弁護士が依頼を断るケースとは
法務


弁護士が相談を持ちかけられた際、「この依頼は受けられない」と判断し、結果的に依頼を断るケースもあります。弁護士が依頼を断る背景には、何らかの考えがあるのが通常です。どのような場合に弁護士が依頼を断るのか、その類型をいくつかみてみましょう。

この記事の目次

ケース①:勝ち目(法律上の根拠)がほぼ無い場合


弁護士は法律の専門家なので、相談者から持ちかけられた相談を法的な視点で捉え、勝ち目があるかどうか=法律上の根拠があるかを見極めます。そのため相談者側は勝ち目があると思っていても、弁護士が法律家としての知識や経験から「これでは勝てそうに無い=法律上の根拠がおよそない」と判断し、依頼を断るケースがあります。

相談者側は相談・依頼に至るまで慣れないステップを経てきているので、依頼を断られ拒否されるとつい抵抗を感じてしまうかもしれません。しかし、勝ち目が無い場合には、依頼を受けても期待に応えることが難しい以上、相談者側にとっても弁護士に依頼するメリットは低いです。

もっとも、例えば紛争になっている場合などには、当事者のいずれも有利なポイント・不利なポイントがあるのが通常で(シロか、クロかという単純な二択ではないということです)、「勝ち目がない=法律上の根拠がおよそない」と判断する場合は、あまり多くないといえるでしょう。

ケース②:依頼者にとって費用が過度にかさむ


弁護士業は労働集約型の事業ですので、作業量や費やす時間に比例して報酬をできることが弁護士側にとっては望ましいです。

他方、弁護士の作業量や費やす時間が、当該案件で問題になっている経済的利益の大小とは比例するとは限りません(むしろ比例しないことがほとんどでしょう)。売掛代金の回収のために訴訟を提起することを想定すると、その売掛金が100万円の場合と1000万円の場合で、訴訟追行の作業量や費やす時間が10倍違うかというと、そのようなことは決してありません。

このことは、裏を返すと、案件で問題になっている経済的利益が小さい事案であっても、弁護士はそれなりの作業や時間を費やさなければならないので、その報酬額はある程度の金額になってしまうということです。そのため、弁護士に依頼することが、依頼者にとって経済的に割に合わないという事態が生じます。例えば、10万円の売掛金回収の訴訟提起のため、弁護士報酬を10万円払うのでは依頼者にとってメリットがありません。

このように弁護士に事件を依頼することで費用が過度にかさみ、依頼者にとって利益とならない場合には、弁護士はその依頼を断ることがあります。

ケース③:案件解決に向けて協力していくのが難しい場合


弁護士は案件を解決するための法的素養とスキルを備えていますが、案件の当事者そのものではありません。弁護士が法律事務を行う前提として、当該案件の背景事情や事実関係を把握する必要があります。依頼者が初回相談後弁護士に全てを任せ連絡もスムーズに取れないという場合、弁護士が事実関係を把握することに支障をきたしかねません。

依頼者の協力がある程度得られないと、案件を解決する前提が成り立たず、弁護士側も尽くす手がなくなってしまいます。このように依頼者との間で協力関係を築くのが難しい場合には、弁護士は依頼を断ることがあります。

まとめ


ここまで弁護士が相談者の依頼を断わる場合とその理由について、三つの類型を例にご説明してきました。

弁護士とクライアントは解決に向かっている間、まるで二人三脚をしているかのようです。依頼者側もその弁護士が人間としての信頼をおける人物かどうか、協力関係を築けそうかどうか、自分との相性はどうかなど、慎重に判断しましょう。いずれにせよ、まずは話してみないとわかりませんので、お困り事があれば、一度弁護士に相談してみてはいかがでしょうか。

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