3分で分かる!コンサルティング契約書のリーガルチェックのポイント
法務


コンサルティングとは、企業の課題を明らかにし、解決策を助言、指導すること、と定義されています。 そして、一口にコンサルティング業務と言っても、IT 機器の導入プロジェクトから、M &A のアドバイザリー、商品の販売促進の助言など様々な業務があります。
更に、本来、有資格者以外が法律上行うことを許されてない業務をして対価をもらうための隠れ蓑に使うためにコンサルティング契約が利用される場合もあります。

例えば、マーケティングのコンサルティングと称して紹介料を本来貰ってはいけない士業から紹介料をもらったり、資格がないため報酬をもらって代理人になることができないのに財務のコンサルティングと称して金融機関と交渉を行う例もあります。
このようにコンサルティング業務は多種多様であり、時には実体とは異なる使われ方もするため、その契約の特性や実体に応じてリーガルチェックも行っていくことになります。

コンサルティング契約書でも、他の契約書と同じように契約の解除に関する条項や管轄条項(紛争が生じたときに、どこにあるどのような紛争解決機関で解決するのか)等、一般的な条項ももちろん問題となりますが、ここではコンサルティング契約書で特にリーガルチェックのポイントとなる点をご説明します。

コンサルティング契約書で特に問題となるポイントは、概ね①業務の範囲、②責任の範囲、③秘密保持、です。

この記事の目次

1.業務の範囲

コンサルティング契約は課題を明らかにして、助言するという必ずしも業務の内容や成果がはっきりしない業務を委託する契約です。 そこで業務の範囲が曖昧となりがちです。
業務の範囲が曖昧であると、ある業務が委託された業務の範囲に入るのか入らないのかについて紛争が生じる恐れがあります。

例えば、業務を単に「A社の●●に関するコンサルティング」と記載してしまうと、一体どこまでが本来の業務であるか不明確になります。 その結果、本来予定していた仕事が終わったのか、本来予定していた仕事以外の仕事をしたので追加委託料が発生するのか、等を巡りトラブルが発生するおそれがあります。

そこで、コンサルティング契約書のリーガルチェックの際には、業務の範囲が具体的に特定されているのかどうかに着目して検討をすることになります。 そして業務の範囲を具体的に記載するだけでは、予定する業務を特定することが難しい場合には業務の提供の方法(例えば、書面で報告する等)や回数(例えば、月●回来社する)なので特定をすることになります。

2.責任の範囲

他の契約類型でももちろんありますが、特にコンサルティング契約では、受託者であるコンサルタントの責任を一定の範囲に制限する条項が設けられていることが多いと言えます。
これは助言の対象となる業務の内容次第では、失敗するとクライアントに多額の損失が発生する可能性がある一方で、必ずしもコンサルタントの努力ではこれを回避できない可能性があるからです。

例えば、M&Aのコンサルティングを依頼した事案で、コンサルタントから助言を得て買った会社が意図的に粉飾決算をしていて、買った後クライアントに損失が発生するということもあり得ます(実際に筆者はそのような事例も見たことがあります)。

コンサルタントの立場からすれば、クライアントが買った企業が意図的に粉飾決算をしていて、提供された資料からそれを発見することが不可能だった場合にまで法的責任を追及されるのであれば、法的責任が重すぎてコンサルティング報酬に見合わないから受託できないということになるでしょう。
他方で、クライアントからすれば、わずかな注意を払えば提供した資料から粉飾決算が分かるような場合には一定の法的責任は負ってもらわなければ安心して仕事を頼めない、ということになるでしょう。

そこで、双方が折り合える範囲で責任を一定の範囲に限定する条項が必要となってきます。 このような条項の例として、責任の範囲の上限額を支払われた報酬の範囲内とする条項が挙げられます。

このように、コンサルティング契約書では、責任の範囲を定める条項がポイントとなることが多いため、リーガルチェックをする際には、自分(依頼者の方)の立場からこの業務について責任の範囲をどの範囲に制限していくのが妥当かという点に着目して検討をすることになります。

3.秘密保持

コンサルティング業務は、その性質上、コンサルタントに対して、クライアントが内部的な営業秘密や人事の秘密を授受することになります。 このため、クライアントがコンサルタントに対して提供した秘密の取扱が特に重要となります。
他方で、業務の内容によっては、コンサルタントがクライアントに対して、特別な営業の秘密を提供することもあり得ます。

そこで、コンサルティング契約書のリーガルチェックをする際には、自分(依頼者の方)がコンサルティング業務を実施するためにどのような秘密情報を提供する可能性があり、その秘密情報をどのように守っていくかに着目して検討することになります。

4.まとめ

以上のように、コンサルティング契約書では、①業務の範囲、②責任の範囲、③秘密保持、にポイントを置きつつ、業務の実体に照らし合わせてリーガルチェックを行っていくことになります。

契約は、あくまでも両当事者の合意がなければ成立しないため、リーガルチェックの結果、リスクがあることが分かっても、両者の力関係によっては、契約を締結せざるを得ない場合があります。
それでも、リーガルチェックをする意味は、最悪の場合どのようなリスクを自社が負うのか、それと比べて契約により得られるリターンはどうなのかを、リスクが顕在化する前に把握し、検討しておくことにあります。

そして、リスクが顕在化するリスクが現実的に低く、得られるリターンが大きいのであれば、自社に不利益な契約であっても営業判断から契約するという選択肢もあり得ます。 専門家にリーガルチェックをご依頼頂く場合でも、最終的にリスクとリターンは自社で判断していただくことになりますが、そのリスクをお伝えし、少しでもそのリスクを低くする方法をご提案するのが専門家の役割ということになります。

専門家に依頼をしなければ分からないリスクも時にはありますので、契約書の締結にあたり、不安を覚えることがあれば弁護士等の専門家にご依頼をすることをお勧めいたします。

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