企業における法務の効率化の記録
法務


この記事の目次

経験談から

私は10年前、専門商社の法務部からキャリアをスタートしました。当時は、私のほかに2名の法務体制、3人で、私が東京、残りの2人が大阪という形でした。商社の主役である営業マンは東京に3分の2はおり、私が入る前は東京に法務担当がいない状態でした。

契約は年間1000件以上締結(基本契約、開発契約、代理店契約、業務委託契約、総務関連の契約、NDAなど)。それをすべて、メールや電話ベースでやり取りしている状況でした。

当時の課題は、契約相談の型が全くなかったこと

「とりあえず」営業マンがメールで法務の「誰か」に「適宜の方法」で問いかけてみるという方法でした。私の入社時はすでに法務の業務はすぐにパンクしており、現場に強い不満がたまっている状態でした。

法務の改革

入社当日から殺到する依頼...
これまで大阪の法務担当に対して発信してもなしのつぶてだった依頼が堰を切ったように私のところに来ました。 一つ一つ真剣に答えることで信頼を得、その後潜在的な案件や初期的な段階からの相談がさらに増えてくる状態でした。
そこでまず取り掛かったのが契約相談フォームの作成。

今であれば、Google Spreadsheetでもできるようなものですが、当時はワードで作成していました(まだそういう意味では当時は法務1.0でした。)。 これにより、現場もどういう点を検討してから相談するのがいいか、明確になり、前捌きが容易になりました。

今であれば、SlackやGoogle Spreadsheetが威力を発揮するでしょう。



「社内決裁」の壁①

次に立ちはだかるのは2つの決裁の壁です。 一つは法務部内、すなわち大阪にいる法務チームリーダーの承認を取ることで、二つ目は役員会の承認です。
当時のオペレーションは悲惨なものでした。大阪の法務業務はすでに破綻しており、法務チームリーダーは、「決裁書になったものしか審査しない」というスタンスでした。とすると何が起こるか。現場がいったん決裁書を起案し、コピーして社長室に提出し、それを大阪に送り、それで契約内容を指摘し,直させて再提出させるというオペレーションでした。
私が事前に確認したものに対してもそれをするわけです。

現場は非常に混乱します(よね…)。
これに対しては、事前に見てもらうオペレーションに変えましたが、それによる私の負荷は非常に大きいものになりました。メール地獄です。

しかし完全には事前というわけにはいかず、最終的なバージョンは決裁書で見るというオペレーションは残りました。なんとFAXで送り、大阪で確認済みと記入してFAXで送り返すオペレーションでした。FAX地獄です。

今であれば、Holmesが威力を発揮するでしょう。


「社内決裁」の壁②

2つ目は役員会の壁でした。法務のレベルが上がるにつれて、会社の要求水準も上がりました。今なら経営者の気持ちがわかりますし、プロとして冥利な話なのですが、当時は、やればやるほど損な気分でしたが(笑)。

商社の法務は基本的には、得意先の条件に合わせて仕入先に対応をお願いするというものです。保証期間や、検収条件や、紛争解決について、なるべく得意先の要求に起因する商社のリスクを仕入先に転嫁するということが求められます。当然リスクを負って(負ったように見せて)リスク相応の利益を取りに行くことも求められます。

ここで、重要な契約条項一つ一つを役員会が見るようになりました。それで社長室長が説明を求められるのですが、到底説明できない。そこで審議が持ち越しになり契約締結が先方に約束した日時に間に合わない。という事態が頻発します。

そこで考えたのが法務審査シートです。
得意先から要求されていることをマスの左側に、仕入先に要求できていることをマスの右側に記入するチェックシートです。契約文言の要約は危険もあるので、基本的には全文それで対応しました。苦肉の策でしたがこれが大変好評で、そのオペレーションを基本にすることが会社で決定しました。

今であれば、Google SpreadsheetとHolmesの合わせ技が力を発揮するでしょう。



現場教育

次に取り組んだのが現場教育です。
営業マンが契約のことを知らなすぎるという問題があり、得意先や仕入先との交渉で負けまくるあるいは受け売りで全く太刀打ちできない状態でした。 経営陣からの強い要望もあり、毎年課長以上を対象に法務研修を行うことになりました。

契約書の分かりにくい文言を一つ一つかみ砕いて説明するようなものです。座学とはいえ実務に乖離しないように細心の注意を払って取り組みました。

今、同じ場面に遭遇すれば、Youtubeを活用すると思います。すごく簡単です。


契約書アーカイブ

当時サイボウズというグループウェアを使っていました。
サイボウズ内にはフォーマットが乱雑に入っている状態でした。また、インデント調整を知らなかったためか、1行1行改行されているという非常に編集しずらいフォーマットでした。

また、リッチテキストという形式で保存されていました。 細かいバージョン違いが同じ契約類型でも多数ある状態でした。
私にとっては「なぜなんだ…」の連続でした。
これを一つ一つ直し、100個あったフォーマットを主要な20にまで絞り込みました。

ここでもHolmesですね。


製本捺印業務

そして決裁された契約の捺印業務が待っています。
契約書の製本は1日1件以上あったと思います。これも私かアシスタントがやっていました。2部作製。最終版のファイルを探すだけでも一苦労です。
捺印は経理が行っています。そのために承認済みの決裁書の原本と製本済みの契約書を経理に持っていき、捺印後回収します。

それを営業マンに渡します。 営業マンに返送されてきた契約書は、営業マンから法務に渡され、それを書庫にファイリングして保管します。
ここのオペレーションには、当時は改善の余地を見出すことができませんでした。

今であれば、クラウドサインやHolmesが力を発揮するでしょう。


契約書の保管/期限管理

契約書の保管も悲惨なものでした。期限管理も言わずもがな全くできていない状況です。
契約書はAliveなものをすべてPDFで保管するよう、オペレーションを切り替えました。とはいっても膨大な量なので、まずは比較的新しいものからPDF化していきました。

期限管理は人力しかなく、課題として残りました。

今であれば、Holmesが力を発揮するでしょう。


翻訳業務

当時はもともと使っていたところと私が開拓してきたもう一社に頼んでいました。
とはいえ、動態的な契約交渉段階の翻訳外注はとても難しいオペレーションになります。

バージョンがどんどん変わっていくものに対して翻訳をかけていくわけです。交渉段階は翻訳せず、最終版だけ翻訳というわけにはいきません。英語ならまだしもその他の言語になると理解できないし、英語でも100ページ以上の契約書だと英語のまま全部というのはとても困難です。

しかも高い。翻訳にお金をかけたくない。
これに対しては、当時AI翻訳はまだなく、Techでは到底太刀打ちできない領域でした。Google翻訳を試してみたりもしましたが、結局自分で翻訳することが早く、そのあたりも結構、スキルを身に付けることで対応しました。

しかし、それでは時間単価が合わなくなってくるし、外注も高いので、1名、上場企業OBで翻訳業務をされている方を見つけてきて採用してもらいました。
とはいえ、内製化移行に伴うのオペレーション構築は当初は大変でした。

今であれば、ロゼッタのAI翻訳AIちゃんが力を発揮するでしょう。

法務部員の退職

こういった過程で、これまでのオペレーションと様変わりした新生法務部となり、私の先輩は影が薄くなって辞めました。また、法務部長は定年で退職となりました。

ここからがつらいところか...と思いましたが、私の同期入社で法科大学院卒の人物A君が、情報システム部にいたのですが、管理本部長に掛け合って、法務に入れてもらいました(A君、ありがとう!!)。
マネージャーは中途で採用できました。これにより残っていた非合理な部分も解消、さらにオペレーションは洗練され,法務改革は一応完成を見たかなと思いました。

私は当時並行して手掛けていた、M&AとCVCの業務に専念させてもらうよう、会社と掛け合い、法務の実務からは離れ、法務はアドバイザーの立場から関わるようになりました。

LegalTechの可能性

このような経験から、GsuiteやSlackやクラウドサインやHolmesやロゼッタの可能性は歴然としていると私には感じられます。
解説はGoogle検索でいくらでも出るのでこちらそちらを参照いただくとして(笑)、私は、これらのどれかに肩入れするということではなく、最新の技術で、「法務のアウトソーサー」として圧倒的に効率の良いオペレーションを企業に提示していきたいと思います。

おススメLegalTech

代表的なものです。今とてもたくさんあります。

■電子契約・契約書管理サービスのHolmes
Holmesは、契約書の作成、締結、管理など、契約書にまつわる業務の全てをスムーズに解決する契約に特化したデジタルプラットフォーム

■法務文書の翻訳なら、アイちゃん翻訳サービス|契約書・法令文書を翻訳
アイちゃんは、法務文書をプロ翻訳者並みに翻訳するAI翻訳サービスです。最大95%の精度で翻訳します。

クラウドサイン|Web完結・印紙税0円の電子契約サービス
無料で契約締結ができるウェブ完結型のクラウド契約 CloudSign(クラウドサイン)。契約書の保管・管理にも利用可。

※参考:こちらがよくまとまっています。
eBook「日本のリーガルテック2018-2019」

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