フリーランス・個人請負についての政府ガイドライン案について
法務


この記事の目次

1.ガイドライン案の発表とパブリックコメントの募集

昨年2020年12月24日、内閣官房、公正取引委員会、中小企業庁及び厚生労働省は、「フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン」(案)を発表しました。そして、それにあわせてパブリックコメントを募集しました。
※参考:公正取引委員会ホームページ

その内容は、「フリーランスについては、多様な働き方の拡大、ギグ・エコノミー(インターネットを通じて短期・単発の仕事を請け負い、個人で働く就業形態)の拡大による高齢者雇用の拡大、健康寿命の延伸、社会保障の支え手・働き手の増加などに貢献することが期待」(「ガイドライン案の第1はじめ」により)されることから、事業者とフリーランスの関係について、独禁法、下請法、労働法の適用関係を明確化すると共に、問題行為の把握とその是正に関する実効性を高めることを目的としております。

2.ガイドラインの内容と背景について

日本社会は伝統的に、「正社員」ベースとなっており、雇用体系も法律体系も「正社員」を前提にしておりました。
しかしながら、1980年代頃から、非正規労働者の増加、終身雇用制度の変容、多様な働き方を求める人々の動向等が重なり合い、徐々に日本社会に変容が生じるようになりました。

そして、2000年代に入ってからは、その動きは顕著となり、フリーランスの増加とその環境整備が社会的耳目を集めるようになってきました。

他方、社会のそのような変化に対して、法律体系は、労働者派遣法等の整備はなされてきましたが、フリーランス・個人請負に対する規制や新たな法律制定という動きはあまりありませんでした。実際、偽装請負のように、明らかに労働者的立場にあるにも拘わらず請負契約とすることで労働法制の適用を免れようとする実態も一部ではみられるようになってきました。

もちろん、このような「名ばかり」フリーランス状態については、過去の裁判例でも、実態から判断して、労働法制の適用を行うということがなされ、悪質な実態に対しては規制がなされてきましたが、正面からフリーランス・個人請負に焦点を当てるような動きは少なかったと言えます。

こうした状況を背景にして、今般、ガイドライン(案)が出された次第です。まず、フリーランス・個人請負に対する法整備としては、労働法制の適用を強化していくことで問題行為に対処するという考え方もあり、それも一つの方策であったわけです。
しかしながら、上記ガイドライン(案)は、労働法制の適用を主軸とするのでなく、競争法(独禁法、下請法)による適用強化によって、事業者によるフリーランスに対する問題行為を是正する方向性を指し示すことを明確化しました。

あくまで、フリーランスの事業者性を重視し(フリーランスが事業者に従属しているわけではないこと等)、その上で、問題行為を是正するという方向性としたわけです。

3.今後の事業者の対応について

フリーランス・個人請負に対する対応については、まず、当然、「名ばかり」フリーランス状態については労働法制の適用がなされることは把握する必要があります。そのような状態になっていないかどうかの確認が必要となります。
そして、そのような状態になっていないとしても、フリーランスとの関係が競争法(独禁法、下請法)に抵触しないかどうかについて、より一層の精査をしていくことが求められるようになります。

ただ、こうした競争法(独禁法、下請法)については、そもそも大企業においてはリーガルチェックポイントして重要な位置づけにありましたが、中小企業においてはあまり重視されてこなかったように思います。しかしながら、上記ガイドライン(案)からすると、今後、中小企業においても、競争法(独禁法、下請法)に関するリーガルチェックは欠かせない状況になっていくことが予想されます。この点、しっかりと対応をされていくことをおすすめいたします。
弊所(室谷総合法律事務所)は、企業法務を重点的に取り組んでおり、中小企業における競争法(独禁法、下請法)対策も行っております。お気軽にご相談いただければと思っております。

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