弁護士に法律相談をしたいけれど、法律相談ってどんなもの?
事前にしておくと良い準備は?
法律相談の本番ではどうすればよいのだろう?
今回は弁護士に上手に法律相談する方法を説明します。
この記事の目次
「法律相談」って何だろう
法律相談と聴いて、イメージは湧きますか?テレビでよくみる人生相談は、相談者の悩みを親身に聴いて、何らかの前向きな助言をしてあげる作業。
相談者としては話を聴いてもらえるだけで満足ということもあるでしょう。
これに対して、法律相談では、相談者が語る「事実関係」を前提に、「法律を適用」すると、どういう「結論=権利義務関係や法的利益」に至るか。
そして結論を実現するための「手続」は何か、を相談者に理解してもらう目的をもった作業です。
相談者が一方的に話を続けるだけではダメだし、弁護士が一方的に説明を続けるだけでもダメ・・・。法律相談は、相談者と弁護士の「共同作業」なのです。
弁護士が法律相談で最初に知りたいことは相談の「概要」です。
分かりやすくいえば、
①関係者(登場人物)は誰か
②誰と誰の揉め事か
③何を揉めているのか
④相談者として何がしたいか
といった大まかな内容です。
たとえば、父親の相続で揉めているという相談であれば、まずは、①父親の家族関係(妻はいるか、子の人数や続柄)を説明し、そのうえで、②長男と次男が揉めている、③父親が全財産を長男に渡すという遺言を書いたことが原因になっている、④相談者(次男)としては、いくらかでも遺産が欲しい、といった程度の情報です。
法律相談でよくあるのは、いきなり固有名詞が登場したり、細かいやり取りの内容や、相手の態度をどう感じたかなどを、必要以上に延々とお話されたりするケースです。
時間が無限にあればよいのですが、法律相談では大抵30分や60分などと時間が限られています。また相談時間が増えるほど相談料が加算されていくのが通常です。
相談者が、限られた時間の中で、最小のコストで、最大の成果を上げるには、弁護士が相談者の話に付いていけるように情報を整理し、情報を要領よく弁護士に提供することが鍵になります。
法律相談の事前に準備しておくと良いこと
法律相談にのぞむ準備では、「書類関係はなるべく全部持っていく」ということが最も重要です。口頭で話して伝えるのが法律相談では?というイメージをお持ちかもしれません。しかし、契約書や覚書、相手からきた書類などがあれば、口頭で内容を聴くよりもそれを読む方が、圧倒的に短時間で、かつ、正確な内容を把握することが可能になります。
また、手提げ鞄に入る程度の量であれば、取捨選択せず、なるべく全て持参した方が良いです。一般の方が不要と感じるものでも法律のプロの目線で選別すると必要と判断される書類もあり、その書類がなかったがために具体的なアドバイスが受けられないということもあるからです。
先ほど例に出した相続の揉め事で、おそらくどの弁護士も真っ先に相談者に聴くのは「遺言書は持ってきていますか?」という質問です。
ここで、相談者が遺言書を持ってきていれば、弁護士が遺言書にさっと目を通して、短時間で遺言の内容を把握したうえで、具体的なアドバイスをすることができます。 もし、相談者が遺言書を持参していなければ、相談者は遺言書の内容を一から説明しなければならず、時間がかかります。
また、法的にみて遺言書の内容が相談者の理解している内容になっているのか確認できず、結局は、一般論に留まる、具体的でないアドバイスしか受けられないということもありえます。
別の例を出せば、たとえば知人からかなり以前に借りたお金を返せと言われているといった相談のケースでは、当然「借用書」は正確な回答の前提として必要になります。いつ、いくら借りたのかが分かります。
また、毎月返済をしていたという話であれば、返済の記録を確認する必要があり、送金履歴が記録された通帳や振込明細、送金をメモした手帳等が必要になります。場合によっては、最終返済日から一定期間経過していれば「消滅時効」という可能性もありますが、そこまで踏み込んだ具体的な回答には、やはり「書類関係」があった方が断然良いのです。
既に存在する書類の準備の持参以外にできる準備としては、登場人物の関係図や、相談したいことの時系列などを1枚もので整理しておくことが考えられます。相談者が弁護士に「事実関係」を伝える時間が大幅に節約でき、重要なポイントについてより具体的なアドバイスをもらえる可能性が高まります。
もう一つは、時系列にそって書いたメモを作って持って行くとよいでしょう。聞き手にとって、整理に時間がかかるのは、時系列です。
時系列が入れ替わるだけで、いろいろな関係が変わってきます。
そのため、できるだけ正確にまとまった時系列のメモを作成していただくと、時間短縮になり、理解してもらいやすくなり、多くのアドバイスを受けることができることにつながります。
法律相談本番における心構え
法律相談に書類関係を持参した場合は、まずは手短に相談の概要を伝えたうえで、書類を渡して読んでもらうことから始まります。ただ、弁護士も初めて目を通す書類ですから、渡した書類がどういう書類なのかを端的に説明すると弁護士も理解が早くできます。そして、相談者からある程度話を伝えたら、後は基本的に弁護士からの質問を待った方が得策なことが多いです。
法律を適用して結論を出すには「事実関係」の情報が揃っている必要がありますが、一般の相談者にとって何の情報が足りないかは判断が付かないと思います。この点、弁護士はあと何の情報が足りないか分かっているので、ポイントを絞った質問を行い、必要な情報を揃えることができます。
相談者がずっと話していると、弁護士が時折話の腰を折ってくることもあると思いますが、それは足りない事実関係を早めに聴きだして、なるべく早く回答をしてあげたい、という思いから出たものだとご容赦いただければと思います。
まとめ
弁護士に法律相談をする実益は、一般論・抽象論ではなく、事実関係に基づいた、具体的なアドバイスを受けられることに尽きます。そして、法律相談が弁護士との共同作業であることを意識して、可能な下準備をして臨むことにより、限られた時間の中で、最小のコストで、最大の成果を上げることができるといえます。
はじめは弁護士と相談として緊張することでしょうが、相談してみると案外スッキリすることにつながるでしょう。
この記事が「勉強になった!」と思ったらクリックをお願いします