インターネット通販をはじめる上での注意点
法務


コロナの影響で店舗での販売が難しくインターネット販売をはじめる事業主も多いと思います。 今回は、インターネット販売を始める上での注意点について解説したいと思います。

この記事の目次

契約の成立時期はいつ?

インターネット販売のサイトでは利用者が「購入」というボタンをクリックする形になっていることが多いです。この段階では利用者が売買契約の意思表示をしただけで売買契約は成立しません。売買契約が成立するのは利用者の売買契約の申込みに対する販売者の承諾の意思表示が利用者に到達したときです。

では利用者に承諾の意思表示が到達したとされる時期はいつなのでしょうか?

電子メールで承諾の意思表示をする場合

電子メールで承諾の意思表示をした場合、利用者のメールサーバーに承諾通知のメールが読み取り可能な状態で記録されたとき(つまり受信したとき)に契約は成立します。 利用者のメールサーバーが故障し、販売者の承諾通知を受信できなかった場合は承諾通知が到達していないので契約は成立しません。
利用者のメールサーバーの不具合で承諾通知のメールが文字化けした場合も「読み取り可能な状態」ではないので契約は成立しません。

オンライン画面上で承諾の意思表示をする場合

利用者が「購入」のボタンをクリックしたのと同時に利用者のモニター画面上に承諾した旨又は契約が成立した旨が自動的に表示されるシステムの場合、利用者のモニター画面上に当該表示がされた時点で承諾の意思表示の到達があったとされます。
通信障害のトラブル等で利用者のモニター上に承諾の旨が表示されなかった場合は承諾通知の到達がなかったとされます。

利用者が操作ミスをして購入ボタンをおした場合どうなるか?

民法95条では「意思表示に対応する意思を欠く錯誤」は取り消すことができるとされています。購入ボタンの押し間違えは「意思表示に対応する意思を欠く錯誤」に当てはまります。一方、民法95条3項では相手方の保護のため表意者に重大な過失があれば取り消しが主張できないと定められています。

電子契約法3条の特則で原則として業者は利用者に錯誤について重大な過失があると主張できません。しかし以下の場合では業者は利用者の重過失を主張できます。

1.意思表示について確認を求める措置を講じた場合。
2.利用者から事業者に対し確認を求める措置が必要がない旨の意思の表明があった場合。



意思表示の確認を求める措置とは?

「意思表示の確認を求める措置」とは経済産業省の「電子商取引及び情報材取引等に関する準則」で申し込みを行う意思の有無及び入力した内容をもって申込みをする意思の有無について、利用者に実質的確認を求めていると判断し得る措置とされています。
具体的には以下の措置が考えられます。

1.「購入」の意思表示のボタンの前に「この商品を購入することになります。よろしいですか?」という画面を表示する。
2.「変更」「取消し」ボタンにより変更及び取消しを可能にする措置を講ずる。



つまり「最終確認画面」を設けることが有効な措置となります。


「確認を求める措置」を要しない旨の意思の表明の注意点

以下の場合は「確認を求める措置」を要しない旨の意思の表明には当たりません。

1.事業者が、一方的に「確認を求める措置を要しない旨同意したとみなす。」という定めを利用規約等に入れいてる。
2.「確認措置を必要としない旨」の選択の意思表示であることを利用者が理解し得ないようなワンフレーズの短い表現が記載されたボタンをクリックさせる。



利用規約について

通販サイトではサイトの運営者がサイトの利用者に向けて、利用方法、禁止事項、支払方法、配送方法、免責事項など取引条件を記載した利用規約をサイト上に表示しています。
この利用規約を契約の内容にするためには一定の要件があります。
また利用規約を契約の内容とする要件をみたしても消費者契約法により利用規約が無効となることがあります。

利用規約を契約の内容にする要件

通販サイトでの売買は民法の定型取引にあたるとされています。定型取引では一方が用意した定型約款に基づき契約がなされます。利用規約は定型約款とされています。

民法は定型取引合意について「あらかじめその定型約款の内容を契約とする旨を表示」するだけで足りるとしています。この要件をみたせば相手方が定型約款の個別具体的な条項を把握していなくても定型取引の合意したとみなされます。

ただし定型取引合意の前に定型約款の内容を示す請求を拒んだときはみなし合意の規定は適用されません。
「電子商取引及び情報材取引等に関する準則」では以下の要件をみたすと定型約款である利用規約は契約に組み込まれるとしています。

1.利用規約があらかじめ利用者に対し適切に開示されていること
2.当該ウェブサイトの表記や構成及び取引申込みの仕組みに照らして利用者が利用規約の条件に従って取引を行う意思をもってサイト運営者に対して取引を申し入れたと認定できること


具体的な措置としてはサイトの分かりやすい位置に利用規約及び利用規約を契約に組み込む旨を表示することが考えられます。
利用規約を契約内容に組み込むだけなら上記の措置だけで十分ですが、利用規約を掲載した上で同意ボタンをクリックする仕組みを作ることはリスク対策の観点から有効です。

利用規約が無効となる場合

利用規約が消費者契約法上無効となることがあります。具体的な事例として以下のものとなります。

●サイト運営者の利用者に対する債務不履行責任、不法行為責任、瑕疵担保責任等の損害賠償責任を全面的に免責
●サイト運営者の不履行責任がある場合においても契約解除ができない、又はサイト運営者に解除権の有無を決定する権限を付与する条項
●利用者が後見開始、保佐開始又は補助開始の審判を受けたことのみを理由とする解除権をサイト運営者に付与する条項
●契約解除に関し、キャンセルによってサイト運営者に生じる損害の平均額を超えてキャンセル料を利用者に課す条項
●利用者に対する延滞利息が年率14.6%を超える条項
●民法、商法その他の任意法規に比べて、利用者の権利を制限し、又は義務を加重する条項であって、利用者の利益を一方的に害する条項


まとめ

通信販売サイトでの売買をはじめるにあたり以下の点をチェックしましょう。


□オンライン画面上で購入の申込みの承諾の意思表示を表示する仕組みになっているか?
□最終確認画面は設けられているか?
□利用規約と利用規約を契約に組み込む旨はサイトの分かりやい位置に表示されているか?
□利用規約は消費者契約法の点からみて有効か?


ご不安な点がございましたら、お近くの行政書士、司法書士、弁護士等の専門家にご相談ください。

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