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経営業務の管理責任者としての経験等を有する者の配置について
役員(取締役等)の選任権について、親会社(株主)等に握られている事業者に朗報です。建設業許可の重要な要件に「経営業務の管理責任者としての経験等を有する者」の配置があります。
この要件については、2つの視点があります。
一つには、過去においての経験を有すること。もう一つは、申請時において常勤の役員に該当していることです。
今回の朗報とは、後記の「常勤の役員」に関する要件についてです。
建設業法第7条
建設業法第7条には「法人である場合においてはその役員(業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者をいう。)のうち常勤であるものの一人が、個人である場合においてはその者又はその支配人のうち一人が・・・」と規定されています。詳細を説明します。
「役員」以降のカッコ書の内容については以下のとおりです。
「業務を執行する社員」とは、持分会社(例えば合同会社)の業務を執行する社員をいい、「取締役」とは、株式会社や有限会社の取締役、「執行役」とは、指名委員会等設置会社の執行役をいいます。
最後の「これらに準ずる者」とは、法人格のある各種組合等の理事等をいい、執行役員、監査役、会計参与、監事及び事務局長等は原則として含まない。 とここまでが現状でしたが、以下が追加されました。
業務を執行する社員、取締役又は執行役に準ずる地位にあって、許可を受けようとする建設業の経営業務の執行に関し、取締役会の決議を経て取締役会又は代表取締役から具体的な権限委譲を受けた執行役員等を「これらに準ずる者」に含める。
これまでは、法人の謄本(履歴事項全部証明書等)の登記事項とされている人員(役員)が原則でしたが、今回の緩和では登記されることのない人材であっても「経営業務の管理責任者」要件に該当する可能性が出てきたということです。
「これらに準ずる者」に該当するか否かを判断するための確認書面が必要
当然ながら、これまでどおり法人謄本(履歴事項全部証明書)を添付すればいい、という訳ではないので、「これらに準ずる者」に該当するか否かを判断するためには多くの確認書面が必要となります。
しかし逆に言えば、確認書面さえ整えば、(当然実態があることが条件ですが)取締役等でなくても「経営業務の管理責任者」として配置することができるということです。
このことは例えば「経営業務の管理責任者」である取締役の退任で、建設業許可を廃業せざるを得ないという、言わば最悪の事態になることについて上記のとおり「これらに準ずる者」となる人材の確保を進めることで、これらのリスクを回避する手段を得ることができることとなったことを意味しています。
まとめ
現時点では、問題になっていない事業者でも近い将来に向けて組織改革等を行うことで建設業許可の維持にそなえることをお勧めいたします。
ご不明な点がございましたら、お気軽にご相談ください。
参照 : SHARES 行政書士 衛本高志のページ
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