ビットコインのE-Commerceへの活用、注意点~その3
法務



前回の投稿までに、仮想通貨を利用した海外E Commerceの発展の可能性、仮想通貨利用にあたっての注意点として、仮想通貨口座を開く仮想通貨業者の選定や、仮想通貨の選択について法律的観点からの説明をしました。

参照 : ビットコインのE-Commerceへの活用、注意点
参照 : ビットコインのE-Commerceへの活用、注意点~その2

今回の投稿では、引き続き仮想通貨の利用の開始を検討するにあたって注意すべき事項として、契約の作成や約款の確認で気をつけるべき点を説明します。



仮想通貨と通貨の違い ~強制通用力とは~


当然ですが、仮想通貨は日本円や米ドルのような各国の通貨ではありません。これは法律的には「強制通用力がない」ということだと説明されます。
そして、「強制通用力がない」とは、その手段では法律上当然に有効な支払とはならないということです。

たとえば、「1万円」の値札がついた時計を都内のあるお店で購入する場合、手元に十分な日本円が残っていなかったので1万円相当の米ドル(約100米ドル)で支払いをしたとしても、この支払いは基本的に日本の法律上有効です(市中の店舗で米ドルの支払いを実際に受け付けてくれるかわかりませんが、それは別の問題です)。

これに対して、仮想通貨は強制通用力がないため、仮想通貨を支払っても法律上当然に有効な支払いはと認められません。


仮想通貨を支払手段として導入するにあたって ~相手方の了承を得ること~


ここでのポイントは“法律上当然に”有効とならないという点にあり、仮想通貨による支払も当事者間の合意に基づくのであれば法律上有効な支払いとなります(民法上は代物弁済ということになります)。このように通貨(日本円や米ドルなど)で代金額等を決めた場合、有効な支払いとして仮想通貨を用いるためには、支払取引の相手方の承諾を得て、あるいは相手方との間で合意をしたうえで行うことが必要となります。

この問題は、売主側の立場として代金等の支払を受け容れる場面ではあまり重要ではありません。仮想通貨による支払を、代金等の支払として自らが了解すれば足りるからです。 他方、自らが仮想通貨をもって支払いを行う場面では、有効な支払かどうかに関わるので注意が必要です。
具体体的には、仮想通貨での支払が生ずる取引について契約を作成する場面であれば、仮想通貨による支払を許容する条項や、仮想通貨を支払方法として指定する条項を盛り込むべきです。

また、既に取引が開始されていて、仮想通貨による支払を行う場面であれば、相手方との契約や約款で仮想通貨による支払が根拠付けられているかどうかを確認する、あるいは少なくとも相手方が仮想通貨による支払を許容していることを確認すべきでしょう。
これらは、仮想通貨の支払手段としての利用がそれほど広く行われていない現状では当たり前に聞こえるかもしれません。

しかし、仮想通貨の支払手段としての利用が広がりほぼ通貨と同然に機能するようになると見落とす可能性もありますので、頭の片隅に置いておくとよいでしょう(もっとも、そのころには仮想通貨の私法上の取扱いをより明確にするための法改正がなされ、ここで述べた問題意識は解消されているかもしれません)。


区別すべき場面 ~仮想通貨で値段を決めた場合~


なお、以上の議論は、通貨等で定めた商品・サービスの代金を仮想通貨で支払う場合の問題です。

仮想通貨をもって料金を定めた商品・サービスについては、仮想通貨による支払いが当事者間で合意されているとみることができますので、以上で述べたような考慮をせずに仮想通貨を支払いに用いたとしても、特段の問題は生じないと考えられます。


まとめ


仮想通貨のようなものが現れるとは従来想定されていなかったので、円や米ドルといった国の通貨と異なり、民法上その存在を直接位置づける規定はありません。
そのため、国の通貨のように、金銭債務の支払手段として用いることを法律上認められているということもありません(=強制通用力がないということです)。

そこで、商品・サービスの代金を従来の国の通貨を単位として定めた場合などに、仮想通貨を手段とした支払を法律上有効なものとしたい場合には、その根拠は当事者双方の合意に求めざるを得ないということになります。

それゆえ、仮想通貨を支払手段として用いるのであれば、取引開始前であればそのことを契約書等の合意文書に盛り込むべきですし、取引開始後であれば当事者のコンセンサスが現にあるかどうかを確認することが必要になるわけです。

ご不明な点がございましたら、お気軽にご相談ください。
参照 : SHARES 弁護士 鈴木 康之のページ

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