建設工事と一口に言っても、その種類は非常に多岐にわたります。
建設工事は大きく分けて、「土木一式工事」と「建築一式工事」の2つに分類することができます。
また、建設業を営もうとする際には、建設業許可を取得する必要がある場合があります。
「建築一式工事」においては、「工事1件の請負代金の額が1500万円に満たない工事」又は「延べ面積が150㎡に満たない木造住宅工事」以外の工事をしようとする場合に建設業許可を取得する必要があります。
建築一式以外の工事においては、「工事1件の請負代金の額が500万円に満たない工事」以外の工事をしようとする場合に建設業許可を取得する必要があります。
今回は、そのような場合に必要となる建設業の許認可に関してご説明します。
建設業許可の区分
建設業許可は、それぞれの要件によって更に区分があります。 建設業を営もうとする営業所が1つの都道府県の区域内のみに存在する場合には、その都道府県の知事の許可が必要となります。 建設業を営もうとする営業所が2つ以上の都道府県の区域内にわたって存在する場合には、国土交通大臣の許可が必要となります。また、建設業許可が必要となる場合の中でも「発注者から直接請け負った1件の建設工事について、下請契約の合計金額が4000万円(建築一式工事においては6000万円)以上となる場合」においては「特定建設業許可」を取得する必要があります。
それ以外の建設業許可を「一般建設業許可」と呼び、区別しています。 したがって、下請工事のみをしようとする場合においては一般建設業許可で足りるということになります。
建設業許可取得の要件
建設業許可を取得しようとする場合における要件としては、大きく分けて4つのものがあります。1.専任技術者の設置
「専任技術者」とは、建設業を営もうとする営業所ごとに常勤している必要がある者のことで、「許可を取得しようとする業種に関して、一定の資格又は経験を有する」ことが求められています。建設業を営もうとする場合、許可を取得しようとする業種に関して専門の知識や経験、すなわち、工事を施工するための「技術力」を有していることが必要となります。 建設業は、細かく29の業種に分類されており、それぞれの業種ごとに「専任技術者」を設置することが必要となります。
「専任技術者」となることができる者としては、建設業法第7条第2号において
・学校で所定の学科を卒業し、3年又は5年の実務経験のある者
・10年の実務経験がある者
・有資格者
2.経営業務の管理責任者の設置
「経営業務の管理責任者」とは、建設業の経営業務を一定期間経験した者のことで、こちらも建設業を営もうとする営業所ごとに常勤している必要があります。 建設業における経営業務は、他の業種における経営業務とは大きく異なる点が多々あるため、建設業法第7条第1号においてこのような要件が設けられています。事業主や役員、支配人として建設業の経営業務を6年以上経験している場合、建設業の全ての業種における経営業務の管理責任者となることができます。 また、許可を取得しようとする業種と同じ業種について、管理責任者に準ずる地位として経営業務を一定期間経験している場合、その業種における経営業務の管理責任者となることができます。
3.財産的基礎を有すること
建設業を営もうとする場合、工事に使用する資材や機械等の費用や、現場で作業をする労働者等の人件費が必要となります。そのため一般建設業許可を新たに取得しようとする場合、建設業法第7条第4号において以下のように財産的基礎の要件が定められています。
・自己資本の額が500万円以上であること
・500万円以上の資金を調達する能力を有すること
また、特定建設業許可を取得しようとする場合においては、
・欠損の額が資本金の20%を超えていないこと
・流動比率が75%以上であること
・資本金の額が2000万円以上であり、かつ、自己資本の額が4000万円以上であること
4.誠実性があり欠格要件に該当していないこと
「誠実性」とは、法令に違反する行為や発注者との請負契約に違反する行為をしない、不誠実な行為をしない、といった要件のことです。また、「欠格要件」としては主に
・成年被後見人若しくは被保佐人又は破産者で復権を得ない者
・禁錮以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
・暴力団でなくなった日から5年を経過しない者
まとめ
建設業を営もうとする場合には、それぞれの要件に応じた種類の建設業許可を取得する必要があります。建設業許可を取得するために必要となる要件には主に「専任技術者の設置」「経営業務の管理責任者の設置」「財産的基礎を有すること」「誠実性があり欠格要件に該当していないこと」といったものがあります。また、「専任技術者」や「経営業務の管理責任者」になるためには、許可を取得しようとする業種ごとに定められている条件を満たしている必要があります。 建設業の許認可に関して不明なことがある場合は、建設業関連業務を専門に取扱っている行政書士に相談してみるのも良いと思います。