知らなかったではすまされない外国人の雇用
法務


時折流れる不法就労で経営者が書類送検されるニュース。の中には、「知っていたけれど大丈夫だと思っていた」という確信犯もいますが、「在留カードは見たけれど、自分にはわからなかった」という人もいます。実は、働けない外国人をうっかり雇用してしまって、罪に問われても「知らなかった」ではすまされないのです。

コンビニ、居酒屋にいたるまで多くの外国人をみかけるようになりました。外国人を雇用することは、一部の大手企業だけではなく、どの企業にとっても当たり前になりつつあります。一方で多くの経営者や人事担当の方も外国人の雇用についての知識がないため、時折このようなことがおこります。これから、外国人労働者を受け入れていくと、不法就労の取り締まりはますます強くなると思われます。

この記事の目次

働けない外国人を雇った罪は重い

働けない外国人を雇用してしまう罪を不法就労幇助罪といいます。入管法には「知らなかったからといって、罪は免れませんよ、但し過失がなければ罪は問いません」とまで明記されています。(73条2-2)つまりその外国人が就労することができるかどうか、しっかり確認してください。

ただし、外国人が雇用主を欺そうと偽装したり嘘をついていて、見抜けない事情があるのであれば、雇用主は罪を免れます。それくらい厳しい罪に問われるにもかかわらず、ほとんどの雇用主は誰を雇って良いのかということについてわかっていない人も多いと思います。それでは雇用していい外国人とは、どんな外国人か、雇ってはいけない外国人とはどんな外国人かを解説します。

まずは、在留カードを確認する

国内にいるすべての外国人は観光客も含め「在留資格」という資格をもっています。持っていない外国人は不法滞在です。その中で、観光客を除く中長期滞在者と言われており外国人は、一部の例外を除いて、在留カードをもっています。まずは、これを確認してください。

在留機間(満了日)を確認する

カードを持っていても、在留期限が切れていれば不法滞在です。在留カードは更新するときに、古い方に穴をあけて返されます。穴の空いていないカードをもっていて、在留期限がきれている場合には不法滞在の可能性が高いです。

ただし、例外があります。入管法は在留期限までに更新の申請をすれば、2ヶ月もしくは処分が決まるまでの短い期間のいずれかまで在留期限を延ばしてくれます。これを特例期間といいます。特例期間の間は今までどおり日本に滞在できます。在留カードの裏側右下に、「在留期間更新許可申請中」「在留資格変更許可申請中」とスタンプが押されていれば大丈夫です。ただし、最大60日ですから、くれぐれも日付の確認は怠らないでください。

就労できる資格かどうかを確認する

在留資格には就労できる資格とできないできない資格があります。在留カードの「就労制限の有無」という欄を確認します。

「就労制限無し」

「就労制限無し」と書かれている方は日本人と同じようにどんな仕事にもつけます。永住者、日本人と結婚した方と外国籍の子どもに与えられる日本人配偶者、日系人や日本人の子どもを扶養している定住者、永住者の配偶者などがこの資格にあたります。身分系資格と言ったりします。

「就労不可」

「就労不可」と書かれていても就労できる外国人がいます。家族滞在、留学、文化活動と書かれていて「就労不可」となっているカードを見たら裏面を確認してください。就労を許可されていれば資格外活動許可欄に「許可:原則週28時間以内・風俗営業等の従事を除く」と書かれているはずです。この原則というのは留学生には、夏休みや春休みなど長期休暇の時期に8時間まで就労することを認めているからです。この特例は留学生のみが対象です。

「在留資格に基づく就労活動のみ可」

こう書かれている就労資格が一番難しいのです。日本の在留資格制度はその外国人がどのような活動をするかによって付与する資格が違います。決められた活動しかできない資格のうち、就労ができる資格を就労系資格と言います。報道や宗教など普段あまり見かけない資格もあるので、ここでは応募してくる外国人が持っている可能性がある資格をご紹介しておきます。

「技術・人文知識・国際業務」

大卒者が総合職につくための資格です。総合職なので、日本の専門学校をでた外国人、10年以上のキャリアがある外国人も対象ですが、大卒者以外は学んだことと仕事の内容に密接な関係がないと許可されません。
例えば、ウェブ開発に関する専門学校や仕事の経歴で販売の仕事につけるかというとつけないのです。ですから、適切に雇用していたつもりが、更新ができないということがおこりえます。そうならないためには就労資格証明書を取得するという方法があります。その点については、「知らないと損 ! 「就労資格証明書」の効果的な使い方」 をご覧下さい。

「指定書により指定された就労活動のみ可」

このあたりから判断が難しくなってきます。特定活動もしくは、特定技能という在留資格をもっている外国人で就労が認められている外国人にはこの記載があります。指定書というのは、特定活動、特定技能の資格をもつ外国人のパスポートに貼り付けられた小さな紙です。特定活動と特定技能では指定書に書かれている内容が違います。

特定活動は、「法務大臣が個々の外国人について特に指定する活動」という少しわかりづらい資格で、告示で個々に定められています。一番多いのは「就職活動」です。留学と同じで週28時間までしか働けません。
また長期休暇の特例もありません。「ワーキングホリデー」1年に限って、働きながら日本で過ごすことができます。「難民申請者」難民申請をして審査中の外国人です。特定活動で就労が可能な場合には、その内容が指定書に書かれていますので、確認をしてください。

「特定技能」

特定技能は2019年に創設された資格で、現場の労働者として働ける資格です。
ただし、この資格は業種、職種が定められていますので、その職種を確認する必要があります。やはり指定書を確認して、自社の業種、職種にあっていれば採用できますが、その場合には変更申請の手続を行う必要があります。

「特定技能」の採用は、通常の4,5倍の資料を作成する必要があります。また、支援計画といって、外国人をどのように支援するかという計画書を作成し、各業種毎に設けられた協議会への参加も義務付けられています。とにかく大変手間がかかります。お近くの行政書士に相談していただくほうがよいと思います。

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