内容証明は効果から考えよう
法務


内容証明郵便は、法律関係が変わった場合や、紛争があることを通知する手段として使われることが多いです。 具体的には、債権譲渡通知や警告として発送することが多いです。警告は契約代金・貸金・損害賠償金など、支払い義務があるのに支払わない人に対し、訴訟提起前の最後通告をする場合、権利を侵害されたときに侵害行為をやめるよう警告する場合などがあるでしょう。
内容証明郵便で大切なのは、出すことではなく、書いてある内容・警告が伝わり効果が発生することです。

この記事の目次

1.内容証明郵便の出し方

今は電子内容証明もあり、大量に発送する業者や弁護士は利用していると思いますが、従来の内容証明郵便も多く見ます。個人的には、警告が相手に伝わるかという観点であれば、緑色の紙に通常の文字間隔で書かれた電子内容証明より、独特の行間や字の間隔の広い従来の内容証明郵便の方が、効果がある気はします。

詳しくは郵便局HPに説明がありますが、簡単に説明しますと、字数行数の制限があります。横書きで1行20字以内だと、1枚26行以内です。このようにワード等ソフトの字数行数を設定すると楽です。

記号も1文字なので、句読点や鍵括弧などが入ると20字を超えてしまうことがあります。19文字に設定する、インデントで左側を字下げすると、目一杯書いた行も記号を入れても20字を超えなくなります。差出人受取人の住所氏名も記載しましょう。
3通印刷し、押印や2枚以上の場合はホチキス止めと割印をし、封筒に差出人受取人の住所氏名を記載します。全て郵便局に持参すると、30分ぐらい字数行数等のチェックをされた後、差し出せます。

相手方に到達したことが証明できるよう、配達証明付き内容証明郵便で出した方が良いでしょう。これらは受取が必要なので、受取拒否される可能性がある場合は、別にもう1通印刷し、封筒ももう1通持参し、そのもう1通は特定記録郵便で出します。特定記録郵便は内容証明郵便より少し早く出した方が、配達員が2通同時に配達して結局2通とも受取拒否される可能性も低くなるでしょう。

特定記録郵便は、受取は不要で、郵便受けに入ったことは郵便局HPで確認できます。そのページを印刷しておけば、記載された意思表示が相手方に到達した証拠になります。

2.作成名義をどうするか

金銭の支払義務を怠っている人や、他人の権利を侵害している人は、分かってやっている場合が殆どです。それなのに当事者が自分名義で内容証明郵便を出しても、侵害している人にとっては想定の範囲内かもしれません。
自分が侵害した立場だとして、代理人弁護士名義で「やめなければ訴訟提起します。」と記載された内容証明郵便が届いた方が、どうしようか本当に悩むことは想像できるでしょう。

ただ、結局のところは費用対効果です。弁護士が代理人に就任し、弁護士名義で送るということは、文面で連絡窓口を弁護士に指定することとなり、送って終わりではありません。交渉業務を受任したことになります。

相談者名義の内容証明郵便を作成する場合は、書類作成費用だけ頂けばいいですが、交渉業務の費用はそれより高額になります。少額の紛争であれば、解決にもあまり費用をかけられないでしょう。また、弁護士が交渉業務を受任しても、交渉にならず裁判になるときはなります。

3.紛争解決の道筋をつける役割

弁護士が差し出す場合は、「本書面到達後2週間以内にお支払いない場合(あるいは侵害行為が収まらない場合)、訴訟提起致します。」などと、期限を設定する場合が多いです。
その期限を過ぎれば訴訟提起すれば良いので、依頼人に紛争解決への道筋を示せることになります。紛争の一番のストレスは、紛争にどう対処していいか分からない、紛争がいつ終わるか分からないことにあり、解決までの道筋が示されていればストレスは軽減されます。

同じことは、当事者が発送する場合も言えるでしょう。「2週間以内にお支払いない場合、弁護士に依頼し訴訟提起致します。」と書けば、期限を過ぎれば弁護士に依頼すれば良いので、自分で解決に向けた道筋をつけることができます。

まとめ

このように内容証明郵便を出すだけであれば、案外簡単です。
ただ、内容証明郵便は手段に過ぎません。
会社でも内容証明を出したいという事態は稀だと思いますが、専門家は業務として作成し発送しています。期待する効果ができる限り得られるよう、まずは専門家に連絡し、どのような内容が良いのかだけでも相談した方が良いでしょう。

弁護士に交渉業務を依頼するかは、紛争の大きさや見通しにもよるので、弁護士も依頼人が損したと感じないよう、色々説明してくれると思います。さらに、今後は同じ事態に陥らないよう、最初に契約書や誓約書などをきちんと作成することにより、予防できることもアドバイスしてくれると思います。

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