建設業許可要件その1 事例でわかる「経営業務の管理責任者」要件について
法務


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経営業務の管理責任者とは


「経営業務の管理責任者」は、建設業許可の重要な要件の一つです。

申請者(法人であれば役員等、個人であれば本人または支配人)のうち、過去において一定期間、建設業の経営に関する経験を有した者を「経営業務の管理責任者」として配置します。


経営業務の管理責任者候補

平たく言えば、申請を行う時点で株式会社や有限会社だと取締役のうちの一人、個人事業主だと本人または登記されている支配人が「経営業務の管理責任者」候補ということになります。
尚、非常勤の取締役は該当しません。

上記以外でも希少ではありますが、「指名委員会等設置会社の執行役」や「これらに準ずる者」も該当者となります。
「これらに準ずる者」とは原則では法人格のある各種組合等の理事をいいます。

執行役や理事等は法人登記の記載事項ですので、法人の謄本(履歴事項全部証明書)にて容易に確認することができます。
「これらに準ずる者」にあっては、平成29年6月1日より各種組合等の理事に加え、「取締役会の決議を経て取締役会又は代表取締役から具体的な権限委譲を受けた執行役員」を追加することとなりました。
これは大きな要件の緩和ですよ。

例えば、上場会社の子会社などで役員の選任権が親会社に任されている会社等には吉報になるかと思われます。
「経営業務の管理責任者」の候補者については、ご理解いただけましたか。

この候補者の中に、「過去において一定期間、建設業の経営に関する経験」を有する該当者がいるか否かということです。


一定期間、建設業の経営に関する経験とは


では、「一定期間、建設業の経営に関する経験」とはどのようなものでしょう。いくつか、主なパターンをご紹介致します。あなたは、どのパターンに該当しそうですか ?

尚、以下ご紹介する複数のパターンを合算して年数をカウントすることも可能です。

■ 例(1)
一人親方として型枠大工の自営をしていた期間が5年以上である場合、大工工事業の許可申請における経営業務の管理責任者の要件を満たすことができます。型枠大工ではなく、内装工事であれば内装工事業の許可申請における経営業務の管理責任者の要件を満たすことになります。

では、上記の型枠大工で自営していた期間が6年以上ある場合はどうでしょう。この場合、大工工事業の許可はもちろんのこと、内装工事業その他27業種(全部で29業者)全ての工事業種における経営業務の管理責任者の要件を満たすことができます。

自営業の期間を証明するには、確定申告の原本のほか、請負契約書や注文書•注文請書、または請求書の写し等を提出します。 尚、請求書の写しを提出する場合は入金履歴の原本(通帳等)も求められます。

上記の証明書面は、大臣または、各都道府県で求められるものが異なります。大臣、東京都、神奈川県、埼玉県でも大きく異なります。
このことは、許可を取得する上で難易度に関わる重大な事項になります。 私共行政書士にとっても重要事項で、その証明書面のボリュームによって許可申請に伴う報酬も異なってきます。

このことは、以下に紹介するパターンの場合も同様です。
では、話しを戻します。

■ 例(2)
Aさんは以前、建設会社X株式会社の取締役を5年以上務めました。その期間、X株式会社は、とび•土工工事業と塗装工事業の許可を所持していました。
この場合、Aさんはとび•土工工事業及び塗装工事業の許可に関する「経営業務の管理責任者」の要件(経営経験)を満たすことになります。
もうお気づきですよね。
では、X株式会社の取締役の期間が6年以上あり、その期間建設業の許可を所持していた場合、全ての工事業種(全29業種)における経営業務の管理責任者の要件を満たすことができます。

上記の期間を証明する書面としてはAさんがX株式会社の取締役であったことがわかる会社謄本(取締役就任から辞任までがわかるもの)及びX株式会社が当時建設業許可を所持していたことがわかる「建設業許可通知書の写し」などとなります。
尚、上記の証明書面についても、大臣または、各都道府県で求められるものが異なることがあります。

■ 例(3)
今回は(2)の例のリメイクです。X株式会社が許可を所持しておらず、軽微な工事(500万円未満税込)のみを行っていた場合はどうでしょう。(2)における建設業許可通知書に替えて、Aさんの取締役だった期間に行っていた工事業種(内容)がわかる工事請負契約書、工事請書、注文書、請求書の写し等が必要となります。

ここで気をつけなければならないことは、5年以上を証明する場合、期間通年して特定の工事業種を行っていたことを証明しなければなりません。

例えば塗装工事業の許可を取得するなら塗装工事業についてのみ5年以上を通して工事を請け負っていたことを証明する必要があります。ここポイントです。
では、6年以上を証明する場合はどうでしょう。この場合、塗装工事業に限定する必要はありません。塗装工事業に加えとび•土工工事業やその他の工事業等合わせて通算6年以上を証明できれば要件を満たします。

現実的には、X株式会社が元役員Aさんのために過去における工事請負契約書等の証明書面を提出してくれるかどうかということになります。
一般的なX株式会社とAさんの関係が余程密接でなければ難しいことかと思われます。

毎回ですが、上記要件を証明する書面は、大臣または、各都道府県で求められるものが異なります。

■ 例(4)
Bさんは建設会社Y株式会社を設立し、代表取締役として軽微な工事(主に内装工事業)を請け負っていました。会社設立から5年が経過し、請負代金も大きくなってきたので建設業許可(内装工事業)の取得を考えています。 会社設立から引き続き、期間通年して内装工事業を請け負っていたことが証明できれば、Bさんは「経営業務の管理責任者」の要件をみたすことができます。
では、6年が経過した場合はどうでしょう。もうお分かりかと思いますが、内装工事業以外の建設業許可についても「経営業務の管理責任者」の要件をみたすことになります。

こういうパターンもあります。

■ 例(5)
Cさんは個人事業主として管工事業(軽微な工事)を請け負って3年が経過しました。工事受注が増え、従業員の社会保障を充実させるため、株式会社を設立しました。
会社設立から2年が経過しました。請負代金がだんだん大きくなってきたので建設業許可(管工事業)の取得を考えています。 個人事業主の3年及び会社設立後の代表取締役としても2年を合算し、5年以上期間通年して管工事に関する請負を証明できればCさんは管工事業に関する「経営業務の管理責任者」の要件を満たすことができます。
このパターンで6年以上の期間を証明できれば、ご存知のとおり管工事業以外の建設業許可についても「経営業務の管理責任者」の要件を満たします。



まとめ


以上、「経営業務の管理責任者」の要件について、「建設業の経営に関する経験」に関する主なパターンについてご案内致しました。
あなたは、どのパターンに該当しますか ?

また上記以外にも希少ではありますが「建設業に関する補佐経験」や「執行役員等としての経営管理経験」のパターンもあります。

ご不明なことがございましたら、お気軽にご連絡下さい。
直通 080-1189-2357 衛本(えもと)
※LAB記事 『建設業許可要件その1 事例でわかる「経営業務の管理責任者」要件について』を見たとお伝えください。

参照 : SHARES 行政書士 衛本高志のページ

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