法人であれ個人であれ、金銭の貸し借りは、非常にトラブルに発展しやすいやり取りです。また、信頼関係が崩れやすいトラブルの1つでもあります。
そのため、金銭の貸し借りをする際は、口約束だけで済ますのではなく、借用書や金銭消費貸借契約書を作成してトラブルを未然に回避することが好ましいです。
金銭トラブルを未然に防ぐ借用書、金銭消費貸借契約書とは
金銭の貸し借りがされたことを証明する書類として、借用書と金銭消費貸借契約書があります(金銭消費貸借契約書のことも借用書と呼称することがあります)。
借用書と金銭消費貸借契約書は、書面上に記載する内容はほぼ同じですが、作成と保管に関して異なります。
借用書は、借主が書類を署名して、貸主がその書類を保管します。一方で金銭消費貸借契約書では、双方が書類の署名をおこない、双方によって一部ずつ書類が保管されます。
署名 | 保管 | |
---|---|---|
借用書 | 借主 | 双方 |
金銭消費貸借契約書 | 貸主 | 双方 |
借用書では、借主が書類を作成するため、借主にとって有利となるような借用書が作成される可能性があります。その一方で金銭消費貸借契約書では、双方が納得した上で書類が作成されるので、どちらか一方だけに有利な書類となることを防ぐことができます。
金銭消費貸借契約書による3つの効果
金銭の貸し借りをする際に、金銭消費貸借契約書を作成することで、以下のような効果があります。
口約束の場合は、お互いの認識にズレがある可能性があります。内容を明確に文書化することで、双方が納得した内容で契約することができます。認識のズレによりトラブルが生じることを未然に防ぐことができます。
口約束だと、「返済期限は1ヶ月後だと思ってた」、「債権額は100万じゃなくて、90万だったはずだ」、「そもそもお金を借りた記憶がない」など、借主にとって都合のいい条件に変えられる可能性があります。しっかりと返済をしてもらうためにも、文書として金銭の貸し借りの記録を残しておく必要があります。
万が一、借主が債権を返済してくれない場合、裁判に発展する可能性があります。裁判になった際は、金銭消費貸借契約書のような文書があれば、裁判を優位に進めることができます。
収入印紙の貼り付けが必要
金銭消費貸借契約書には、債権額に応じた金額の収入印紙を契約書の左上に貼り付け、消印を押す必要があります。収入印紙を貼り忘れてしまうと、脱税となってしまうので注意が必要です。
また、収入印紙は作成される契約書が2通であれば、2通分必要となります。そのため金銭消費貸借契約書では、貸主と借主がそれぞれ契約書を所持するため、収入印紙は2通分必要となります。連帯保証人がいる場合は、3通分の収入印紙が必要となります。収入印紙は、債権額によって以下のように決められています。
債権額 | 収入印紙税額 |
---|---|
1万円未満 | 非課税(0円) |
10万円以下 | 200円 |
50万円以下 | 400円 |
100万円以下 | 1,000円 |
500万円以下 | 2,000円 |
1,000万円以下 | 1万円 |
5,000万円以下 | 2万円 |
1億円以下 | 6万円 |
まとめ
金銭の貸し借りはトラブルへと発展しやすいやり取りです。債権額が高額になると、借主も返済が困難になるため、必然的にリスクが高くなります。
50万円以上の金銭の貸し借りを行うのであれば、金銭消費貸借契約書を作成することをおすすめします。
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