うちの会社でも産廃収運業の許可ってとれる??
法務


建設業の現場で排出されたコンクリートがらや医療の現場で排出される感染性産業廃棄物など、産業廃棄物は日々様々な現場で排出されています。もっとも、産廃収運業(産業廃棄物収集運搬業)を始めるには許可が必要です。しかも、積む場所と降ろす場所の許可が必要です(例えば東京都で収集し千葉県の処理施設に運搬する場合、東京都と千葉県の許可が必要です)。
そこで、今日は産廃収運業許可のポイントを解説していきますね。

この記事の目次


1.許可の要件


①人的要件
講習会の修了および欠格事由
○講習会の修了
産廃処理業全般に共通するのが講習会の修了です。これから行おうとする産廃業について確かな知識があることを証明するためのものです。講習会は毎月全国で行われており、都合のつく日時と場所を選び受講します。早く受講したくても受講される方がお住まいの都道府県では都合のよい日程がない場合には、他の都道府県で受講することもできます。どこの都道府県で受講していただいても構いません。
添付書類である修了証は試験合格の場合2週間程度で届きます。
○欠格事由
申請(代表)者が
イ 成年被後見人若しくは被保佐人または破産者で復権を得ない者
ロ 禁錮以上の刑に処せられその執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
ハ 暴力団員などでなくなった日から5年を経過しない者
等でないことが必要です。

②場所的要件
事務所や駐車場の使用権原があることが必要です。事務所などが賃貸の場合、賃貸借契約書の使用目的に「産業廃棄物収集運搬業」の記載がないと突っ込まれます。その場合は同意書などで対応していきますが、不動産業者さんの協力が必要となります。ですので、不動産業者に連絡し、事情を丁寧に説明して前向きに対応してもらいましょう。

③物的要件
車輛と運搬具の調達が必要です。
○車輌
許可もない段階で車輛を調達しなければならないのか?とも思いますよね。もし、要件面で心配であれば担当行政機関に事前相談されると良いでしょう。
車輛は事業に見合うものを調達しましょう。この点、感染性産業廃棄物の場合はてびきに保冷車と指定されている自治体があります。原則的に全国同じ対応なのですが、てびき上は保冷車の指定がなくても保冷車を求められたりします。また、保冷車に代わることができるものならOKだったりもします。感染性産業廃棄物の場合は、事前に車輛の確認をすべきですね。
また、車両は自己所有またはリースであることが必要で、レンタルはNGです。
○運搬具
産廃物を入れる袋やドラム缶、ブルーシートなどの運搬具が必要です。飛散や浸透しないような運搬具を調達しましょう。

④経理的要件
経理的基礎がしっかりしているかを考慮されます。事業を行うわけですから、その事業を行うだけの能力があるかを確認するわけですね。

この点は直前3年分の財務諸表で確認されます。基本的には黒字決算であることが望ましいです。望ましいというのは、赤字の場合には提出する書類が追加されたり、あまりひどいと許可取得が難しくなったりするからです。

2.申請上の注意


各自治体が公表しているてびき内に申請書類一式と添付書類一覧があります。ですので、基本的にはそれに従って書類を整えていきます。

しかし、てびきに書いていないことで注意することもあります。例えば、前述の保冷車なんかがそうです。自治体によっては保冷車指定の記述がなくても問いあわせしてみると「保冷車です」と言われたりします。「てびきに書いてないけどどうやってそんなことがわかるんですか」と質問をすると「政令や通達に書いてあります」という返答がきたりします。じゃあ書けよ!と思いますが。

そして、許可が必要な業種はほとんどに当てはまることですが、ハード面を揃えてから許可申請をするので、既に投資し終わっている状況なわけです。ですから、それで許可がとれないとなれば大損害ですので、ハード面の調達前に許可の見込を検討する必要があります。なので、ある程度申請の見込ができたなら、一度担当行政機関に電話ないし直接行って、要件や必要書類の確認をすると良いでしょう。

役所協議のポイントですが、基本的にこちらから聞かないと教えてくれないので、ことあるごとに「その他特記事項はありませんか」と聞いた方が良いです。「ない」と言われても「本当にないですね」といちいち念を押して下さい。後出しで書類の提出を求められたりしますので。

3.申請手数料および審査期間


○申請手数料
多くの自治体で、新規申請の手数料は81,000円となっています。複数の自治体に同時申請する場合、その自治体ごとの手数料が必要です。当然その分の費用がかさみます。手数料は各都道府県の証紙で支払います。

○審査期間
いわゆる標準処理期間は自治体によってバラバラです。30日の自治体もあれば、40日だったり60日というところもあります。申請業者さんにも受注予定がありますので、どのくらいの期間で許可が下りるのか確認しましょう。

4.最後に


産廃収運業を行っている業者のほとんどが建設業との兼業です。元請会社などから「コンクリートがらを運んでくれないか」と頼まれたりすることが多いようです。

収運業をサイドビジネスとしている業者さんが多くいらっしゃいます。ですので、迅速に許可の申請をし、ビジネスチャンスを逃さないようにしましょう。はやく許可が欲しいという業者さんほど、産廃専門の行政書士に頼むことをおすすめします。

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