せられ、刑の執行を終えた日、又は刑の執行を受けなくなった日から5年を経過していない者
e 役員等、支店長、営業所長などが、建設業法、建設工事の施工、若しくは建設工事に従事する労働者の使用に関する法令、いわゆる暴力団対策法等の規定に違反し罰金の刑の執行を受けなくなった日から5年を経過していない者
f 役員等、支店長、営業所長などに暴力団員又は暴力団員でなくなった日から5年未満の者がいる企業
g 暴力団員等がその事業活動を支配する企業
まとめ
建設業許可の基準について説明しましたがいかがでしたでしょうか ?
建設業の許可をお考えの方は、悩む前にまずは専門家に相談することをおすすめいたします。
弊所では建設業許可その他、建設業者に必要な許認可をトータルサポートをしております。ご不明な点がございましたら、お気軽にご相談ください。
参照 : SHARES 行政書士 衛本 高志のページ