英語での契約書作成が必要になったらどこに依頼する?
法務


普段の取引先が日本国内のみでも、相手方が外資系企業であったり、海外企業との取引が発生することも珍しくはないと思います。
今回は、取引に付随して英文契約書が必要になり、外部に作成やレビュー(リーガルチェック)を依頼される場合の注意点を簡単にまとめてみました。

この記事の目次

1.「英文が書ける」と「英文契約書が作成できる」は違う


日本語の契約書を英語に翻訳して締結した、という話を時々聞くのですが、日本語の契約書を翻訳したものは、英文の書面ではあるものの、契約書の体裁にはなっていません。 よって、依頼先に迷った場合でも、翻訳会社や法律事務所などに日本語の契約書を翻訳する、という形での依頼は避けるべきでしょう。
なぜなら、日本語の契約書と英語の契約書は考え方、建て付けが異なり、翻訳した用語が契約用語になっているかがわからないと、あとでトラブルになる可能性があるからです。

例えば、製品保証に関しての項目は「Warranty」、第三者からクレームを入れられた場合の補償は「Indemnification」ですが、これを「Guarantee」「Compensation」と訳してしまえば、意味が違う為、相手方に保証も補償も求められなくなる可能性があリます。条文や言い回しについても依頼先の担当者が契約書としての体裁がわかる方かどうかの確認が必要です。

2.法体系が異なる国との契約では、日本語契約書の常識は通用しない


日本法がCivil Law(制定法)の国である一方、英米豪シンガポールなどが判例を法とするCommon Lawの国であることはご存知の方も多いと思います。
が、その前提として、日本とそれ以外の国との契約では歴然とした違いがあると思っています。

日本文契約書は、日本という小さい島国の中で、 同じ常識を持った日本人同士が、「後でトラブルにならないように、一応話して決めたことを確認の意味で書いておく」というコンセプトで作られることが多いので、「この契約書にないことは、別途書面で交わす」「何かあったらお互いに協議する」という文言が入っています。

一方、英文契約書は、人種、考え方、慣習が全く違う同士で交わすものであり、「取引内容は、契約書の中で全て決めておく」ことをコンセプトとしています。契約書は、今までの交渉の最終版=integrate(完全化・最終化)したものであり、契約交渉以前、交渉中に口頭(書面も含む)で交わされた約束事は、「Parol Evidence Rule(口頭証拠排除の法則)」をベースとしています。

つまり、いくつかの例外を除いて、「この契約書には書いていないが、こういう相談をした」ということを証明するための証拠からは排除されることになり、契約書以外の約束事は契約事項ではない、ということになります。だから、英語の契約書には「Integration」という条文が入っています。

このIntegratedされたはずの契約書に、日本固有の文言、「別途協議=何か不明なことが出てきたら、両者で別途協議する」といった文言を入れてしまえば、契約書以外で約束をしても良い、つまり当該契約書が取引の最終書面でないことを認めていることになり、契約書の効力自体が疑われてしまいます。
だから、協議条項は、通常英文契約書には入れないのです。

同様に、損害賠償の上限を設定しても、日本文契約書では、「故意過失があった場合は例外=上限撤廃」とするのが普通ですが、英文契約書では、賠償金額というような重要文言に例外を作るというのは異例です。

この辺りの違いを理解するには、英米法の知識と、日本語以外の言語を母国語とする取引先との交渉経験が必須になります。感覚の違い、法律の違いを理解しているかどうかを確認の上、契約書作成を依頼するべきと思います。

3.業界が経験分野であるかどうかの確認をする


契約書作成には、英文契約書作成の経験だけでなく、業界独特の慣習や常識も理解している必要があります。例えば、製品保証(Product Liability)の保証年数には、業界によって開きがあるため、日本の商法の規定年数を入れても、意味がありません。

そういった知識なしに作成をした場合、業界知識がないことが先方に伝わり、「会話が通じない相手」と思われ、契約交渉がスムーズに進まないことがあり得ます。よって、英語、欧米の法体系だけでなく、業界常識を知っているかどうかも確認の必要があります。

まとめ


日本の会社間の取引では訴訟リスクを考える必要はほとんどないので、契約書も雛形や会社固有の定番を使用することも可能でしょう。 一方、取引相手が海外や外資系企業であれば、トラブルが訴訟に発展し、損害賠償請求される可能性が高いことはご存知の通りです。

一旦契約書を締結してしまうと、トラブルが起きた後でリスクや不利な条件などに気付いても、取り戻すことはできません。
よって、取引契約に関わる英文契約書の作成には上記の3点を考慮し、細心の注意を払って、適任者を探すことが必要となります。

もし、英文契約書の作成・レビュー等でお困りの場合は、SHARESの専門家にご相談ください。

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