危ない!その取引「宅建業法違反」ではないですか? ~不動産法務~
法務


不動産仲介を業としているのであれば、継続的に不動産を購入してくれる、あるいは不動産を売却してくれる顧客をもつことは非常に助かることかと思います。
不動産仲介業者のメインの収入は不動産仲介料です。個人の顧客であれば不動産は一生にそう何度も売り買いするものではありません。 ですので、不動産仲介業者はエンドユーザー(個人のお客様)よりプロあるいはセミプロと長く付き合うことを願います。

現在、不動産投資は以前より身近になったと言えますが、加熱しすぎた結果がいわゆるかぼちゃの馬車事件であり、銀行の不正融資であり、不正融資の斡旋などの事件をおこしました。
不動産業者も目先の利益を追うばかりに、大切なコンプライアンスや法令違反を起こしてしまう結果、自社の首を絞める結果となった企業もあります。

しかし、投資の対象として不動産はやはり魅力的な投資先であることも事実です。
今回は不動産仲介業者が注意すべき宅建業法の規定について解説します。

この記事の目次

宅建業法違反となる取引とは?

宅建業法では宅地建物取引業について第2条2項で以下の通り定めています。

宅地建物取引業 宅地若しくは建物(建物の一部を含む。以下同じ。)の売買若しくは交換又は宅地若しくは建物の売買、交換若しくは貸借の代理若しくは媒介をする行為で業として行うものをいう。


そして、第三条で

宅地建物取引業を営もうとする者は、二以上の都道府県の区域内に事務所(本店、支店その他の政令で定めるものをいう。以下同じ。)を設置してその事業を営もうとする場合にあっては国土交通大臣の、一の都道府県の区域内にのみ事務所を設置してその事業を営もうとする場合にあっては当該事務所の所在地を管轄する都道府県知事の免許を受けなければならない。


と定めています。

これはどういうことかと言いますと、宅建業法を行うには、都道府県知事(あるいは複数の都道府県にまたがって宅建業を行う場合には国土交通大臣)の許可が必要であること。

そして、宅建業とは①不動産の交換、売買、②不動産の売買、交換、賃貸の代理や仲介を業として行うことと定めています。

さらに、

宅建業の免許を有しないものには「宅地建物取引業を営んではならない」(宅建業法第12条)

としています。

業として行うとは

問題となるのが「業として行う」という意味ですが、「反復して行う意思のもとに不特定若しくは多数人に対し対象行為を行うこと」(東京高裁昭和29年11月29日、仙台高裁昭和46年6月3日)とされています。

また、宅建業法が禁止している「宅地建物取引業を営んではならない」とは「『営利の目的』で『反復継続して行う意思』のもとに対象行為をなすこと」とされています。(最高裁昭和49年12月16日、東京高裁昭和50年7月24日)

そして、宅建業者を監督する国土交通省の見解である、『宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方』では『業として行なう』とは宅地建物の取引を社会通念上『事業の遂行』と言える程度に行うことをいい、次の事項を参考に諸要因を勘案して総合的に判断することとされています。

ア 取引の対象者
イ 取引の目的
ウ 取引対象物件の取得経緯
エ 取引の態様
オ 取引の反復継続性

では、①地主が先祖代々の土地を複数年にわけて売却したらこれは宅建業法違反となるのでしょうか?

また、②不動産投資家が不動産を何件も購入することは宅建業法違反となるのでしょうか?

グレーゾーン

実際のところ、上記の二つの事例では宅建業法違反であるとも、そうでもないとも言い切れません。

なぜなら、ア取引の対象者、イ取引の目的、ウ取引対象物件の取得経緯、エ取引の態様、オ取引の反復継続性の5つを総合的に判断しなければならないからです。
①の地主の例では、転売目的で購入した不動産をすぐに売却するわけではなく、先祖代々の土地を不動産業者などに売却すると「業として」とは言いにくいでしょう。

②の事例で不動産投資家が自分で所有し、賃貸で収入を得る目的で所有する場合などは業とはなりにくいと思われます。 しかし、投機目的で値上がりしたら即転売などしていれば宅建業法違反となる可能性も高くなります。

このように、事情を総合勘案して判断するためどこまでだったら大丈夫でどこまでだったら宅建業法違反であるという明確な基準があるわけではありません。

処分事例

では、実際の処分事例を数件あげます。

①静岡にて2002年10月頃、無免許の不動産業者(以下「無免許業者」)が、原野約200㎡を290万円で販売した他、2004年7月頃、原野200㎡及び建物を約700万円で販売。(2005年7月1人逮捕)

②新潟にて2002年2月~2004年4月の間に無免許業者が、競売物件8件を落札し、合計1億
1000万円で販売(2004年5月3人検挙)

③愛知にて1993年3月~2002年5月の間に無免許業者が、競売不動産を次々に落札し、他の不動産開業者を介して約140件を販売し、転売利益及び媒介手数料を得た。(2003年5月、無免許営業と同幇助で、6人逮捕)

処分事例は得てして数多く不動産を転売して利益を得ているケースが多いです。少し砕けた言い方をすれば「派手な活動」をしていると言えます。

しかし、繰り返しになりますが「ここまでは大丈夫」「ここからは宅建業法違反」という明確な基準はありません。
ですので、上記の処分例は参考例とはできるもののあくまで参考としてとどめておいた方がいいかと思います。

まとめ

大家・地主・不動産投資家はご自身が宅建業法違反とならないように注意深くあるべきです。
ただ、上記③の例では仲介をした宅建業者も逮捕されていますので、仲介をする宅建業者も注意が必要です。
個別具体的に事情を判断されるので、この事例では大丈夫という確固たる判断基準がありません。安易に「大丈夫だろう」と結論を出すのではなく、注意深く取引を行う必要があります。

目の前の利益に目がくらんでしまって、免許を取り消されたら目も当てられません。
宅建業者としてコンプライアンス違反を行わないということが最終的に企業の大きな利益になるものと私は信じています。
少しでも疑問に思ったり、判断に迷ったときは是非ともご相談ください。

記事のキーワード*クリックすると関連記事が表示されます

メルマガ登録(毎週水曜配信)

SHARES LABの最新情報に加え、
経営に役立つ法制度の改正時事情報などをお送りします。