専門家に相談するタイミング
法務


専門家にどの段階で相談したらいいのか分からない、というのが正直なところだと思います。紛争は病気と違い、放置しても体調が悪くなる訳ではないので、余計タイミングが分かりません。「まだ揉めている訳ではないのですが」と相談され、それは十分揉めていますという場合も多いです。

相談に早すぎるということはなく、日頃から専門家に相談して予防策をとっていた場合とその後どう違ってくるのか、病気に例えてみようと思います。

この記事の目次

1.紛争の認識は病識に似ています

医師ではないので正確なことは言えませんが、例えば糖尿病にかかると、最初はあまり日常生活に支障はありませんが、病院に通い医師の指示どおり生活改善や治療をしなければ、徐々に悪化し、失明や脚を切断することもあるようです。その一歩手前で初めて病院に来られても、恐らく医師にできることは限られるのでしょう。

紛争はこれに似ています。いきなり訴訟提起したい、あるいは突然訴状が届いたので弁護士に相談に来たという場合は、上記の例えだと、病をかなり放置してから病院に来た場合といえます。敗訴判決を受けて初めて弁護士に相談に来たということも珍しくありません。

2.費用がかかり紛争の見通しが悪くなる

遅れて相談に来られても、弁護士は今からでも対処可能な方法をアドバイスし、事件として受任する場合は可能な限りの応訴をします。
しかし、紛争の発生前や冒頭から関わっていた場合に比べると、やはり差があります。紛争解決にかかる費用が跳ね上がり、紛争を有利に解決できる可能性が低くなります。

その状態になってから相談を受けた弁護士としては、「裁判をするのに、こんなに費用がかかります。しかもこちらに有利な証拠がなく、今から証拠を作れる状況でもないので、この裁判の見通しは悪く、これだけ費用をかけて争っても、希望する内容の判決にはならないと思います。」と説明することになります。踏んだり蹴ったりでしょう。
医師が、手術しかないが手術しても劇的に良くなるわけではないと説明するときと似ているかもしれません。

3.どのように紛争を予防するのか

紛争は一生に一度あるかないかかもしれませんが、弁護士はその様な紛争を毎日複数扱っています。また、経験や裁判例を調べることにより、裁判所がどのような点を重視して契約の成立や内容を認定するのか、損害などの金額認定にどれだけ厳しいかなどを知っています。

その様な知見をもとに、例えば、「それは紛争が発生するパターンなので、そんな契約はやめましょう。」「契約は何かあればすぐに解消できるようにしましょう。」「契約が終了した後に問題が残らない様、契約書にこんな文言を入れましょう。」「払ってしまったお金を取り戻すのは非常に難しいので、出来高で払う契約にしましょう。」「それは頑張っても実現できないので、そこには手間と費用をかけないようにしましょう。」「今からでもこういう書面を作りましょう。」などと日々アドバイスしていきます。

まとめ

健康診断を継続的に受けていたお陰で小さな病変のうちに治療ができて助かったということはあると思いますが、紛争にも同じことが言えます。
専門家の持っている情報から多額の損失が発生すると見込まれる取引を水際で止めるなど、専門家のアドバイス一つで、考え方によっては大きな利益を得ることもあります。日頃から専門家に厚く依頼している会社は、気付かないうちに紛争を予防できていて、余計な費用や経営者の心労、従業員への負担をかけずに業務に専念でき、結果として利益を上げているのでしょう。

相談費用は高額なものではないので、気になったら聞きに行くぐらいでいいと思います。この契約書で大丈夫、自己判断でとった対処で大丈夫だと、お墨付きを得られるだけでも相談した甲斐はあるでしょう。

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