社長、会社が大変でも、自宅を守る方法があります!
法務

昨今では、新型コロナウイルス禍の影響、また、それ以外の様々な事情で、経営している事業の継続が困難となっている中小企業・個人事業主の方は少なくありません。
そのような中で、会社はやむを得ず畳むとしても、ご家族の生活の本拠であるご自宅は何とか残したいという思いをお持ちの方は多いと思います。 ただ、破産手続では、原則として所有している自宅から退去しなければなりません。
そこで、今回は、会社を畳まなければならない状況だとしても、自宅を残す方法について、説明致します。

この記事の目次

1.自宅に住宅ローンが残っている場合(オーバーローンの場合)の対応方法

まず、自宅に住宅ローンが残っており、かつ、オーバーローンの場合の対応についてご説明いたします。なお、オーバーローンとは、住宅ローンの残額等の被担保債務が自宅の評価額を超過している場合を指します。

1つ目の方法としては、住宅ローンの弁済が困難な場合にリスケジュールを行うことです。リスケジュールとは、弁済条件を変更することですが、1か月あたりの弁済額の減少を想定して頂ければと思います。住宅ローンを借り入れている金融機関に相談しましょう。

2つ目の方法としては、自宅の任意売却です。親族等の支援を受けて、適正な価額で自宅を買い取ってもらったうえで、自宅に住み続ける方法です。ここでのポイントは、①支援を受けられる親族等の存在、②売却価格が適正な価額であること、③「金融機関との協議が不可欠であること」と考えられます。

3つ目の方法としては、個人再生手続です。民事再生法に基づく債務整理手法であり、法的な手続となりますが、住宅資金特別条項を定めることによって、住宅ローンの返済を継続しながらその他の債務を整理することが可能です。但し、住宅ローン以外の債務が5000万円を超えていないなど、個人再生手続に関する民事再生法上の要件を充足する必要があります。

4つ目の方法としては、経営者保証ガイドラインに基づく債務整理手続です。経営者の保証債務を整理するために経営者保証ガイドラインを用いた場合、自宅がオーバーローンの場合には、住宅ローンを支払いながら自宅を残しつつ、保証債務のみの債務整理を行うことが可能となります。

2.自宅に住宅ローンが残っている場合(オーバーローンでない場合)の対応方法

次に、自宅に住宅ローンが残っているが、オーバーローンではない場合の対応についてご説明いたします。 まず、1つ目から3つ目の方法としては、先ほど記載した方法と同様となりますので、前の説明をご参照ください。

4つ目の方法としては、先ほどと同じく経営者保証ガイドラインに基づく債務整理手続ですが、自宅がオーバーローンでない場合には、自宅評価額から住宅ローン残額を控除した金額(即ち、余剰額)について、「残存資産」とする方法、または「公正価額の弁済」を行うという方法があります。いずれも、経営者保証ガイドラインに基づいて対象債権者と協議する必要がありますが、自宅がオーバーローンでない場合にも、自宅を残す方法はあるということになります。

3.自宅に担保権が設定されていない場合の対応方法

続いて、自宅に担保権が設定されていない場合の対応についてご説明いたします。 まず、先ほどと同様、親族等の支援を受けて任意売却を行い、自宅への居住を継続する方法が考えられます。 また、経営者保証ガイドラインに基づく債務整理手続について、担保権が設定されていない自宅がある場合には、「残存資産」とする方法、または「公正価額の弁済」を行う方法があります。いずれも、経営者保証ガイドラインに基づいて対象債権者と協議する必要がありますが、自宅に担保権が設定されていない場合にも、同じく、自宅を残す方法はあるということになります。

4.経営者保証ガイドラインを活用して自宅を残した例

今までのご説明を踏まえて、経営者保証ガイドラインを活用して自宅を残すことができた当職の事例を紹介いたします。
この方は、中小企業の社長を務められていましたが、会社については、経営環境の変化により収益が圧迫され、税金の滞納もあったことから破産手続をとりました。 一方、会社の借入債務の保証人であった社長については、経営者保証ガイドラインに基づく債務整理を特定調停手続で行いました。

この社長は、オーバーローンの自宅を持っておりましたが、その他、見るべき資産もほとんどなかったことから、経営者保証ガイドラインに基づいて、若干の弁済を行い、残りの保証債務の免除を受け、オーバーローンの自宅については残すことができました。信用情報にも登録されず、ご家族とともに居住を継続しております。

5.新型コロナウイルス感染症の影響を受けたことによって、住宅ローン等を弁済できなくなった個人の債務者の対応方法

最後に、新型コロナウイルス感染症の影響を受けたことによって、住宅ローン等を弁済できなくなった個人の債務者の対応についてお話します。
新型コロナウイルス感染症の影響を受けたことによって、住宅ローン等を弁済できなくなった個人の債務者については、「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドラインを新型コロナウイルス感染症に適用する場合の特則の活用」によって、自宅を残すことが考えられます。

具体的には、「公正価額の弁済」、または、「住宅資金特別条項を含む調停条項」によって自宅を残す方法を検討することが考えられます。
この自然災害による被災者の債務整理に関するガイドラインを新型コロナウイルス感染症に適用する場合の特則については、2020年12月1日から適用が開始しております。詳細はお近くの弁護士等の専門家までご相談下さい。

6.最後に

会社を畳まなければならない場合、経営者の方の大きな心配事の一つが「自宅を残せるかどうか」です。以上を参考にして頂き、事業継続が困難でも自宅を残す方法を検討するとともに、お悩みのことがあれば、専門家に相談しましょう。

※関連記事:
『円滑な廃業のために、経営者保証ガイドラインの活用によって、個人破産せずに、自宅等の財産を残す手法とは』

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