この記事の目次
- 1.経営者保証ガイドラインを活用して個人破産を避けましょう。
- 2.「社長について個人破産せずに自宅を残し、ブラックリスト掲載も避けられた」事例
- 3.経営者保証ガイドラインによる保証債務整理のメリット
- 4.終わりに
1.経営者保証ガイドラインを活用して個人破産を避けましょう。
経営者保証ガイドラインは平成26年2月から施行されていますが、まだご存じでない人も多いと思います。経営者保証ガイドラインを活用すれば、会社が破産しても、社長は個人破産せずに、しかも自宅を残すだけでなく、個人破産よりも多くの財産を残して、保証債務の免除を受けることが可能な場合があります。
そこで、本稿では、個人破産せずに自宅等を残せる経営者保証ガイドラインの事例を紹介させて頂きます。
※参照:『円滑な廃業のために、経営者保証ガイドラインの活用によって、個人破産せずに、自宅等の財産を残す手法とは』
2.「社長について個人破産せずに自宅を残し、ブラックリスト掲載も避けられた」事例
(1)会社(主債務者)の状況A社は約5000万円の金融債務を負っており、A社代表者はその金融債務を連帯保証していました。A社は設立以来順調に業績を伸ばしていたものの直近になって売上が減少し、資金繰りが破綻するまでに至ったことから、事業継続は不可能と判断してA社は破産手続を選択しました。
(2)社長(保証人)の状況
一方で、A社代表者(社長)については、まだ年齢的にも比較的若く、次の新規事業というステップに進むためにも、A社代表者個人の信用情報登録機関(いわゆるブラックリスト)には傷をつけたくないと思っていました。
また、A社代表者は、A社代表者の親と連帯して、自宅に住宅ローン債務(債務額が不動産価値を上回るオーバーローン状態)を負っていましたが、A社代表者が破産してしまうと、自宅の退去を余儀なくされるとともに、A社代表者の親も破産しなければならない可能性があり、そのような事態を避けたいと思っていました。
(3)そのような中で、上記の社長の希望を叶えるべく、経営者保証ガイドラインに基づいて、保証債務を整理することを目指しました。
具体的には、保証債務整理の方法として、特定調停手続を用いる方法と中小企業再生支援協議会の手続を用いる方法がありますが、本件では後者を選択し、同協議会の支援を受けながら、弁済計画案を策定し、対象債権者の理解を得て、無事、資産の範囲で若干の保証債務を履行した上で、その余の残債務について免除を受ける内容の弁済計画が成立しました。
A社代表者は個人破産せずに自宅を残し(住宅ローンの支払は継続)、かつ、ブラックリストにも掲載されずに、保証債務の整理を行うことができたわけです。 現在、A社代表者は、スムーズに再チャレンジを行うことができ、活躍されています。
3.経営者保証ガイドラインによる保証債務整理のメリット
経営者保証ガイドラインによって保証債務を整理することの主なメリットは、
①「個人破産を避けられる」
②「ブラックリストや官報に掲載されない」
③「自宅等を残せる場合もあり、個人破産よりも多くの財産を残せる場合もある」
というものになります。
上記の事例では、これらの3つのメリットを存分に生かすことができた事例と言えます。
4.終わりに
事業を継続することはもちろん素晴らしいことですが、上で見た事例のように、廃業後に新たな事業で再チャレンジすることも素晴らしいことだと思います。事業が上手くいかないことは、次への再スタートのチャンスです。もし、今の事業の継続は難しいとお考えで、でも、次のステップに進むために、個人破産は避けたい、自宅等は残したいと思われている代表者様においては、廃業・再チャレンジに有用な制度として平成25年12月に公表された「経営者保証ガイドライン」を活用しては如何でしょうか。 最後までお読みくださり、ありがとうございました。
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