円滑な廃業のために、経営者保証ガイドラインの活用によって、個人破産せずに、自宅等の財産を残す手法とは
法務


この記事の目次

1.廃業は再チャレンジのチャンスです。

事業を続けていくこと、発展させることは素晴らしいことです。
しかし、何事も上手くいくことがあれば、上手くいかないこともあります。
特に今年の新型コロナウイルスによる影響のように、予想できないことが起きてしまうことによって事業が上手くいかないことも往々にあります。 そのような場合にも、「何とか生き残れないか」と考えてしまうのも無理はありませんが、実は、「廃業」は「創業の契機」とも言え、再チャレンジのチャンスと考えることができます。

廃業は、次の創業につながるアクションとして、前向きに捉えるべき場合もあるのです。そして、廃業・再チャレンジに有用な制度として平成25年12月に公表されたのが「経営者保証ガイドライン」です。

2.経営者保証ガイドラインを使った次につながる廃業を

多くの中小企業の経営者は、会社の借入金の連帯保証人になっているのではないでしょうか。連帯保証していると、個人破産してしまった場合に「自宅を失ってしまわないか」「ブラックリストに載ってしまうのではないか」と悩んでしまうことも当然で。
たしかに、会社が破産するときに、連帯保証人である社長も個人破産してしまったら、自宅を失ったり、財産の多くを失ってしまうことになりますし、信用情報(いわゆるブラックリスト)にも載ってしまいます。

ところが、経営者保証ガイドラインの活用によって、会社が破産しても、社長が個人破産せずに、しかも自宅を残すだけでなく、個人破産よりも多くの財産を残して個人保証の問題を解決することが可能な場合があります。

3.経営者保証ガイドラインを知りましょう。

経営者保証ガイドラインは平成26年2月から施行されているものですが、まだまだご存じでない人も多いと思います。法律ではありませんが、中小企業団体及び金融機関団体共通の自主的自律的な準則として、遵守が求められています。

4.経営者保証ガイドラインによる保証債務整理の3つのメリット

この経営者保証ガイドラインのメリットは大きく3つあるといえます。

①個人破産を避けられます

経営者保証ガイドラインでは、経営者の保証債務について、破産以外の方法で整理することを認めています。「破産以外の方法」とは、金融機関との話し合いになります。話し合いとなると金融機関が認めてくれないのではないかと不安になるかもしれませんが、そのようなときに経営者保証ガイドラインに則って進めることによって、金融機関と円滑に協議を行うことができます。
個人破産しないで済むということは、大きなメリットですよね。

②ブラックリストや官報に掲載されません

経営者保証ガイドラインは、経営者の再チャレンジを後押しするためにできた制度であり、保証債務を整理した際に、信用情報(ブラックリスト)に載らないようになっています。官報にも載りません。
ご承知のように、破産してしまうと、当然、ブラックリストや官報に載ってしまって、クレジットカードが使えなくなるなどの不都合があるのですが、経営者保証ガイドラインを使えば、その不都合が解消されます。
ブラックリスト・官報に載らないということも、大きなメリットの1つです。

③自宅を残せる場合もありますし、個人破産よりも多くの財産を残せる場合があります

会社と一緒に、経営者も破産するとなると、経営者が所有している自宅不動産等も破産管財人によって売却されることが一般的ですが、ご家族との生活の本拠となっている自宅についてはできる限り残したいと思われるのが普通です。

ところが、経営者保証ガイドラインを利用して債務整理では、一定の条件を満たせば、自宅を残せたり、破産よりも多くの財産を残すことが可能な場合があります。

例えば、住宅ローンが残っていて、オーバーローン、つまり住宅ローン債務額より不動産価格が低い場合には、そのまま住宅ローンを払い続けることも可能です。また、住宅ローンがない場合には、不動産価格を長期分割して弁済することによって、自宅を残すという計画を立てることも可能です。
自宅以外でも、破産では原則として99万円までしか残せませんが、経営者保証ガイドラインを利用した場合、ケースによりますが、数百万円単位で残すことができる場合があります。
自宅や破産以上の財産を残せることも大きなメリットと思います。

これらの経営者保証ガイドラインによる「保証債務の整理」の特徴をまとめた図が下記になります。

5.事例の紹介

私が扱った事例は複数ありますが、例えば、以下のような事例を扱いましたので、参考にしていただけますと幸いです。

・保証人について経営者保証ガイドラインに基づく債務整理を行いました。
・自宅はオーバーローン(自宅評価額<住宅ローン残額)でした。
・若干の弁済を行い、その余の保証債務は免除を受けることができました。
・その結果として、個人破産せずに、自宅を残存させ、居住を継続することができました。
・信用情報(いわゆるブラックリスト)登録もされませんでした。


6.最後に

もし、経営者の個人保証がネックになって廃業や再チャレンジをためらっている場合には、経営者保証ガイドラインによる保証債務の整理を検討していただけると良いと思います。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。

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