雛形を参考に契約書を作成するときにチェックするべき5つのポイント
法務


この記事の目次

1.雛形の契約書にチェックが必要な理由

契約書は、ビジネスが順調に進んでいるときはほとんど読み返されることがない文書ですが、トラブルが生じたときには「法律はどちらの味方をするか」を示す重要な文書になります。

契約書のチェックでは、ビジネスの内容や常識に照らし合わすチェックだけでなく、もめごとが起きたときに法律的にはどう解釈されるのかというチェックが必要です。

インターネットでダウンロードすることができる契約書の雛形はたいへん便利なものですが、あくまで「既製品」なので使用するにはカスタマイズが必要です。雛形には、進めようとしている契約にとって必要条項が抜けていたり、適合しない内容が含まれていることがあり、そのまま使用すると大きな不利益をこうむる可能性があるからです。

2.契約書の雛形を使用するときのチェックポイント

1.契約の公平性が保たれているか

ビジネスの契約には、お金を払う側(仕事をしてもらう側)と受け取る方(仕事をする側)があります。

欧米では立場が優位なお金を払う側が契約書を作るのが通常ですが、日本では必ずしもそうではありません。お金を払う側から「契約書を用意してください」と言われることもあります。

どちらの立場で契約書を作るにしても、一方にだけ有利な条項をいくつも入れ込むのは、相手側に「会社の姿勢」を疑われて契約そのものが頓挫する可能性があります。

生じうるリスクをカバーすることは契約書を作る上でもっとも重要なポイントですが、そのために「こちらの権利」「相手の義務」を強調するのではなく、甲・乙双方の義務、双方の権利と書いても同じ効果を持つ場合があります。

2.契約解除の条件が明示されているか

一方的に契約を解除されることがないように、あるいは契約を解除したいのに解除できないということがないように、想定される事態に対処できる解除の条件(解除事由)を契約書で定めておく必要があります。

雛形にはかならず「契約の解除」という条項がありますが、解約事由が「甲は、乙が本契約に定める義務を履行しないときは」というだけでは不十分なことがあるので、その際は契約の内容に合うようにカスタマイズする必要があります。

3.損害賠償の範囲が決められているか

損害賠償条項も契約書にはかならず盛り込まれています。雛形に「甲は、乙が本契約に定める義務を履行しないため損害を受けたときは、その損害の賠償を請求できる」と書いてあっても、そのまま使うのは適切でない場合があります。

契約する仕事の内容によっては、損害賠償を負うのはどのような場合で、どの範囲までなのかを明記することが必要になります。それによって裁判になったときに過大な賠償責任を負うリスクを防ぐことができるだけでなく、裁判になる前に和解する可能性も大きくなります。

4.支払い義務が生じるタイミングに注意する

契約した仕事は終わったが不備があったというような場合、支払い義務(あるいは請求する権利)がどの時点で生じるのかが問題になります。

このような問題が生じたときのために契約書に盛り込まれるのが「危険負担条項」です。雛形にも、例えば「売買物件の引渡しが完了した後、甲は本件物品を検査することができる。検査期間は引渡し日を含む〇日間とする」などという危険負担条項が記されています。

危険負担条項はとくに雛形通りにはいかない項目なので、契約する仕事の内容に合わせて適切にカスタマイズする必要があります。

5.法律的に無効な内容が盛り込まれていないか

契約の内容は当事者(甲・乙)が自由に決めることができますが、金銭貸借契約に「利息を年30%とする」と書かれていても無効なように、契約がそもそも法律に触れる(公序良俗に反する)ものは双方の同意があっても無効です。

雛形にこのような条項が含まれていることはありませんが、それをカスタマイズするときに無効な内容を盛り込まないように注意する必要があります。

3.雛形を参考にした場合もリーガルチェックは必要

リーガルチェックとは法律的なチェックという意味で、ビジネスでは契約書を事前に法律の専門家がチェックすることをいいます。大企業の場合は法務担当がリーガルチェックを行うことがありますが、中小企業の場合は弁護士に依頼することになります。

雛形をそのまま利用するのは、ここまで述べたようにさまざまのリスクがあります。またそれをカスタマイズするときも、契約書の文章に慣れていないと思わぬ不利を受ける危険があります。

例えば、主語の抜けた文章はどちらの権利や義務を書いたものか分らず、無効と見なされる可能性があるし、「〇〇等」という表現も指示する範囲のあいまいさがあります。

また、専門用語や業界用語を安易に使用すると、裁判官からは意味内容を確定できない言葉と見なされることもあります。

契約書を作るときには、トラブルが起きたときに書かれたことを逆手にとって(あるいは書かれていないのをいいことに)無理なこと、不利なことを要求されないように用心することが必要で、リーガルチェックを行なうことでそれを防ぐことができます。

まとめ

契約書作るときに雛形を安易に使用するのは、後々大きな不利を招くリスクがあります。弁護士に一から契約書を作成してもらうことができない場合も、作成した契約書のリーガルチェックは必ず受けるようにしましょう。

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