120年ぶりの民法改正!システム開発契約の内容が変わる?!
法務


2017年5月、民法の一部を改正する法律が成立しました。
約120年ぶりに行われた民法改正はニュースや雑誌で度々取り上げられ非常に高い関心を集めています。
今回改正されたのは民法の中でも債権関係に関する規定になるため、債権法改正とも呼ばれています。

債権法は取引社会における基本的なルールを定めたものですので、企業間の取引にも影響が及ぶことになります。
今回は取引の中でも特にシステム開発に焦点を当て、この債権法改正がもたらす影響について解説していきます。

この記事の目次

システム開発契約形態の特徴


システム開発では、システム規模の大小はあるものの、開発導入工程は要件定義、基本設計、詳細設計、プログラミング、単体・結合テスト、客先での運用テストという流れが一般的です。

開発規模が大きいシステム開発では多段階契約を行う例が増えています。 多段階契約を行う事により、工程ごとの業務内容に適した契約形態を選択し、ベンダーが必要以上の責任を負ったり、もしくはユーザーがベンダーに対し必要な責任の追及ができなくなったりすることを防ぐことができます。

一般的に要件定義と基本設計は準委任契約、詳細設計、プログラミング、単体・結合テストは請負契約、客先での運用テストは準委任契約という多段階契約を行うケースが多いでしょう。

準委任契約は仕事の完成を目的とせず、委託された業務の遂行を目的とするので、要件定義や客先環境での運用テストなどのようにユーザーとベンダーが共同して行ったり、システム保守作業のようにシステムを稼働させるための適切な業務の遂行を求められたりする場合に適した契約形態です。

プログラミングや単体・結合テストは設計に従って、ベンダー側でプログラミングを行い、設計通りに動くかどうかをテストし、それをユーザーに納品することが求められます。この「設計書通りに動くプログラム」を完成させることを目的としているので、請負契約が適しています。

民法改正の影響


では、今回の民法改正は上記のシステム開発契約にどのような影響を与えるのでしょうか。

まず、要件定義などの時に適用される準委任契約について見ていきます。

要件定義などはユーザーが求める機能をベンダーと共同で洗い出しを行い明確にしていく作業ですので、ベンダーにはシステム開発の専門家としての知識を駆使しアドバイスを行うという「業務の遂行」が求められます。

現行民法ではユーザーから求められた業務を遂行すれば、ベンダーは報酬を請求することが出来ます。これを履行割合型と言います。

しかし、改正民法では準委任契約でありながら「仕事の完成」をしなければ報酬を請求できない契約形態を定めることが認められます。これを成果完成型と言います。
改正民法が施行されると、この2つから選択して契約を行う事が出来ます。

次にプログラミングやテストに適用される請負契約を見てみましょう。

システム開発と言えば「バグ」は避けられない問題です。
現行民法では「バグ」が見つかった場合、それを「瑕疵」とし、ベンダーはその瑕疵を補修する責任を負います。
これを「瑕疵担保責任」と言います。

改正民法では、この瑕疵という言葉がなくなり、バグにより目的物の品質が契約の内容に適合しない「契約不適合」という言葉に変更されました。

また現行民法ではユーザーがベンダーに瑕疵担保責任を追及できる期間は納品後1年間とされていますが、改正民法では「契約不適合」を「知ったときから1年」となりました。

システム開発契約の注意点


上記のほかにもバグが多く契約の目的を達成しないと考えられるような場合に代金の減額を請求できたり、プロジェクトがとん挫した場合、今までベンダーが開発したシステムがユーザーにとって価値があるものと認められた場合に、システムの開発が完成していなくても開発の割合に応じた報酬が請求できたりするようになりました。

しかし、ここで注意しなくてはならないのは民法は任意規定である、と言う事です。 任意規定とは、契約書にベンダーとユーザーが合意した内容を記載しておけば、改正民法とは違う内容で契約することが出来るという事です。

例えば「契約不適合」で責任を負う期間を改正前と同じく「納品後1年」と記載すればそれが優先されることになります。
契約書面を交わさずにシステム開発を行うと図らずも自社に不利な状況になる可能性があることを念頭に置いておく必要があります。

まとめ


どの企業でも規模の大小はあるものの、システム導入をしている時代です。
それに伴い、システム開発に関するトラブル事例も多々起きており、司法の場に持ち込まれた事案も少なくありません。

今回の民法改正で契約書を取り交わす事の重要性が増すこととなりました。 後々の紛争を防ぐためにも契約書のほか、議事録等打ち合わせ内容はきちんと記録し、保存しておくことを心がけましょう。

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