事業継承を円滑に進めるための3つの条件
法務

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事業承継計画書をつくる

中小、零細企業の経営者にとって事業譲渡は避けては通れない問題です。経営者が70歳でリタイヤすることを考えれば、その10年前の60歳の時には事業譲渡の準備を始めていなければなりません。まず第一歩として 、事業承継計画書をつくる必要があります。後継者を誰にするのか?子供や孫、もしくは娘婿などの親族内継承、または従業員への親族外継承の違いにより、計画書の中身は大きく変わってきます。
親族内継承なら、親族が受け取った株式の相続税、贈与税が免除される制度があり、計画書が必要になります。

一方、親族外継承だと、銀行からの融資や行政からの補助金などを活用する場合に、計画書の提出が求められたりします。とくに親族外継承では、後継者の信頼がなく関係者への説明責任が必要になるため、事業承継計画書をつくる意味はとても大きくなります。 取引先、従業員との情報共有、金融機関からの融資や債務免除、合併にともなうM&Aには、事業譲渡の可視化がポイントになるため、事業承継計画書は時系列ともに具体的な内容にしておきたいものです。

段階的な権限委譲

事業承継計画書をつくることで、事業譲渡が円滑になることは説明してきた通りです。ただ、 5年後、または10年後にいきなり後継者に事業譲渡するのはリスクにもなります。よりよく事業譲渡をするためには、創業者から後継者へのバトンタッチを段階的に進めることが重要と考えます。

例えば、息子を後継者に指名します。計画では1年後に部長、3年目に常務、6年目に専務、そして10年後には取締役社長に就任するという運びです。このようにすることで役職による権限が段階的に移ることになります。部長時代には現場の最高責任者として、新規事業の立ち上げなどの実権を積み重ねる。

常務になれば会社の重要決定事項に関わることができ、後継者を取引先や金融機関に紹介することができます。専務に昇格すると社長のサポートを完全にこなすことができます。後継者を育てるということは大変時間がかかるものです。
それぞれの部署を経験すれば知識は身につきます。役員になれば財務や労務を勉強するので、経営者としての自覚を養わせることができます。

10年間の移行期間があれば、後継者の育成から株式譲渡に関わる費用や相続対策、そしてさらに地元商工会議所の活動に参加するなど、経営ノウハウを一通り学ぶことができるのです。

外部専門家の活用

事業承継計画書をつくり、 事業譲渡を段階的に進めていっても、予期せぬ出来事は起こるものです。 計画書の内容が創業者のお手盛りだったり、事業譲渡のタイミングが会社の現状に会っていないことはあり得ることです。ここに会社経営に詳しい弁護士や経営コンサルタントの助言があれば、客観的なものさしで適材適所の譲渡プログラムを推進することができます。

具体的には、 事業承継税制による納税猶予は、特例承継計画を都道府県に提出し、確認を受けなければなりません 。
さらに猶予される贈与税と利子税に見合う担保を用意しておく必要もあります。このように税制上の措置一つをとっても、事前のすり合わせがとても大事になります。外部の専門家の助言を得ながら、長期的なビジョンを持ち、 事業譲渡の最善のシナリオを考えてみたいものです。

まとめ

事業継承を行うにあたって、誰を後継者に選ぶかは最も大事な点です。
後継者が決まればいよいよ継承計画がスタートするのですが、そこで重視するのが三つの視点。事業承継計画書をつくる、 段階的な権限委譲、そしてアドバイザーとしての外部専門家の活用です。

事業承継は10年をかけて行うことが理想的と言われています。 この長いスパンの中で提案した三つの視点を取り入れながら、円滑な事業承継を進めて頂ければと思います。中小、零細企業の後継者問題が深刻になるなか、5年、10年後を見据えた計画を実行していきたいものです。

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