農業ドローン事業参入に必要な許認可とは?行政書士がポイントを解説
法務


今や農業の分野においてもドローンは欠かすことのできないものとなっており、農薬の散布等に広く利用されています。 農業にドローンを導入することで、作業の効率を飛躍的に上昇させることが可能となります。 また、人手不足の解消という点においてもドローンは非常に魅力的です。

しかし、農業の分野に限らず、ドローンを飛行させるためには様々な許可を得ることが必要となります。 ドローンはとても便利ですが、使い方を誤ると様々な事故やトラブルの種となってしまうおそれがあります。

そこで今回は、農業の分野においてドローンを導入するために必要となる許認可についてご説明します。

この記事の目次

航空法による規制


「航空法」においては、ドローンの「飛行場所」「飛行方法」について規制をしています。

飛行場所については「空港等の周辺の上空」「150m以上の高さの空域」「人口集中地区の上空」といった場所でドローンの飛行を、
飛行方法については「夜間飛行」「肉眼で直接目視できない範囲においてドローンを飛行させること」「人や物件(第三者の建物、自動車等)と30m未満の距離における飛行」「多数の人が集まる催しにおける飛行」「危険物の輸送」「ドローンからの物の投下」といった行為を禁止しており、これらに該当する場所でのドローンの飛行やその他の行為をしようとする場合、地方航空局長の許可が必要となる旨を規定しています。

したがって農業においては、ドローンで「危険物」に該当する農薬を運搬し、更に「投下」することになるため、これらの行為をするためには許可が必要となります。

ドローンを飛行させるための許可のみならず、物件を投下するための許可も必要となるため、やや難易度の高い手続を行うこととなります。
また、業務の性質上、農薬散布の日時を指定して許可の申請をすることは難しいため、「○月○日から○ヶ月間有効」のようないわゆる「包括申請」という形式で許可の申請をする必要があります。

飛行実績について


有効期間が3ヶ月以上となる包括申請により許可を取得した場合、許可の取得から3ヶ月ごとに許可申請を行った機関に対してドローンの飛行実績を報告しなければなりません。飛行実績の報告は原則として「飛行実績報告書」という書面によって行います。

「飛行実績報告書」には、飛行させたドローンの種類、飛行時間や発着地点及び時間、飛行の目的といった情報を詳細に記載することとなっており、添付書類として飛行場所の地図等が必要となります。 「飛行実績報告書」は郵送だけでなく、メールによっても提出することが可能です。

また、ドローンから農薬等の物件を投下するためには、5回以上の飛行及び物件投下の実績(訓練)を有することが求められます。 これは、飛行実績が無い状態で物件の投下を行うと、誤って物件が落下し事故等が発生してしまうおそれがあるためです。

ドローンからの物件投下の訓練を行う際は、必ず第三者が立ち入らないよう措置を採った上で関係者の管理の下、十分に気をつけて行うようにしましょう。 また、訓練の際には補助者を配置し、操縦者へのアドバイス及び周囲への注意喚起を必ず行う必要があります。

技能認定について


農業において農薬を散布する等の目的でドローンを使用する場合、地方航空局長の許可を得るだけでは足りず、農林水産省が指定する機関である「農林水産航空協会」が実施している技能認定を受け、登録しなければなりません。

ドローンの技能教習は農林水産航空協会によって指定された教習所(産業用マルチローター教習施設)にて受けることができます。 自動車教習所と同じように、学科と実技の教習を受け、合格すると技能認定証が発行され、農業用ドローンを導入することができるようになります。

まとめ


農業において農薬の散布等の用途に供する目的でドローンを導入するためには、様々な手続が必要となります。 農薬は「危険物」であり、更にそれを「投下」することになるため「航空法」に基づく地方航空局長の許可を取得しなければなりません。

この際にはいわゆる「包括申請」による許可を取得することとなり、許可の有効期間が3ヶ月以上となるものについては「飛行実績の報告」が必要となります。 また、ドローンから「物件投下」を行うためには、5回以上の飛行及び物件投下の実績が必要となります。

更に、農業用ドローンを導入するためには地方航空局長の許可だけでは足りず、「農林水産航空協会」が実施する技能認定を受け、登録をする必要があります。 農林水産航空協会の指定を受けたドローンの教習所で学科と実技の教習を受け、合格すると技能認定証が発行されます。

求められる要件は多いですが、農業用ドローンを安全かつ効率的に運用するために必要となりますので、必ずこれらの手続を経るようにされて下さい。

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